[伝説の男?]('10/7.30)
 

 今日は、保育園のお泊まり保育だ。(これを書いているのは、お泊まり保育中の夜中)
キャンプファイヤーも楽しかったぞ。
先生たちの出し物では、みなこ先生(母ちゃん)も他の先生たちと
火のついた棒を振り回したファイヤーダンスで大盛り上がりだった。

父ちゃんは、いつものように園長先生のお楽しみとして、
園庭にガソリンをまき散らし火の海にして、その中で、打ち上げ花火や30連発花火をつないだものを打ち上げまくる!
という子どもたちもビックリ!的な出し物を毎年やっている。(よい子は真似をしないように・・)
キャンプファイヤーでは、子どもたちもノリノリで踊っていたが、やっぱりお遊戯室で寝る頃になると不安げになる子もチラホラ・・。
でも、先生たちが横にいてくれるので、10時くらいまでには、みんな寝てしまったぞ。
毎年、このお泊まり保育を経験すると年長さんが年長さんらしくなってくるのだ。
子どもって素晴らしいもので、いろいろな経験を自分の血や肉に代えていく。
父ちゃんは、いろいろな経験があだになるのが悲しい・・。

で・・話は、寒い3月に戻る。

 3月。ナホもタカも、何とか高校・大学に合格した。
特に、タカは、学校の先生も驚くほどの要領の良さだ。
やはり、こういうときの次男は強い。
多度のレース(65の頃)では、レース直前まで寝ていて、あわててスタート5秒前にスタート位置に入ったのにも関わらず、
ホールショットを取ったことが何回かある。(レース直前まで寝ている方がおかしいと思うのだが・・)
でも、結局、良かったのはスタートだけで、その後はドンドン抜かれていったからな。
まさしく、タカの人生だな。せっかく運良く大学に入れたのだから少しは勉強しなよ。

ということでやっと我が家にも春が来た!(父ちゃんとショウゴは、ずっと春だったでしょ!←母ちゃんの声)
みんなで映画を見たり、Wii Sports のゲームで盛り上がってしまったぞ。
タカもやっとモトクロスの練習を始めたのだが、その走りは哀れなものだった。
あげくに会う人会う人に「タカくん、丸くなったな〜」とか「なんかでかくなったぞ」と笑われる始末。
確かに腹なんかまるで母ちゃんのようだぞ。(ショウゴの腹も似たようなものだが・・)
我が子ながら情けない!

父ちゃんが20代そこそこの頃は、豊橋港で牛や馬のように働き、全身筋肉の塊のようだったんだ。
きっと母ちゃんもこの筋肉に惚れたんだな。
(豊橋港で母ちゃんに拾われたので、ついたあだ名が“豊橋港の捨て犬!”)
自慢じゃないが、40歳まで腹筋だって割れていたんだぞ。
まぁ、49歳の今では、たるんだ腹になってしまったが・・。

結婚ってボランティアよね〜」といつも言っている母ちゃんだが、
父ちゃんを選んだ理由に、「いざというときには、何とかしてくれそうだから!」というのがあったな。
そういえば、付き合っていた頃は、「明日にも東海大地震が起こる!」って散々言われていた頃だったので、
“東海大地震対策”で父ちゃんを選んだ!と聞いたこともあるくらいだ。

合格通知が来てから、タカは、浮かれていた。
我が世の春を満喫していた。
しかし、大学の入学説明書を読んでいた母ちゃんの一言で事態は急変する。
「タカ、前期の授業料を今日中に払い込むことになっているじゃない!
振り込みがない場合は、“入学辞退とみなします”って書いてあるわ!!」

この時、金曜日夜の11時。
Wii Sports を笑いながらやっていたタカの手が止まった。
しまった!」タカが叫ぶ。
「もうダメだ〜!」タカが呻く。
「まだ、コンビニだったら間に合うわ!」母ちゃんも叫ぶ。
振り込むお金はあるのか!俺はないぞ!!」父ちゃんも負けずに叫ぶ。

母ちゃんの目が光った。
「大丈夫、そのうちに振り込みの期日が来ると思って、昨日おろしておいたわ!」
さすがは、母ちゃんだ。俺を拾う女だけのことはある。抜け目がないぞ。

急いで車に乗る母ちゃんとタカ。
「頑張ってね〜」とナホと父ちゃん。その手には、Wiiのコントローラーが力強く握られていた。
1時間ほど経った頃だろうか・・。
Wiiで汗まみれになった父ちゃんとナホのところにすっかりと気落ちした二人が帰ってきた。
Wiiのリモコンを振り回しながら父ちゃんが聞く。
「どうした、ダメだったのか!」
「コンビニでも24時間やっている郵便局の本店でも振り込めなかったのよ・・」
憔悴しきったタカが言う。
「もうダメだ、今日学校に行ったら先生たちにもみんなにもおめでとう!って祝福されたのに・・、
よく頑張ったな〜って褒めてもらえたのに・・、
これじゃ、伝説の男になってしまう、ずっとこんなバカなやつがいたって学校中の笑いものだ〜〜〜
「あの脳天気なタカちゃんが落ち込んで毛布にくるまっている〜〜〜」ナホが喜ぶ。

その時、母ちゃんの声がリビングに響き渡った。
「待って、緊急の場合等、本学が認めた場合のみ、3日後に大学にて直接入金しても良い!って書いてあるわ!」
毛布にくるまったタカがまたまた呻く・・「どうやったら緊急の場合なんだよ〜、そんな理由なんてないじゃないか!」
さっきまでWiiで盛り上がっていたリビングに沈黙が漂う。

「猫が死んだってのはダメよね、じいちゃんにする?」
母ちゃんの提案をタカが遮る。「そんな嘘はすぐにばれちゃうよ!」
いつもいい加減で前向きのタカが負のスパイラルに落ちていく・・。

「よし、分かった、俺に任せろ!」父ちゃんがついに動いた。やはり、いざとなったら父ちゃんだ
東海大地震ではないが、父ちゃんの出番であることは間違いない!

みんなが父ちゃんに注目した。
父親がバイクに乗って失踪したことにしろ、父ちゃんは、明日から一週間雲隠れする、母ちゃん、保育園を頼むぞ!
「へ?」←母ちゃん
「・・・・」←タカ
「よいしょっと!」←Wiiのコントローラーを握るナホ。
ショウゴは、友達の家に遊びに行っているぞ。

しばらくの沈黙の後、みんなは何事もなかったのように先ほどまでの体勢に戻った。
母ちゃんは、もう一度大学の入学説明書を読み直している。
タカは、「俺は伝説の男だ〜!」と毛布にくるまりのたうち回っている。
ナホは、Wiiでフィーバーだ。
ショウゴもきっと友達の家で盛り上がっているだろう。

「俺は、この一週間であちこちの全日本コースを回ってくる、ちゃんとお土産は買ってくるから安心しろ!
誰も返事をしない・・。
「着替えは何日分いるかな?」とひとりソワソワする父ちゃん。

母ちゃんは、また大学の入学説明書をまた読み始めた。
タカは、毛布にくるまってゴロゴロとのたうち回っている。
ナホは、「ヒャッホ〜!」とコントローラーを振り回す。

もう夜中というのに何故か誰も寝ようとしない父ちゃん一家だった・・。

PS
その後、よ〜く入学説明書を読んだ母ちゃんが何とかなることを発見し無事に大学に入れたタカ。
よかったな〜、やっぱり父ちゃんのおかげだな、感謝しろよ!(父ちゃんは何にもしてないでしょ!←母ちゃんの声)