午後の部
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名理会会長 小林泰雄 校長先生(大手小) |
来 賓 日置 光久 氏 (文科省初等中等教育局視学官) 神谷 龍彦 氏 (教育委員会 委員長) 野田 敦敬 氏 (愛知教育大学 教授) |
名古屋・尾張・三河の役員の先生方 |
講 演![]() 「実感を伴った理解を図る新しい理科教育」 講 師 文部科学省 初等中等教育局 視学官 日置 光久 氏 1 「実感を伴った理解」の理解を図る ○ 実感は,現実である。リアルからスタートしたい。 疑似体験やデジタルのものではなく,アナログの世界である。 (1) 「実感を伴った理解」の3つの側面 @ 具体的な体験を通して形づくられる理解 諸感覚を働かせた「体得」の理解は,興味・関心の促進や 適切な考察の基盤となる。 A 主体的な問題解決を通して得られる理解 長期記憶に残る「習得」の理解は,知識・技能の確実な理解,定着につながる。 B 実際の自然や生活との関係への認識を含む理解 意味が分かる「納得」の理解は,学ぶことの意義や有用性,意欲や関心の促進につながる。 (2) 「実感を伴った理解」の3つのレベル @ 観察・実験の結果を「事実」として尊重する A 結果に対する評価を行い「真実」を追究する B 得られた結論(知)を「現実」(生活,自然)の中で見直す ここで注意したいのは,最近は実験を行っても,児童生徒がそれをじっくり見ていない場合が目立つ。観察・実験を「凝視」する訓練も必要である。 (3) 実感を支える基盤 @「自然に親しむ場」の重視→「自然」観の新しい解釈の必要性 A「自然を愛する心情」の重視→ESD,環境保全の文脈の中での新しい解釈の必要性 ・自然調和型社会(自然・生命) ・資源循環型社会(ごみ・資源) ・共生社会(共生・共有) ・低炭素社会(省エネ・地球温暖化) 2 新時代の理科教育としての「日本型理科教育」 (1) 「自然」から入り,「科学的」に考える理科 @ 理科の目標に見る「自然」と「科学」 「自然に親しみ,見通しをもって観察・実験などを行い,問題解決の能力とともに自然を愛する 心情を育て,自然の事物・現象の実感を伴った理解を図り,科学的な見方や考え方を養う」 →学習の入り口としての「自然」(対物的),出口としての「科学」(人工的) ※ 理科の目標が,日本型理科教育の全てである。 (2) 理科のOSとしての「自然観」,ソフトとしての「科学」 ○我が国における理科学習の基盤としての,伝統的自然観 ○西洋とは異なる我が国の理科のOS (3) 学びのOSとしての「日本型理科教育」 ○リアルとの接点が濃密なアナログの所持が大切である 3 個の「実感」と類としての「実感」 (1) 主観的,個人的,経験的(感覚的)実感が,個の「実感」(第1次実感) (2) 所与的,集合(類)的,歴史・状況的実感が,集合的「実感」(第2次実感) 4 具体と抽象の往復 活動の場は,具体の層,半具体の層,抽象の層と3つに分けられる。この3つを関わらせ行き来することが大切 (1) 具体の層:知をつくる現場 ○直接体験を重視する→諸感覚をフルに使う,心の解像度を上げる,探索型の学び,フローとしての知識 (2) 半具体の層:論理をつくり,整理する場 ○メディアを活用し,組み合わせる。プルメディア(探索型の学び)とプッシュメディアを組み合わせる。 (3) 抽象の場:知をつくり,一般化・体系化する場 ○日常言語から科学言語へ (4) 具体と抽象の往復 @移す:物(具体物)→リアル A映す:デジタル変換→バーチャル B写す:情報→アブストラクト 5 言語活動の充実 (1) 新しい「言語活動」 知的活動だけではなく,コミュニケーションや感性・情緒の基盤でもある。 ・理科の第2観点:「科学的な思考」→「科学的な思考・表現」 (2) いろいろな意見をしっかり聞くこと ○ 結果・考察・結論をしっかり区別できる。 (3) 学んで,考え,表現する 分かっていてもそれを自分の言葉で表現できない子どもが多い。 そこで,以下の3点に注目して表現する方法を身につけさせたい。 ・inputとしての「学び」とoutcomeとしての「表現」,processとしての「思考」 ・抽象と具体 ・原因と結果 |
<文責 林本 勝徳(名古屋市立藤森中学校)>