2歳児の様子(7月〜9月)

みなこ先生(主任)が、2歳児の様子を書いてくれました。

ギラギラ照りつける暑い夏。 園庭、屋上やテラスをところ狭しと、 あちこちで学年ごとにプール、

どろんこあそび、シャボン玉、 色水あそび等、夏のあそびに夢中になる子どもたちです。

そして2歳児のテラスにずらりと並んだ5〜6個のビニールプール。

プールの大きさも、水の深さもいろいろで、あとは子どもたちを待つばかり。

そこへ目を輝かせた子どもたちがやってきました。

普段なら、保育者に手助けしてもらうまで待っている子も、 なんとか自分で水着に着替え、

気に入ったプールをみつけて、 さっそく水あそびを始めました。


その様子をよく見ていると・・・

「水に触れたり、飛び込んだりして、水そのものの動きや感触を自分の身体で味わう 子」

「おもちゃや牛乳パックなどの容器を使って、水とかかわることを楽しむ子」

「水あそびを通して、保育者や友だちとふれあうことをよろこぶ子」 と、

水に対するイメージや楽しみ方は、 一人ひとりほんとに個性的なことに気づきました。

自分の身体で水の感触を味わい、楽しみたい時には、 おもちゃなどはかえって不必要なのかもしれません。

あそびに夢中になるために、 あそびのために準備したものが余分になることもあることを学びました。


つめたい水、パシャパシャ、ザーザー音のする水、 飛び跳ねたり、流れたりする水・・・。

水そのものの魅力や不思議さが2歳児なりに満喫できるよう、

保育者は感性豊かに、一人ひとりの水へのイメージや思いを推察し、 共感していくことの大切さを感じました。

自分なりの楽しみ方で充分満足し、保育者や友だちから刺激を受け、 共感する喜びが味わえると、

子どもたちの思いは、2歳児とはいえだんだんまとまってくるようです。

時には、「ゆかいなかえる」のような絵本やお話にふれ、 共通のイメージを持ってプールに入り、ごっこあそびを楽しむこともいいですね。

【8月の様子】

 去年の夏、園では初めて「夕涼み会」を計画しました。

以前は、真夏を避け、7月の初旬に「七夕まつり夜のつどい」を園庭で行っていまし た。

梅雨時とあって天候に左右されやすいのと、 スペースも狭かったため、隣の小学校にお願いし、

場所を園庭から体育館に移して数年間行いました。

外が雨でも予定通り行えたものの、室内の暑さと、やはり雰囲気が出ないこと、

なにより地域に開かれた行事にもしたいという思いがあって、 館内だとどうしても活動に制限がありました。

どうしたものかと思案していたところへ、 やはり隣にあるお寺から「境内をどうぞ」というありがたい声を頂きました。

さっそく4月からお寺に散歩に行ったりして境内の雰囲気に親しみ、 玉砂利の上を歩いてみました。

「くつがくすぐった〜い!」といいながら、2歳児も不思議そうにキョロキョロして いました。


そして梅雨も明けた8月当日、昼間の暑さとは若干変わって、 涼しい風が夏の夜に吹きはじめ、いよいよ夕涼み会が始まりました。

鐘つき堂を中心に四方にのばした提灯に灯りがともり、 家族総出で広い境内はいっぱいです。

普段お寺に来なれているおじいちゃんやおばあちゃんも集まってくださっている様 子。

地元の業者さんと職員でスーパーボールすくいやかき氷、 だんご、ジュースなどの夜店ごっこを行い、

園児や卒園児のお父さん方を中心に、自警団の方々が周辺道路を整備してくださいま した。


0〜2歳児は、情緒の安定をはかり親子で行動することとし、 大きな子の踊りの輪に沿っておうちの人といっしょに歌い、踊りました。

卒園児たちも次々に放送席に来て「先生、こんどは◯◯の曲かけてー」と興奮気味。

ゆかたを着て楽しそうに踊りまくるお父さんやお母さんの姿もとても印象的で、 大いに盛り上がった夕涼み会となりました。

その時は、みんなの様子をキョトンとして見ていることの多かった2歳児でしたが、

夕涼み会が終わった翌日あたりから盛り上がりはじめ、 曲をかけてと言ってきたり、ままごとでお店やさんごっこが始まったりして、

しばらく2歳児なりに余韻を楽しんでいるようでした。


私たちの保育園では、年に何回かある、四季折々の園全体での行事を大切にしていま す。

小さな子のいる家庭や、忙しい家庭にとっては大変かもしれませんが、

それぞれの楽しみ方があっていいという思いから、 いろいろな参加のしかたをおうちの方に提案しています。

どの行事でも何はともあれ一番感じてほしいのは、“みんなでする楽しさ”です。

みんなでワイワイ賑やかに集うだけで心がはずむ経験を、 幼いうちから一生を通じて味わっていけたらと思います。

園生活でもよく感じることですが、 子どもたちは、0歳児でさえ自分以外の人がいるだけで、大きな刺激を得ています。

いろんなやりとりをしながら、いっしょの部分をみつけてよろこび、

ちがう部分に気づいて認め、自分の中に取り込むことで自分の世界を広げていく。

人間って本来こういうものなんだなあと、子どもを見ていると学ばされます。

よりよい保育を追求するなかで、“集団”、“一斉”という言葉の持つ意味すべてに 抵抗を感じた時期もありますが、

「みんなでなければできないことができる良さ」、 「みんなで一緒に活動する上で、それぞれの良さに気づき、

大切にし合える保育」 を工夫していくことの必要性を感じるこのごろです。


【9月の様子】

この夏、いろんな生き物や自然と関わった子どもたち。

生き物を前にした時の2歳児は、本当に興味深いものがありますね。

園庭の隅に並ぶ植木鉢の下はだんご虫のすみかだと、代々受けついでいる子どもた ち。

シーズンになると、年上の子は誰からともなく砂場のバケツとスコップを手に鉢に群 がります。

その様子を興味津々でのぞき込む2歳児が数人。

そしてお兄さんたちが室内の活動に入るのを見て、 今度は自分たちが、空いたバケツをかかえて、いそいそと植木鉢へ向かいます。

そっと鉢を動かして「いた!」「いない!」「捕まえて!!」と大騒ぎ。

「あそこにおるゾー」と友だちに知らせて引き連れていく姿は、 まるで“だんご虫探検隊”でした。


そんな思いで捕まえただんご虫をみんなで逃がす時、まー君は始め嫌そうな表情でし たが、

保育者が「おうちに帰してあげようね」と声をかけると、 しばらく考えて

子 「おかあさん、まっとる?」

保 「まってるよ」

子 「ただいまっていう?」

保 「そうね、おかあさん、おかえりっていうよね」

子 「まーくんのママもおかえりっていうよ」

こんな会話をしながら納得したのか、 「さよなら、またね」と手をふってお部屋に戻りました。

また、強くつまみすぎて弱ってしまっただんご虫を、 心配そうに持ってきたたか君に、

「あっ、病気みたいだね。そーっと草のおふとんに寝かせよう。」というと、 真剣な顔で草の上にのせていました。


子どもたちはまるでその生き物になったみたいに、 自分の気持ちを重ね合わせてしまう天才です。

サークルの中のアヒルに刻んだ野菜をあげながら、 「おいしいよ、食べてごらん」と話しかけるえっちゃん。

一生懸命のあまり、つい自分の口に入れようとして、そばにいた保育者に教えられる 場面も。

おもちゃと違って、自分の思い通りになりそうでならないもどかしさで、 生き物は子どもにとってとても魅力あるもののようです。

同時に、生き物に自分たちと同じ気持ちがちゃんとあると信じて疑わない子どもたち の感性を、

保育者として大切に受けとめたいと思います。

“三つ子の魂百まで”のこの時期、 生き物への興味を、

いきなり「足は何本」「はねは何枚」などといった 知識につなげてしまうのではなく、

「かわいい」「かわいそう」という愛情や、 「がんばってるね」「すごい」などの尊敬の気持ちでたっぷり味わう体験ができれ ば、

成長する上で、自然も他人の命も、そして自分の命をも大切に考えていけるのでは と、 日々の保育の中で願わずにいられません。