['12中部選手権第1戦]('12/8.13)
 

 いつも更新が遅くなってしまい、申し訳ない!

いよいよ、今シーズンの開幕だ。
昨シーズンの中部勢からIAにあがったのは、
全日本からは、元チームメイトのタカシと多度で育ったウキョウ、
中部チャンピョンでヒロシとオクムラ弟だ。
IAは、大変だと思うが、みんな怪我せずにがんばってほしいな。

IB固定ゼッケン組は、7番のユウトを筆頭に13番のタイチ、
14番ヒサ、15番イブキ、27番オオバくん、34番のトクチさん、
36番マサヤ、40番のタクミといったところか。
ルーキーにも速い子たちがいるし、今年の中部もなかなか大変だぞ。

 ’12シーズンの第1戦は、3月4日の中部選(イナベ)から始まった。
この日は、JNCCの第1戦(プラザ坂下)でもあった。
しかし、朝からポツリポツリと降り出した雨は、午後からは、土砂降りの時もあったくらいだ。
リョウスケはどうしているだろうか?
ドロドロヌチャヌチャゴロゴロのエンデューロで泣いていないだろうか?
う〜ん、心配だ(でも、結果は、Aクラスで優勝!)

心はすでにここにあらず”のショウゴは、JNCCのエントリーも間に合わずにこの中部選にいた。
しかし、練習走行を見ても明らかに昨年より速くなっている!
どうしてそれが分からないのだ、ショウゴよ。
今までの努力は無駄ではなかったのだよ。
う〜ん、我が息子ながら情けない・・。

そして、午前のIB2決勝。
エントリー台数は、ほぼフルグリッド。
今シーズンから450ccに変わった父ちゃんは、IBオープンのみのエントリーでIB2はメカニックだ。
この時は、まだそんなにコンディションは悪くなかったが、
相変わらずのスタートの悪さで、兄弟そろって後ろの方からの追い上げだ。

でも、ここからが昨年とは少し違った。
毎週着実に順位を上げるショウゴにその後を追うタカ。
3,4周もすれば、ショウゴが7位でタカが10位くらいを走っている。
二人とも抜くのがうまくなっているのが、このピットエリアから見ていても分かるぞ。

このメンバーでこの位置を走っていれば、昨年なら上出来だ。
しかし、ショウゴは、明らかに前の3位争いをしている集団に追いついている。
この時点では、前を行く固定ゼッケン組よりもタイムが出ていたのではないだろうか?
すごいぞ!ショウゴ!まだ、タカも何とかついて行っている。すごいぞタカ!!
特に昨年のタカは、いつも後ろの方を走っていたぐらいだぞ。

このまま行けば3位争いだ!と思った瞬間、ショウゴが転倒。
タカも急に力尽きて、順位をドンドン落としていく・・。
その後、ショウゴは少しだけ追い上げて7位、タカは転倒もあって19位だった。
結果こそ、昨年と変わらないが、内容は明らかに良くなっているぞ。

そんな期待を胸にして午後のIBオープン。
すでに雨は、本格的に降りだし、
コースはグチャグチャヌチャヌチャの昨年の全日本終盤状態。
せっかくの父ちゃんの’09CRF450お披露目レースも台無しだ・・。
すっかりやる気をなくしているショウゴに「これならいけるかも?」とまたまた根拠のない自信を見せるタカ。

ただ、イナベの雨には、タカは良い思い出がある。
あれは、タカがまだ65ccに乗っている頃だった。
中部選の併用レースとして開催された65ccの雨のレースでタカは生涯最高位の2位を取ったのだった。
といってもあまりのコースコンディションの悪さに“オヤジたちがコースの中に入って手伝っても良い!”
という特別ルールだったので、あちこちでスタックしている自分の子どものバイクをひたすら押しまくる!
というオヤジたちの耐久レースになっていた。

まだ、現役バリバリで力も有り余っていた父ちゃんは、ドロドロのコースを所狭しと走り回り、
タカのバイクを押し続けた結果、2位を獲得したんだ。
レースが終われば、コースのあちこちで煙を吐いて埋まっているバイクと
その傍らで泥だらけになって立ちつくすゾンビのようなオヤジたち・・。
地獄絵図のようだった・・。


でも、表彰式の時のタカの嬉しそうな笑顔は今でもはっきりと覚えているぞ。
そのときに優勝したのは、今では固定ゼッケン(13番)のタイチ。
きっとオヤジ同士の体力では勝ったと思うが、子どものテクニックで負けたんだな。

その後の高校入試でも要領のいいタカは、面接官を誘導してモトクロスの話に持って行き、
この時の結果を誇らしげに語って合格した。
う〜ん、やっぱり次男は世渡りがうまいな。

そんな思い出に浸っているうちにIBオープンがスタート。
猛然とダッシュする父ちゃんCRF450。

うらりゃりゃ〜〜〜と第1コーナーを4位で抜けて第2コーナー。
こりゃいけるぜ!思った瞬間にインからアウトからぶつかってくる礼儀知らずな若者たち。
年寄りを大切にしましょう!って習わなかったのか?

そんな、よろける父ちゃんの横をすごい勢いで抜いていくショウゴ。
こんなドロドログチャグチャなコースをこんな速度で攻めれば転倒だぞ!と思うまもなく父ちゃんが転倒。
エンジンが止まれば、このドロドロの中で450のエンジンなんて絶対に掛けることは出来ない。
死んでもクラッチを離してはならない!と根性でハンドルにしがみつく。
その横を泥をまき散らしながらバイクが何台も通っていく。
気がつけばベリ。
一人、泥人形の父ちゃんはヨタヨタと再スタート。

しかし、この後も荒れているコースと信じられないような轍に阻まれて最終コーナー手前で転倒。
バイクを起こすのに手間取り、キックしようにも足が届かず、
何とかキックしだしてもキックペダルが泥で滑ってエンジンが掛からず、一周も出来ずにリタイヤを確信した。

そんな父ちゃんの横を綺麗なバイクのトップがやってきた。(もうラップじゃん!)
スタートからトップだったその黄色いバイクはゼッケン7番のユウトだった。
やっぱり、ユウトは雨でも速いな〜。
と感心している5mぐらい後ろを2位の泥だらけのバイクが追っている。
ホンダのバイク?ってことは、タイチかイブキ??

すでにゴーグルを捨てていて、泥だらけの顔を見て驚いた。
あの細い目は間違いなくショウゴだ!
それもスタート前の負け犬のような目ではなく、獲物を追いつめているライオンのような目だ
「ショウゴ、いけ〜!」と思わず叫ぶ父ちゃんの横を無視して走り去るショウゴ。
もうトップしか見えていないようだった。

父ちゃんは、バイクを動かすことも出来ずに深い轍の中でバイクにまたがり、
「みんなよくこんなドロドロヌチャヌチャのコースを走れるな?」と感心しながらのレース観戦だ。
あのタカだって中盤を一生懸命に走っている。
もう父ちゃんは、助けてやることも押してやることも出来ないぞ。
(もし「やっても良い!」と言われてもこんなヘロヘロ父ちゃんでは無理な話だが・・)

「このまま転ばないように走ればいいぞ!」と叫ぶ父ちゃんの横を無視して走り去るショウゴは、
トップのユウトを抜こうとインにアウトにとラインを変えている。
そのたびに振られてタイムロスをして離されていく。
しかし、また追いついて抜こうとしている。

どうしたんだショウゴよ?もうお前は、モトクロスを諦めてエンデューロに行くのではないのか?
7歳の時にPW80で初めて出たエンデューロのレースで
上り坂でバイクが渋滞している様子を見て「こんなんレースじゃない!」と怒っていたのは誰だ?
父ちゃんは、その後ろをXR100で走りながら坂を押してやったんじゃないか。

父ちゃんがまだ多度チャンピョンシップに出ていた36歳の時に
kx60に乗っていたショウゴが「父ちゃん、一緒にA級になろう!」って言ったから、
こんな年になってモトクロスに帰ってきたんじゃないか。
今では、いい笑いものだぞ。
あのときの約束はどうしたんだ?(まぁ、父ちゃんはすぐにIAにはなれないと気づいたがな・・)

5年生の時の学校の宿題(将来なりたい人)では、
「モトクロスバイクで国際A級になって、外国の強い人に勝って、
チーム明照保育園を大きくできる人になりたい!」って書いてあったじゃないか!
5年生のショウゴの写真付きの宿題は、今でも冷蔵庫に張ってあるぞ。

ちなみにタカは、同じ宿題で「金子みすずのような、想像力がある人になりたい!」で、
ナホは、「早寝早起きが出来る人になりたい!」って書いてあるぞ。
ちゃんと冷蔵庫に張ってあるんだぞ。
みんな嘘ばっかりじゃないか!

あれから何年たったんだろ。
今では、泥の中でスタックしている父ちゃんを尻目に2位を走り、
あの恐がりだったタカが、このグチャグチャの中でさえフィニッシュジャンプを綺麗に飛んでいく。
(父ちゃんは、怖くてとても飛べない・・)
高校三年生になったナホは、「このヘコキじじぃ!」と父ちゃんの尻を蹴り上げる。

結局ショウゴは、最後までユウトを攻め続けて2位。
(今までの中部選最高位だぞ)
タカも何回も転倒したが16位でゴール。
父ちゃんは一周も出来ずにリタイヤだった。

ゴールしてきたショウゴにウルウルした目で
やっぱり速くなっているんだぞ、これからだぞ!」と言えば、
ショウゴは、泥だらけの細い目をキラリと光らせて言った。
やっぱり俺はエンデューロが合っている、この泥だらけのコースを走っていて確信した!

オーマイ、ガーット!
父ちゃんの叫び声だけがイナベの山にこだましていた。

ショウゴがまだKX60に乗っていた頃の絵
(屋根があるので、モトクロスランド多度で走っているところでは?)