午前の部

平成23年度 「名理会発表会1日研修」報告

発表会場1 発表会場2 発表会場3 発表会場4
助言 古田 一 校長 助言 久保 真樹 校長 助言 安藤 伸二 校長 助言 市川 徹 校長
<発表会場1>
発表者    研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立伊勝小学校

  小野田 雄介

  
 自らの考えを生かして活動する子どもを育てる理科教育
<概 要>
 子どもたちが日常生活で得た知識や実験データ,他の子の考えを総合して,自分の考えを言葉,絵,図,具体物を使って表現することで,子どもたちはイメージを共有しながら,自分の考えを見直し,事象への理解を深めることができると考える。
 これらの活動により,「自分の考えをもつだけでなく,実験のデータや他の考えを自分の考えとすりあわせ,よりよい考えへと修正したり,その考えを文字や図などを使って表現したりすることができる」,自分の考えを確かなものにする子どもが育成できると考え実践を行った。
単元 :「ものの燃え方と空気」「ものが燃えるときの空気の変化」(小6)
手だて
@ ある考えに対して,自分の考えを記述し,表現する活動
 考えを促すもととなる「ある考え」を提示し,その考えに対して子どもたちが,自分の考えを表現するために記述できるワークシートを使用する。
A 自分の考えを図や絵,具体物を使って表現する活動
 自分の考えを文字や絵,具体物を使って表現することによって,自分の考えをよりはっきりさせる。実験の結果から考えた考察も文字や絵で表現させる。
成果 
○ 「先生の考え」を出すことは,子どもたちが考えるきっかけをつくったり,基となったりすることに有効だった。
○ イメージ図は,一人ひとりの考えの違いを表現させることに有効であった。
○ 場面に応じた表現(絵,図,具体物等)の仕方を工夫すると,事象に対する子どものイメージのしやすさが変わり,考えを深めたり,広げたりすることに有効である。
発表2
名古屋市立長良中学校

  島田 欣和

  
 表現する力を高める理科授業 −表現する場の設定を生かして−
<概 要>
 科学的に考える力を高めるためには,課題について考えていく中で「根拠のある予想」=「見通し」をもたせ,それを解決するために実験を行わせることが必要であると考え,実践を行った。実践を通して,実験に見通し(根拠のある予想)をもって取り組む生徒の育成を目指した。
単元 :「電流とその利用」(中2)
手だて
@ 実験の予想を明確にさせるために,教師が用意した紙に各自の予想を書かせる。このとき文章で表記が苦手な生徒が多いことをふまえ,絵や記号を用いてもよいこととする。
A 予想の根拠をもたせるために互いの予想を比較し検討する。このとき比較や検討がしやすいように,予想を一枚の紙にまとめる。
成果
○ 生徒が実験に対して予想を表出することで,各自の予想が明確になった。さらに話し合いを行うことで,何を実験で調べればよいかが明らかにすることができた。
○ 自分の予想の根拠を考えさせる活動は,実験後のまとめの際,絵や言葉を入れ,根拠を示したまとめが書けることにつながった。
<発表会場2>
発表者    研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立東海小学校

  今井 将

  
 
 理科のおもしろさを感じることができる理科学習
 −「理科っておもしろい」につながる三つのステップを取り入れて−
<概 要>
子どもの「そうだったのか!」は「理科っておもしろい」につながるキーワードと考えた。子どもの「そうだったのか!」につなげるために,「事象との出合い」「事象から問題を見いだす」「問題を追究する」3つのステップを大切に実践を進め,「理科をおもしろい」と感じる子どもの育成を目指した。
単元 :水よう液の性質(小6)
手だて
@ 子どもたちが「何でそうなるの?」「不思議だなあ」といった興味・関心をもつような事象提示を行う。<事象と出会う>
A 自由な試行活動を展開する時間,グループ内で自分の見いだした問題について話し合う時間を設定する。<問題を見いだす>
B 「一人一実験」,「記録カード」を利用した追究活動。<問題を追究する>
成果
○ 三つの段階を重視した活動により,子どもたちは自分の問題を見出し,その問題を追究して,「そうだったのか!」と感じさせることができた。
発表2
名古屋市立白山中学校

  立松 玲

  
 
 理解を深める理科学習 −ICTを活用して−
<概 要>
 『目に見えない現象』を『目に見える形』で提示することで,生徒たちが目の前で何が起こっているのかがわかる,目に見えない現象に対してのイメージがもてるようにすることによって,生徒たちの現象への理解が深まるのではないかと考え,「理科はわかる」=『理科は楽しい』と感じることができる生徒の育成を目指した。
単元 :運動とエネルギー
手だて
○ 見えない速さの増加をICTの活用で見える形にする
 斜面の落下運動をする台車,水平面を移動する台車について,ICTを活用することによって,速さが増加,減少していくようすを提示し,記録タイマーの結果と比較することによって,台車の運動について考える。
成果
 記録テープだけでは,台車の速さや速さの変化をイメージすることができなかった生徒が,目には見えない速さの増加を,ICTを活用して『目に見える形』で提示したことによって,運動の原理をイメージし,目の前で起こった現象を「なぜそうなるのかわかった」と,理解を深めることができた。
<発表会場3>
発表者    研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立大野木小学校

  室 崎  学

  
 
 自然を愛する心情を育てる理科授業 −ビオトープづくりを通して−
<概 要>
 自然に親しむことが困難になっている子どもたちの自然を愛する心情を育てるため,学校ビオトープの活用を考えた。ビオトープづくりの計画段階から子どもたちにかかわらせ,子どもたち自身でビオトープをつくっていくとともに,ビオトープを活用した授業を展開する。自分たちが積極的にかかわった学校ビオトープが,子どもたちの心に自然を愛する心情を育てることができるかを検証したい。
単元 :「植物を育てよう」「自然の観察をしよう」(小3)
手だて
@ ビオトープをつくろう
 生き物がすみやすい環境について調べながら,ビオトープをつくる活動。校内にある池を観察させ,生き物にとってすみやすい環境にするためにはどんな池になればいいかを話し合わせる。話し合いで得られたことを生かして,ビオトープをつくっていくことで,ビオトープに対する愛着を,自然を愛する心情につなげることができるようにする。
A ビオトープで学習しよう
 教科書で学習する生き物とビオトープの生き物を比較しながら,学習を進める。ビオトープを活用した授業を展開することで,子どもたちは生き物に親しみながら学習することができ,自然を愛する心情を育てることができる。
成果 
○ 自分たちがつくったビオトープの生き物を使って学習を行ったことで,ビオトープに愛着をもって接する姿が見られるようになり,自然を愛する心情を育むことができた。
○ 子どもたちがつくったビオトープは,ごく限られた小さな自然だが,子どもたちにいろいろなことを教えてくれ,子どもたちに自然を愛する心情を育むアプローチになった。
発表2
名古屋市立南陽中学校

  加藤奈穂子


  
 
 身近な動物の多様性に気付くことができる生徒の育成
  −地域の自然環境を生かした自然体験活動を通して−
<概 要>
 地域での自然体験活動を通して,身近に多様な動物が生息していることに気付かせたい。さらに,地域に生息する動物の分類を考え,地域の自然環境の特性と動物の多様性との関係に気付かせ,身近な自然に対する親しみと愛着をもたせたい。
単元 :「動物の分類」(中2)
手だて
@ 動物の分類の仕方
 動物の種類による特徴を見出させ,分類の仕方に気付かせる。
A 校庭,学区の動物調べ
 校庭や学区の動物を調べ,身近に多くの種類の動物が生息していることに気付かせる。
B 身近な動物の分類
 校庭,学区の動物を,生徒の記録をもとに分類する。学区の動物の多様性に気付かせるとともに,同じ分類の仲間でもたくさんの種類の動物がいることに気付かせる。
成果
○ 校庭や学区での動物調べという,地域の自然環境を生かした自然体験活動をしたことにより,生徒は自分で見つけた身近な動物の分類をすることができた。
○ 多様な動物がいるということだけでなく,動物のすむ自然環境とのつながりと学区の特徴にも目を向けることができた。
<発表会場4>
発表者    研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立日比津小学校

  広瀬 富也
 

  
  
 生きるってすごい  −リサイクル栽培を通して−
<概 要>
 ミニトマトなどの栽培活動に加えて,野菜の調理時に捨てられる部分を用いてもう一度栽培する『リサイクル栽培』に取り組む。そして,1年生で育てた野菜や新たに育てたミニトマトなどと比べ・分類し・関連づけることで,「こんなものからでも植物は成長するんだ」「植物の成長する力ってすごく強いんだね」と気づき,植物の不思議さ・おもしろさ・たくましさを感じることができる子どもを育てたい。
単元 :「大きくなあれ」(小2 生活科)
手だて
 一人一種類ずつリサイクル栽培に取り組む。水の量や肥料の与え方などの栽培方法や,観察などでは,今まで育ててきた野菜と比較・分類・関連づけて考えさえる。そして,帰りの会や生活科の授業時間を用いて気付いたことの報告会を定期的に行い,気づきを共有し,栽培していく中で困っていることなどを話し合って,よりよい栽培方法を見つける。
成果
○ 「ゴミになるものがまた食べ物になる」ということに気づき,植物のおもしろさを感じることができた。
○ リサイクル栽培は,子どもたちに「植物の不思議さ・おもしろさ・たくましさ」を感じさせることに有効である。
発表2
名古屋市立左京山中学校

  吉田 祐介

  
 
 身近な現象を科学的な見方でとらえることができる生徒の育成
  −光や音の性質を調べる活動を通して−
<概 要>
 「光」や「音」による現象をより深く追究しようとすると,視覚的にとらえさせるための工夫が必要である。そこで,光や音を視覚的にとらえさせる工夫をすることで,光が作る色や楽器が奏でる音について規則性を見出させたい。それらの活動を繰り返しにより,生徒は自らがもつ知識をもとに,調べたり考えたりしようとする意欲が高まり,自然現象を科学的な見方でとらえることができるようになると考えた。
単元 :「光や音で見る世界」(中1)
手だて
○ 光の直進・反射・屈折の実験を通して,科学的に調べたり,考えたりする活動を繰り返し行うことで,科学的な見方でとらえるための知識や態度を身に付けさせる。
○ 光を混合したり,分光したりする実験を通して,身近な現象に改めて目を向けさせ,自らがもつ知識を使って光の性質を科学的に分析し,見出すことができるようにする。
成果
○ 科学的に調べたり,考えたりする活動を繰り返し行うことで,科学的な見方でとらえる ための知識や態度を身に付けさせることができた。
○ 光の混合,分光の実験を通して,生徒は自らがもつ知識を駆使して科学的に分析し,光の性質を見出すことができるなど,科学的な見方ができるようになった。
 <文責 林本 勝徳(名古屋市立藤森中学校)>