平成21年度 「名理会発表会1日研修」報告

午前の部・分科会

発表会のようす
発表会場1 発表会場2 発表会場3 発表会場4
助言 池村 和成 校長 助言 佐藤 隆敏 校長 助言 武藤 守裕 校長 助言 川本 哲也 校長
<発表会場1>
発表者 研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立東築地小学校

  河合 芳雄

主体的な飼育・観察ができる子どもの育成
<概 要>
問題意識をもって飼育・観察ができる子どもをめざして学習を進めていくことにした。「なぜだろう」という疑問から,「こうなるはずだ」と自分の考えをもち,進んで活動することが,問題意識がもてた子どもの姿だと考え,課題をしっかりととらえる手だてや,自分の考えを表現する手だてを考え,実践を行った。
単元 : たんじょうのふしぎ(小5)
手だて
@メダカとの出会いの場でいくつか課題を与え,自分たちで飼育できるように調べさせる。
A卵とふ化したばかりのメダカの写真を見せ,卵の成長の過程を考えさせる。
B3つの視点(色・形・大きさ)をもたせてスケッチを行う。
C自分の考えをもたせるために,意見交換ができるようなワークシートを準備する。
D肉眼で見える大きさの生き物のミジンコやアカミミズを与える。
成果
○メダカの飼育環境を自分たちの力で整えるという課題は,子どもたちが課題を明確にできたため,問題意識をもって,進んで調べることにつながった。
○視点をもってスケッチを行わせたことで,子どもたちは,細かな部分までよく観察してたくさんのことに気付くことができた。
○発言がない子どもたちの考えを引き出すために,提示の工夫やワークシートの工夫などが有効であった。
○たくさんの発見や疑問,それに対する自分の考えが出され,子どもたちは,子どもたち同士のかかわりの中で自分の考えを見直して発展させていく姿がみられた。
発表2
名古屋市立植田小学校

  山口 幸二 
実生活とのかかわりを大切にする理科学習
<概 要>
問題意識をもつことで,調べたい・知りたいという気持ちをもち,身の回りの自然と理科学習とが密接な関係にあることを実感し,学習を進めることができる子どもの育成をめざして実践を行った。
単元 : 植物の水の通り道(小6)
手だて
@ 自分の考えをもつための活動
 石けん水を付けた枯れ木に息を吹きかけると,泡が出てくることを見せることで,なぜそのようになるのかを考えさせる。
A 身の回りの出来事とのかかわりに実感がもてるようにするための活動
 ホウセンカの茎にあった道管が,自分たちで選んだ植物の中にも存在するのか調べさせる。
成果
○体験したことがない事象に出会うことで,子どもは調べたい・知りたいという思いをもって活動することができた。そしてそのような活動により,どの子どもも意欲的に予想を立てて,考えをもつことができた。
○身の回りの植物を用いた実験を行うことによって,理科の学習が自分たちの生活にかかわっていることを実感することができた。また,子どもが知りたいと思ったことを追究することができる環境を整えた結果,自然と次時の「葉に運ばれた水の行方」について疑問をもち,追究活動に移ることができた。
<発表会場2>
発表者 研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立供米田中学校

  山下 剛史


 
自ら考え工夫することができる生徒の育成
<概 要>
課題をはっきりと意識させてから,自分たちの力で調べさせることで,自ら考え実験を工夫することができる生徒が育つと考え,実践を行った。
単元 : エネルギー(中3)
手だて
@ 課題に沿った実験の情報収集の場
   マルチメディアルームの利用
A 班で実験内容を検討する場
   班での意見交換・実験結果の予想・実験の計画
B 実験の結果に応じて,条件や素材を変えて実験を行う場
   ワークシートの利用・実験の振り返り
成果
○意見交換し,実験を計画し,結果を予想することで,自分の考えをもって取り組めるようになった。
○実験条件や素材を変える場においては,ワークシートを利用した振り返りを行うことで,自分で考えた実験条件や素材の変更を加えて,実験を行うことができた。
○マルチメディアルームの利用において,情報量が多すぎるため,取捨選択が難しかった。情報の絞り込みなど事前の準備が必要であるとわかった。
発表2
名古屋市立白鳥小学校

  塚本 浩二
 
身近な自然とかかわる楽しさを感じる生活科学習
<概 要>
自然とかかわる楽しさを感じながら,生きもののようすや特徴に気付く視点をもったり,差異点や共通点などを考えたりし,理科学習で育てたい力の基礎を養いたいと考え実践を行った。
単元 : 生きもの大すき(小2)
手だて
@一人の発見を全体に広げる場を設け,多くの子どもが実際に見たり,触ったりできるようにする。
A見付けた生きものの名前を書いたシールを地図にはり,生きものマップを作成する。
B生きものマップを活用し,自分のお気に入りの生きものを決め,自分で探す。
C探した生きものの形や色,大きさなどを観察し,ワークシートに記入する。
D生きものビンゴカードをもとに,自分で生きものを見付ける。
Eカードをヒントにして,他の生きものを見付け,記述する。
成果
○繰り返し自然とかかわる活動を取り入れたことで,はじめて目にする生きものを知ったり,特徴に気付いたりしながら,「生きものって楽しい」「もっと見たい」など,生きものへの興味や活動への期待をもつようになった。
○本実践で身に付けた見方や考え方は,生きもののようすや特徴にきづく視点をもったり,差異点や共通点などを考えたりする力の基礎のなっていくことが期待できる。
<発表会場3>
発表者 研究テーマ
発表1
名古屋市立大須小学校

  加藤 康彦
 
自信をもって理科学習に取り組む児童の育成
<概 要>
実験前に,筋道立てた考えをもって問題の結論や実験の結果を予想し,さらに,それらの活動に自信をもって取り組むことができる児童の育成をめざして実践を行った。
単元 : 植物の水の通り道(小6)
手だて
@ 既習事項の振り返りによる結論の予想
 児童が直面している疑問に関連した既習事項を提示し,振り返らせることで,児童は自信をもって問題の結論が予想できると考える。
A 実験方法チャートによる方法の整理と結果の予想
 実験方法と結論の予想に応じた考え方の筋道を示した図(以下,実験方法チャート)を活用させることで,実験方法を整理し,自信をもって結果の予想ができると考える。
成果
○既習事項を提示し,振り返らせることで自信をもって結論を予想することができた。
○実験方法チャートを活用させることで,自信をもって結果を予想することができた。
○実験結果を自分なりの言葉で正しく記録し,実験結果から結論づけることができるなど,実験後の学習活動の中でも自信をもって学習に取り組む姿が見られた。
発表2
名古屋市立名南中学校

  鵜飼 信行


 

 
生徒が意欲的に取り組める動物学習の工夫
<概 要>
コンピュータを使用し,できるだけ多くの種類の動物を観察できるように工夫した。また,「動物の生活と観察」と「動物の分類」の分野を組み合わせ,生徒が観察で得た知識をすぐに生かせる学習の流れにした。これらの工夫により,生徒がより意欲的に活動に取り組むことができるようになると考え,実践を行った。
単元 : 動物の生活と種類(中2)
手だて
@ コンピュータの活用
 多くの動物の映像を,事前に動物園で撮影し,LANネットワークを利用して一度に多人数が視聴できるようにした。映像は動物の体の特徴や,生活環境に視点を置いて撮影した。
A 単元構成の組み換え
 「動物の生活と種類」と「動物の分類」の分野を組み合わせ,生徒が観察で得た知識をすぐ生かせる学習に組み換えた。
成果
○コンピュータを利用して,より多くのものを観察することで,生徒の意欲を高めることができた。またその意欲が自ら考える姿を生み,考えて取り組むことの楽しさや喜びを感じることにつながった。
○生徒のレポートから,分類の観点をしっかりともって観察したり,逆に観察の結果を基に分類の観点を見いだしたりなど,自ら考えて観察に取り組む姿が見られた。 
<発表会場4>
発表者 研究テーマ
発表1
名古屋市立千代田橋小学校

  田邉 賢 
 
 
 
「育てたい!」 栽培意欲を育む生活科学習
<概 要>
植物との出会いの方法を工夫したり,花や実ができることへの期待感から植物の成長に見通しをもつことができるようにしたりする。さらに,観点を絞って観察することで,多くの気付きを引き出し,植物の成長を実感できるようにする。このような活動を通して,児童一人一人の栽培意欲を育むことができるようにしていきたいと考え,実践を行った。
単元 : おおきくなあれ(小1)
手だて
@ 植物との出会い方の工夫<栽培意欲をもつ>
 中が見えない箱に種を入れ触ることで,児童は指先に神経を集中し,種が硬いこと,小さいことを実感する。硬く小さな種から,芽が出る不思議さや驚きを味わうことができる。
 一人一人の栽培する野菜を選択することで,「早く野菜を育てたい」という気持ちをもつ。
A 植物の成長に見通しをもつ活動<栽培意欲を高める>
 種と実を比べたり,葉や花の写真を見たりすることで,植物が,「どのような種,葉,花,実をつけるのか」といった見通しをもつ。
B 観察方法の工夫<栽培意欲を継続する>
 観点を「みて・おもった・きいた・かいで・さわって」から選択し,一つの観点に絞ることで,児童は細かな部分の変化に気付くことができる。そして,細かな気付きを友達と伝え合うことで,植物の成長を実感し,さらなる成長を期待する。
成果
○毎日意欲的にアサガオや野菜に水をやる姿が見られ,成長のようすを報告する姿が見られない日は一日もなかった。
○タイミングよく植物の成長のの不思議さやおもしろさを味わうことができるような場面を設定したこと,観点を絞って繰り返し観察することで,植物の細かな部分の変化に気付きやすくしたことが有効であった。
発表2
名古屋市立菊住小学校

  稲垣 雅浩 

 
観察・実験の結果から実感を伴った理解を生み出す理科学習
<概 要>
自分で観察・実験を行い,得た結果を基に他の児童と交流し,新たな知識を獲得する活動と,振り返りの観察・実験の活動を設定すれば,獲得した知識を基に新たな問題解決に取り組むようになり,その知識の有用性をとらえ,実感を伴った理解が生まれると考え,実践を行った。
単元 : たんじょうのふしぎ(小5)
手だて
(1) 具体的な事象を体験する追究活動
 観察・実験の結果から実感を伴った理解を生み出すため,具体物に働きかける追究活動を設定する。目の前で起こる変化を体験することで問題意識が生まれ,意欲的に繰り返し追究していくことができるようになると考える。
(2) 情報の共有化を図るカードの活用
@ 記録カード(付せん紙を利用したカード)
付せん紙に書き込み,見方や考え方の意味づけ・関連づけや,グループでの交流がしやすくなると考える。
A 発表カード(色画用紙を利用したカード)
他の児童の考え方の共通点や差異点を確認しながら大きなカードにまとめることで,考えを整理しやすくなり,次への追究活動の見通しを立てたり,新たな見方や考え方を生み出したりしやすくすることができると考える。
(3) 振り返りの観察活動
情報の共有化を基に,実感を伴った理解をしたり,新たな見方や考え方を生み出したりすることができると考える。
成果

○具体的な事象を体験し,そこで得た情報を共有化し,振り返らせたことが,実感を伴った理解をしていく上で有効であった。
○具体的な事象を体験し,情報の共有化を進めていく中でよりはっきりとした理解ができるようになった。ここで得た知識を基に,子どもたちが「やっぱりニワトリの卵も,メダカと同じように成長していく」という言葉を生み出した姿は,実感を伴った理解をすることができた姿である。
 

<文責 林本 勝徳(名古屋市立藤森中学校)>