ぼくらはこんなのを聴いていた
Robin
<ベスト5>

 ここのところ、あまり熱心に音楽を聴いていない上、数少ない購入CDの中に新譜の占める割合も多くない。5枚も選べるかなと悩みつつ、とりあえずこんなところでご勘弁を。個人的には、2000年のほうが収穫はあったような気がするので、その点ではちょっと残念でもある。

 再発物は基本的に選外としたが、ニック・ドレイクのデジタルリマスター、ゲイ&テリー・ウッズ関係のCD化などは、うれしかった。故ジョン・ハートフォードのベスト盤、RCA COUNTRY LEGENDSは、当然新録ではないけれど、RCA時代のアルバムがなかなか手に入らない現状では、ありがたい。とはいえ、これも選外。

 国内では、長い間沈黙していたミュージシャンが、久々に新譜を発表する例が目立つようだ。ついつい「お帰りなさい」という気持ちになってしまって、冷静な評価はできないのだが、若い人に聴かせたらどういう反応が返ってくるのか、正直不安ではある。


●くるり/TEAM ROCK/Speedstar/2001
 個々の曲の手法そのものは、けっして新しいとは思わないが、アルバム全体の印象は、とてもみずみずしい。さりげなくも印象的な曲を書き続ける岸田繁の才能には脱帽。そして、「LV30」「リバー」のバンジョーに、思わず拍手。そういえば、Take Me Home Country Roadそっくりの曲もあるなぁ。
FERNHILL
●FERNHILL/WHILIA/Beautiful Jo/2000
 ウェールズのフォークバンド、ファーンヒルを知ることができたのは、2001年の収穫の1つだった。イングランドともスコットランドともアイルランドとも異なる歌の世界は、ただただ圧巻。ギター、メロディオン、フィドルを中心としたシンプルなバッキングも素晴らしい。

●GARTH HUDSON/THE SEA TO THE NORTH/BREEZE HILL/2001
 ザ・バンドのメンバーだったガース・ハドソンの、長いキャリアを通じて初めてのソロアルバム。いまさらながら、なんと包容力のある音を出す人だろう。アコーディオンもサックスもピアノもオルガンも……。

FERNHILL ●アーリー・タイムス・ストリングス・バンド/WELLCOME TO THE "EARLY'S HOUSE"/FFA/2001
 30年ぶりくらいの再結成コンサートの模様を収めたライブ盤。村上律さんがこんなに熱い演奏をしているのは、初めて聴いたかも。ぶっちゃけた話、ゲストの曲をもう少し削って、アーリーのみの演奏を増やしてほしかったような気もしないではないが、こちらはそろそろ発売されるスタジオ録音盤に期待か。

●佐藤GWAN博/星空/Seals/2001
 こちらは25年ぶりの新譜。全然変わってないことが誉め言葉になる稀有なアルバム−−とでも言ったらいいか。マイペースな歌と、長年の友人たちの演奏とが、ほのぼのとベストマッチ。



<こんなライブに行ったぞ>

●2/15 渋谷クアトロ ダン・ヒックス&ホット・リックス
 バックのホットリックスの演奏には、「?」な部分も散見されたものの、要所を占める御大のアコギプレイはさすが。何はともあれ、楽しいパフォーマンスのごきげんなライブだった。

●4/12 南青山CAY ファーンヒル
 ボーカル、メロディオン、フィドルという、3人編成での来日。ギターが欠けてしまったのは残念だが、そのぶん、ジュリー・マーフィーのボーカルが、じっくり聴けたと言えるかもしれない。本音を言うと、この前日に行なわれたプロモーションライブのほうが、会場が狭いぶん、よりストレートに音が迫ってきて、感激ものだったのだが。

●4/28 原宿こんとん館 インステッド・オブ・ネット
 いまや絶滅危惧種に指定されかねない、日本人ドーグ・バンドのライブ。なんといっても、マンドリンの竹内信次がいい。テクニカルでありながら歌心を感じさせる。ちなみに、3部構成の最後のステージは、お客さんも参加してのジャムタイム。よせばいいのに、私も乱入してしまったのだった。そりゃ、見てるより弾いてるほうが楽しいさ。

●6/5 五反田ゆうぽうと モレート&トリーナ
 個人的なハイライトは、ボシー・バンドの再現とも言うべき、ミホール・オドンネルとトリーナ・ニゴーネルのデュオで決まり。バックのメンバーも達人揃いだったが、特筆すべきは、やはりメロディオンのマーティン・オコーナー。アイリッシュにジャバラは不要−−というこちらの偏見を叩き潰してくれるあざやかな演奏だった。

●11/2 渋谷ツインズヨシハシ 高田渡
 息子さんの高田漣のペダルスティールをバックに、相変わらずのひょうひょうとしたステージ。体調もなかなかよさそうで、ひと安心だ。ゲストで登場した、佐藤ガンさんの歌もごきげんだった。

●11/12 渋谷オンエア・ウエスト TRIP IN THE COUNTRY
 Dr. Kこと、徳武弘文の長年の夢がついに実現。エリアコード615のメンバーをDr. Kプロジェクトがサポートするという、なかなかマニアックなライブである。動くウェイン・モスの姿を見られたのが一番の収穫−−という感じだが、日本人ミュージシャンのテクニックも光った。とくにバンジョー、フィドルのプレイは、太鼓判のハナマル。

●12/12 渋谷ネスト フルック・ウィズ・クライブ・グレグソン
 最初に登場したクライブ・グレグソンは、ギター1本の弾き語り。最小の編成ながら、年季の入った演奏はさすが。4人組のトラッドバンド、フルックは、2本のフルートのアンサンブルが、気持ちいい。メンバー同士の力関係も絶妙だ。あまりアイリッシュしてないところが、とくに気に入った。

●12/23 渋谷ツインズヨシハシ さねよしいさ子+良原リエ
 ヘンなおねーさんは好きですか? もちろん大好きです! −−というわけで、さねよしいさ子のクリスマスライブ。歌もパフォーマンスも、とってもかっこよかったと思う。共演の良原リエも、ソロピアノに、アコーディオンのインストに、歌のバックにと、大活躍だった。クリスマスを意識したレパートリー、演出が多かったのはさすがと言うべきか。クリスマスプレゼントの交換会なんていう、おそろしく少女趣味なイベントもあったなぁ……。


selected by Robin/FBEATS/FBEAT staff   AboutMe!


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