第19回 河戸紅陽展 その2


第2室の入り口


 第2室の入り口を飾るのは、秋桜(尾道水道)。窓の光が映り込んでしまいました。

 秋桜を挿した花瓶の背景が尾道水道なんて、何ともノスタルジックです。

 中に入ると、勢いよく炎を噴き上げる手筒花火が迎えてくれます。
 
秋桜(尾道水道)

手筒花火


 刈谷の万燈祭は、青森のねぶたを思い起こさせます。男たちが、力を合わせて担ぐ姿が何とも勇ましい。



 これらの山車で表現されている武将などについてのおはなしも聞きたくなります。
刈谷万灯祭

刈谷万灯祭

 真鶴港を、視点を変えてとらえた2作品。見る方向により、映りゆく時刻により、海はすっかり表情を変えていく。


 そんな時の移ろいを感じさせる作品たちです。
真鶴港を眼下に

夕暮れの港(真鶴港)

 浜に咲く花々を前景に、バックは港町であったり、灯台であったり。

海辺の花はどれも力強く描かれています。強く吹き仕切る波風にも負けずに、けなげに咲く花々です。

浜木綿(伊豆稲取)

鬼百合(伊勢志摩大王町波切)

 鞆ノ浦 同じように桟橋につながれた小舟も、季節の変化や光の色で、ずいぶん雰囲気が変わります。


 続いて、東尋坊、渥美半島、さらには波切の風景。花は季節を教えてくれる。季節によって、海の表情はこんなにも変わるものだと、しみじみと感じさせてくれる。


鞆ノ浦  暁

鞆ノ浦 春色

寒椿(東尋坊)

姫こぶし(渥美半島)

夾竹桃(伊勢志摩大王町波切)

 そして、河戸ワールドの代名詞ともいえるガード下や路地裏。

 残念ながら、写真では、これあの絵の雰囲気が伝えられない。

 ガラスに反射した光が、さらに条件を悪くしている。でも、じっと見ていると、絵の肝心なところがだんだん見えてくるのではないでしょうか。
上野ガード下

常夜灯へ続く小径(備後鞆ノ浦常夜灯)

駅裏通

賑わい(上野ガード下)

路地裏

 ものが雑多にあふれかえる景色を、丹念に描きこんでいく。そんな工程は、自分には苦しみでしかないが、河戸さんは楽しんでいるのだろう。


 何気なく見てしまう絵の細部に、そこにある者たちの表情がある。
靴屋街

三国峠から富士山中湖を望む

 上野、三国峠、淡水など、旅で訪れた先々の光景が、着実に河戸式に表現されていく。

 人が見落してしまいそうな景色も見落とさない。そんなことを感じさせてくれる。

 
豊橋普門寺紅葉

淡水暮色

     
ヨットハーバーⅡ 

 ヨットハーバーⅠ

 
  この先には、水彩画も入ってくる。

水彩の表現はまるで違ったものになってきたりするので、「優しい感じがいい」という人もいれば、「これは河戸スタイルじゃあない」という人もいるのだとか。

 水彩画への挑戦は、油絵のスタイルの変化にもつながるのかもしれない。
   
  曼殊沙華  

信州清内路 花桃街道

    花だけに焦点を当てて描いた作品は、これまでの河戸さんの作品にはなかったもの。

 ある種の気分転換をはかったものなのだろうか。
 
 バラと紫陽花

   秋桜

 確かに、題の付けられていなかったこの2点は、カードや絵葉書の絵にもなりそうな感じだ。



 これは個展です。50を超す作品すべてが、一人の手で、半年足らずで仕上げられたもの。超人的な技です。
 
   
   無題

 無題

 
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