午前の部

平成22年度 「名理会発表会1日研修」報告

発表会のようす
発表会場1 発表会場2 発表会場3 発表会場4
助言 今井 邦秋 校長 助言 岩田 信行 校長 助言 一柳 慶一 校長 助言 吉田 厚司 校長
<発表会場1>
発表者 研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立千年小学校

  佐野 雄一

 
自らの考えを生かして活動する子どもを育てる理科教育
<概 要>
 自分なりの根拠に裏付けされた考えをもって,実証していくことのできる子どもを育てたいと思い,「間違っていてものびのび活動できる雰囲気作り」,「自作教具の使用」,「考えを表現できる場・時間の設定」にの3つに重点をおいて実践を行った。
単元 :「風やゴムのはたらきを調べよう」「豆電球にあかりをつけよう」(小3)
手だて
@ 実験ではなく『研究』
 研究とは実験の積み重ねを意味する。間違いや失敗をしても,「大丈夫なんだ」と,それを気にすることなく活動ができる環境を与えられる。
A 自作教具の提示
 先行経験と比較したり,複数の事象を比較したりする,考えるきっかけにできるような自作教具を提示することで,子どもは自分なりの根拠に裏付けされた考えをもつことができる。
B 考えを表現できる場・時間の設定
 自分の考えを生かすための場面と時間を確実に設定する。子どもの出した考えを自由に活用できるよう『研究』の時間をしっかりと確保し,『研究』の発表の時間を作ることで,考えを表現できる場を設定する。
成果 
◎ 子どもたちは,自分の考えを生かして活動することの良さを感じることができた。
○ 『研究』によって失敗を気にすることが減った。
○ 教師の自作教材を考えるきっかけにすることで,子どもの考えが広がった。
○ 考えを表現できる場・時間を十分に設定したことで,自分の考えを存分に
  生かし活動する子どもの姿が見られた。
発表2
名古屋市立橘小学校

  松尾 裕太

  
根拠をもって考えることを楽しむ児童の育成
〜実験や話し合い活動の工夫を通して〜
<概 要>
 「ただ結果を予想するだけでなく,どうしてそうなるのかを生活経験や既習内容と結び付けようとする」ような,根拠をもって考えることを楽しむ生徒の育成を目指して実践を行った。
 実践を行う上で,「予想する場面で,根拠をもって説明したくなるような課題の工夫」,「実際に説明する話し合いの場の設定」を重点とした。
単元 :「てことつりあい」(小6)
手だて

@ 課題提示の工夫
 基本的な内容を全員が体験しながらきちんと学習させる。そして,学習した内容を基に考えられるような課題を与える。そうすることで,学習したことを基に考えられるようにする。
A 根拠をもって話し合う活動の設定
 予想をするときにその根拠を明らかにさせる。次に,班でペアを作り,自分なりの考えについてお互いに話し合わせる。そして,このときに聞いた考えを班の別のペアに伝え,それを基に話し合う。このように,根拠をもって話し合う活動を設けることによって,自分の考えに自信をもたせたり,深めさせたりする。
成果
○ 課題提示の工夫では,前時までの学習と本時の学習を,教師がいかに結び付けさせることができるかが重要である。
○ ペアでの話し合い,具体物を使っての話し合いは,自分の考えに自信をもたせたり,考えを深めさせたりすることに有効であった。
<発表会場2>
発表者 研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立大高南小学校

  近藤 慎介

 
 
自分の考えをもって観察・実験に取り組む児童を育てる理科学習
<概 要>
 自分の考えをもって観察・実験に取り組む児童−経験や体験で想起した考えを,説明したり,考察したりすることで自分の考えとしてはっきりともち,見通しをもって観察や実験に取り組む児童−を育てたいと考え実践を行った。観察・実験の予想・考察が十分にできるように,3つのステップを重点に置き,実践に取り組んだ。
単元 :「てことつりあい」(小6)
手だて

@ 自分の考えをもてるようになるための活動
 児童が自分の考えを想起しやすい体験活動の設定
A 自分の考えをはっきりさせる活動
 自分の考えを記述し,説明して考えをやりとりできる場の設定
 @で想起した考えを記述・説明させる
B 自分の考えを確かなものにする活動
 Aではっきりした考えが,他の事例でも生かせるかどうか確かめる。
 他の事例で,観察・実験を行い,自分の考えを広げ,科学的な法則・仕組みとして一般化させる
成果
○ @で体験活動を取り入れたことは,自分の考えを想起しやすくなった
○ 予想・説明・考察の経験を多くすることで,自分の考えをもって観察・実験に取り組むことの楽しさを感じることができた。
○ 児童の考えを揺さぶる課題の提示は,児童が意欲的に課題に取り組み,自分の考えを一般化することに有効である。
発表2
名古屋市立大江中学校

  井上 将孝

 
 
生活との結びつきを大切にする理科学習
<概 要>
 生活との結びつきを強く意識させた上で,学習内容が身のまわりのどのようなところで使われているかを考えさせたり,身のまわりの生活の中にあるものを実際に使って学習したりする活動を積極的に取り入れ,生活との結びつきを大切にする理科の学習を目指した。
単元 :「電流とその利用」(中2)
手だて

@ 生活との結びつきを強く意識させる場の設定
 1階,2階どちらでもON・OFFができる回路図を書く
A 学んだことを生かす場の設定
 家庭用配線が直列回路か並列回路か,豆電球を使って考察する
B 生活から学ぶ場の設定
 電池で動く扇風機を分解し,モーターの仕組みを観察する。
成果
 3つの段階を踏まえた学習活動により,電気が身近に感じられる生徒が90%以上になり,家にある電化製品や単位などに自然に目が向くようになった。
 学習で利用した教材をもとに,実生活とのつながりを意識する生徒が増えた。
<発表会場3>
発表者 研究テーマ
発表1
名古屋市立徳重小学校

  内堀奈津美

 
 
植物と環境とのかかわりを実感できる児童の育成
<概 要>
 観察・実験により,植物と光,空気,他の生物とのかかわりをそれぞれ調べ,植物の光合成や食物連鎖についてとらえることができるする。その後,観察・実験の結果と考察を整理し,まとめることで,植物と環境とのかかわりり実感できるようにしたい。これらの活動を通して,植物と環境とのかかわりを実感できる児童を育てたいと考え実践を行った。
単元 :「生き物と養分」「植物の水の通り道」
     「いろいろな植物と環境とのかかわりを考えよう」(小6)
手だて
@ 植物と環境とのかかわりを調べる活動
 観察・実験の活動の中に,具体的な体験をする場や,実際の自然とのかかわりへの認識を生む場を設定し,植物の光合成や食物連鎖についてとらえることができるようにする。
A 植物と環境とのかかわりを整理し,まとめる活動
 観察・実験の結果と考察をワークシートに整理してまとめる活動や,教室背面の掲示板に植物と環境とのかかわりの様子を図として整理し,植物と環境とのかかわりを実感できるようにする。
成果 
○ 具体的な観察・実験を通して植物と日光,水,空気,他の生物とのかかわりを調べていくことで,体感的にとらえることができた。
○ 観察・実験の結果と考察をワークシートに整理し,まとめていくことで,植物の光合成と食物連鎖についてとらえていくことができた。
○ 調べたことを掲示板に整理しまとめることで,植物と環境とのかかわりを視覚的にとらえながら実感することができた。
発表2
名古屋市立南光中学校

  松原 潤一


 

 
遺伝の不思議さが実感できる授業づくり
<概 要>
 生徒が興味を示し,実感しながら単元の内容を理解していくことを重点にした。遺伝の仕組みをモデル化し,生徒自らが作業し,その結果と考察をしていく中で,遺伝の偶然性や不思議さに触れ,実感を伴った理解を目指し実践を行った。
単元 :「遺伝の規則性を調べてみよう」(中3)
手だて
@ 短時間で結果が得られるモデル実験を行い,メンデルの実験を疑似体験する
A 実験結果から遺伝の法則について考え,偶然の不思議さに触れ,実感を伴った理解を促す。
B DNAを視覚的に捉え,実際に遺伝子があることに気付く
C 自分の遺伝子がどのように遺伝していくのかをシミュレートすることで,遺伝を身近に感じる
成果
○ トランプを活用した実験は,メンデルの実験を疑似体験することに有効であった。
○ トランプの赤と黒の組み合わせの偶然性から,メンデルの実験における3:1を再現し,実感させることができた。
<発表会場4>
発表者 研究テーマ
発表1
名古屋市立豊治小学校

  西村 啓太
 

 
 
科学的な言葉で推論する児童の育成
−6年「てことつり合い」の単元を通して−
<概 要>
 児童が使う科学的な言葉の意味の背景をそろえるような経験をさせ,科学的な言葉を同じ意味で使えるようにする。こうすることで,全員が科学的な言葉を同じ意味で使い,推論できると考え実践を行った。
単元 :「てことつりあい」(小6)
手だて
@ 共通の経験をもつ場
 児童の使う言葉の意味の背景をそろえるような経験をさせ,科学的な言葉を同じ意味で使えるようにする。
A 共通の言葉を使って自然の事物・現象にはたらきかける場
 学習内容について児童が記述するときに,その時間に大切であろうと考えられる科学的な言葉を「キーワード」として与え,それをもとに推論したり観察したりする。
成果
○ 児童が使う言葉の背景をそろえるような経験をさせたことで,全員が同じ言葉を同じ意味で使い,推論することができた。
○ 「キーワード」を使って自然の事物・現象にはたらきかけることで,与えられた課題に対して共通の観点から取り組むことができ,同じ事象を同じものとして見て推論したり,実験したりすることができた。
○ 児童は科学的な言葉を使って推論し,てこの規則性についての科学的な見方や考え方をもつことができた
発表2
名古屋市立笹島中学校

  中川 靖浩

 

 
生徒の考えを引き出す理科授業
<概 要>
 様々な視点や考えを踏まえ,生活経験や既存知識など,経験や知識を結びつけて活用し,自分の科学的な見方や考え方を構築することで,自信のある自分の考えをもつことができ,自然の現象・事物に対して主体的にかかわろうとする生徒」を育成していくことを目指して実践を行った。
単元 :「電流とその利用」(中2)
手だて
@ 生活経験や既存知識が活用できる発問をすることで,自分の考えの根拠を考えさせる。
A 選択肢を設けることで,様々な視点で現象や事物をとらえられるようにする。
B他者の考えを聞く機会を設けることで,自分の見方や考え方が広げられるようにする。
C学習してきた知識を生かして,日常生活に振り返られる活動を行う。
成果
○ 発問を工夫し,自分の考えの根拠を考えさせることができ,自分の考えに自信をもたせることができた。
○ 選択肢や他者の考えを聞く機会を設けることで,自分の見方や考え方を広げることができた。
○ 生活経験や既存知識を活用させることで,自分の見方や考え方を科学的なものに高め,日常生活に振りかえらせることができた。
これらから,自然の現象・事物に主体的に関わろうとする姿勢をつくりあげることができた。
 

<文責 林本 勝徳(名古屋市立藤森中学校)>