午前の部

 平成24年度 「名理会発表会」報告

<発表会場1>
発表者    研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立大坪小学校
 吹 原 健 志

 
  
 植物の成長をより理解できる児童の育成
  −一人一鉢での栽培を通して−
 植物の成長をより理解できる児童の育成を目指した。植物の成長をより理解できる児童とは,植物に主体的に関わることで,植物の成長過程やからだのつくりに気付き,植物の葉と茎と根の成長について理解できる児童であると考える。
単元 植物をそだてよう(1)(1) <小3>
手だて
 @ 一人一鉢での栽培
 A プリント使った比較
 B 水耕栽培
成  果
○ 一人一鉢の数を生かして植物の背の順を作り,比較したいという考えが児童から生まれた。それにより,「茎の真ん中から新しい葉が増える」「茎が高いオクラは,葉も多い」と,葉と茎の成長を理解する児童の姿を見ることができた。
○ 水耕栽培では,「茎より根の方が成長が速い」「大豆とヒマワリは根の形が似ている」「大豆の根には丸い玉がたくさんある」など,根の成長過程だけでなく,体のつくりも知り,根の成長を理解する児童の姿をみることができた。 
発表2
名古屋市立志賀中学校
 高 井 要 治

  
 実感を伴った理解を深める理科授業
 日々の授業で生徒が実物を観察し,自分の目で確かめ,繰り返し感動を味わうことができるような工夫をすることにした。感動を味わうことができれば,生徒は一つ一つの「本当の知識」を定着させることができる。そして,定着した「本当の知識」を身近なものに当てはめることで,学習したことが役立っていると感じさせたい。そうすることで,実感を伴った理解を深めることができると考えた。
単元:植物の生活と種類<中1>
手だて
@ 感動を味わわせるための手だて
 実際の植物を生徒一人一人が操作し,観察することで,実物を自分の目で確かめる体験をするための教材の工夫。
A 学習したことが役立っていると感じさせるための手だて
 定着した「本当の知識」を活用し,身のまわりにたくさん生えている野草に,当てはめることができるような課題設定の工夫。
成  果
○ 実物を観察し,自分の目で確かめ,繰り返し感動を味わうことで,「本当の知識」を定着させることができた。
○ 野草ガイドブックの作成を通して,定着した「本当の知識」を身近なものに当てはめることで,学習したことが役立っていると感じることができ,実感を伴った理解を深めることができた。
<発表会場2>
発表者    研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立吹上小学校
 嶋 崎  智

 
 日常の生活の中から環境問題を意識し行動できる児童の育成
 −自分にできることをやってみよう−
 地球環境を守るため,電気や水,植物などの科学的な観点に着目して今,自分たちの手でできることを考え,調べ,話し合うようにする。こういった活動を行うことで,児童は,普段の行動と地球環境とを結びつけるようになり,日常の生活の中から環境問題を科学的に捉え,実行しようと意識することができるようになると考えた。
単元:環境について考えよう<小4,総合的な学習>
手だて
1 自分にできることをやってみよう
 @ 吹上公園のクリーンウォークをしよう
 A 地球環境を守るために自分たちにもできることを考えよう
 B 考えたことを実際に行動に移してみよう
 C 今までの活動を振り返り,報告会をしよう
2 リサイクルをしよう
 @ 自分たちにもできる身近なリサイクルを調べよう
 A 牛乳パックからハガキにするリサイクル体験活動をやってみよう
 B ハガキに自分たちの思いを書こう
成  果
○ 実践を進めていくうちに,これまでただ漠然と地球環境について考えているだけだったものが,「自分たちにできることはないか」という考えに変容し,日常生活の中から環境問題を意識し,行動する姿が見られるようになった。
発表2
名古屋市高田小学校
 長 崎 寛 之
 
 
 科学の言葉でまとめよう
 観察・実験から「わかったこと」をまとめるためには,観察・実験のねらいを明確にする必要がある。また,仮説を事前にもたせることも,生徒の「わかった」に重要ようなポイントになる。さらに,観察・実験のまとめをする段階では,個人やグループで,よく比較・検討し,多くの児童が納得できる「わかり」に高める必要がある。また,その過程で,「児童の言葉」を「科学の言葉」に変えていくことも重要である。
 これらを段階的に行い,「科学の言葉でまとめる力」を育てたい。
単元:ものの燃え方<小6>
手だて
 @ 実験のねらいと予想をもたせる
 A 実験結果をまとめる
 B わかったことを説明し合う
成  果
 3つのステップを2回繰り返し行うことで,「閉じ込めた火が消える」という事象を,「物が燃えると酸素が減り,二酸化炭素が増える」と,科学の言葉を使って説明できるようになった。
<発表会場3>
発表者    研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立野立小学校
 池 田 純 也

 
 学んでよかったと実感できる理科学習
 児童が学んでよかったと思えるような理科学習を目指したい。児童が,これまで興味・関心をもたなかった,「当たり前のこと」と思い込んでいたりしていた自然の事物・現象に対し「新しい見方」が生まれたり,学んでいることが「大切なこと」「必要なこと」であることに気付いたりすれば,児童は心から理科を「学んでよかった」と実感することができると考える。
単元:体のつくりとはらたらき,生物とそのかんきょう<小6>
手だて

 @ 体験活動を取り入れた導入
 A 視覚化した結果を活用した考察
成  果
 問題をもつ導入の場面と,実験結果をまとめる考察の場面に工夫を取り入れ,児童の自然の事物・現象に対する見方や考え方の変容を目指したことは,「学んでよかった」と実感させる上で有効であった。
発表2
名古屋市立南光中学校
 松 原 潤 一
 
 
 科学的に思考し,表現できる生徒を目指して
 新学習指導要領では,評価の観点の一つが「科学的な思考・表現」に変更された。生徒たちは,実験結果から分かることを思考するだけではなく,思考したことを表現する力が必要となった。そこで,生徒たちの科学的な思考を高めるとともに,思考したことを表現する力を高めることを目的とした。
単元:植物の種類と生活<中1>
手だて

@ 子どもの考えと自然事象をつなぐ場面
 子どもが自然の事物・現象と出会ったとき,何が分かっていて何が分からないのか,問題点を明らかにするための指導・支援の場。
A 子ども同士の考えをつなぐ場面
 子ども一人一人の学びを,他者と関わり,関連付けることによって共有できるものとし,確かなものにするための指導・支援の場。
成  果
○ 自信をもって自分の考えを図示できるようになった
○ 思考する楽しさを味わうことができた  
<発表会場4>
発表者    研究テーマ・概要
発表1
名古屋市立熊の前小学校
 早 川 祐 介

 
 継続して夜空を観察する理科指導
  −星空のある教室−
 継続的な夜空の観察を通して,夜空を眺めながら,自然の大きさ,自然現象のおもしろさを感じたりできる児童の育成を目指した。
単元:星や月・星の明るさや色<小4>
手だて

 @ かけ声観測法
 A 星空再現パラソル
成  果
○ かけ声観測法によって,星を見つけるための技能を高めさせることができた
○ 星空再現パラソルによって,見つけた星を説明させやすくすることができた
発表2
名古屋市立赤星小学校
 羽 柴 雅 継
 
 
 自ら考え,表現する子を育てる理科学習
  −共通体験と共通言語を通して−
 さまざまなとらえ方をしている子ども同士が話し合いをしていても,相手のイメージしていることを理解することができず,相互理解ができず,考え,表現することができない。そこで,共通体験と共通言語を取り入れ,相互理解を進め,事象に対して自ら考え,表現することができる子どもの育成を目指した。
単元:とじこめた空気と水<小4>
手だて
 @ 諸感覚による体験(共通体験)
 A 粒子概念を取り入れた話し合い(共通言語)
成  果
○ 「諸感覚による体験」では,空気と水を閉じ込めた手ごたえ(触覚)のみに集中させ,前時までの経験からの予想と異なる結果が得られたことで,「なぜだろう。理由を調べたい」と自分の問題としてとらえることができ,考えを交流させようとする意識を高めることができた。
○ 「粒子概念を取り入れた話し合い」では,同じ概念で考え,それを伝え合ったことで,より確かな考え方で事象をとらえることができた。
 <文責 林本 勝徳(名古屋市立藤森中学校)>