210:JNCC第4戦,鈴蘭('14/7.5)    

 話をさかのぼること今年1月のある日。
ショウゴとタカは、二人だけで天竜川上流にあるエンデューロコースに練習に来ていた。
(父ちゃんは、家でお仕事・・)

そこで、見慣れないRM-Z250のライダーに遭遇。
ショウゴとタカの話によると
「すごいキレイに乗っていて速いライダーだった。特にウッズは、ド速くて、全然付いていけんかった!」そうだ。
とても気さくなライダーで「君たち速いね!リクルスのセッティングとかどうやってんの?」と話しかけられた。
その気のいいあんちゃんに「エンデューロをやってるんですか?」とタカが聞けば、
昔ね、今年は、何年かぶりに復帰しようと思っているんだ・・」と答えたという話だった。

家に帰ったショウゴとタカから
「じぃさま、静岡のライダーでサワキって人、知ってる?
結構、上手かったからモトクロスでIAくらいいってんじゃない?」と聞かれるが、
静岡のモトクロスIAライダーでサワキって人は思い当たらない・・。
(元IA2チャンピョンのサアイくんなら知っているが・・)

そうこうしているうちにタカがサワキさんのブログ(http://cheese.cocolog-enshu.com/blog/2014/01/index.html)を見つけて
「やべ〜、元JNCCチャンピョンの人にエンデューロやってんですか?なんて聞いちゃったよ!」と騒ぐ。
「全日本モトクロスチャンピョンの成田 亮(あきら)にモトクロスやってんですか?と聞いたようなもんだな!」
とショウゴが嫌みたっぷりに言う。
「いや、“元”だからハマー(高濱龍一郎)にモトクロスやっていたんですか?」と聞いたぐらいかな・・
と父ちゃんが“通(つう)”ぶる。

まぁ、どちらにしても“知らない”ということは、恐ろしい。
「復帰するんだったら、これからもどこかのコースで会うだろうから、その時に謝っておけば良いんじゃない?」
と父ちゃんが大人の対応を教える。

そんな大人の対応が出来る父ちゃんが母ちゃんに追い出されてリビング暮らし・・。
今では、すっかり“板の間”暮らしも“”に付いてきたぞ。(うまい!)
(反省してないんじゃない?by母ちゃん)

爺ヶ岳で足を悪化させ、いつまでもヒョコヒョコと歩く父ちゃんに
あんたは、どれだけみんなに迷惑掛けているのか分かってんの?」と文句を言うが、
ちゃんと仕事をしていると思い込んでいる父ちゃんには、馬の耳に念仏。

そんなことよりも爺ヶ岳で頑張りすぎてしまったために、
結局次戦の鈴蘭までほとんどバイクに乗れない始末。
こっちの方が痛かった!(どこまでおバカなの!by母ちゃん)

そんなこんなで、鈴蘭大会を1週間後に控えたある日、父ちゃんたち三人は、ヒソヒソと作戦会議。
この時点でショウゴのランキングは、ヤマモトくんと同点の3位、タカもFAクラスで3位。
AAクラスに上がるためには、ランキング3位以内が最低条件。
鈴蘭大会の次は九州大会だが、エントリーは鈴蘭大会の一週間後だ。

九州は遠いので、初めはエントリーする気もなかったが、ショウゴの微妙なランキングを考えると迷う。
8月の月山は、水没が怖いので初めからパスの予定だし・・。

ということで、この鈴蘭大会の成績次第で、「まだ希望が持てるようなら九州に行こう!」と言うことになった。
中部選で人生を考えてしまったタカは、今ではすっかりエンデューロライダー。
この鈴蘭のFUNクラスで勝ってCOMPに行くぜ!」と気合いを入れているが、
すでに、FUNクラスでの年間チャンピョンを取る目標を捨てて、来年のためにCOMPクラスに慣れることに目的変更。

「もし、1回も勝てなくてCOMPに行ったら、
あのオヤジたちにFUNで勝てないものだから、COMPに逃げたと思われてしまうからな!」とタカ。
「いや〜、あのオヤジたちのことだから、すぐにお前のことなんか忘れるんじゃない?」と父ちゃん。
FUNで勝てなきゃ、COMPでは通用せんぞ!」とクギを刺すショウゴ。

そのショウゴに依れば「オレがスピード勝負のFUNに出れば、まず勝てると思う、
でも、あのオヤジたちが、コースの難易度が上がるCOMPに来れば、勝てないかもしれない・・
ということだ。
確かに、FUNクラスは100分だし、COMPに比べても難所が少ない。
モトクロスのテクニックがあれば、そこそこ走れるとは思う。
(あのタカだって、この頃では良い勝負が出来るようになってきたし・・)

ショウゴは、昨年の糸魚川でダブルエントリーしたヤマモトさんの走りを目の当たりにしたから、
あのオヤジたちの上手さがよく分かっているんだな。
(糸魚川では、二列目スタートのヤマモトさんにトップ走行中の2周目に抜かれてしまった!)
ショウゴ曰く「じぃさま以外のFUNのオヤジたちは、速いより上手いんだな!

FUNクラスのオヤジたちを見ていると「年甲斐もなく張り切り回っている!」が(笑)
(あんたも53歳よ!by同級生の母ちゃん)
長くバイクに関われるのは、それはそれでステキなことだと思う。
例え、ライダーでなくてもバイクが好きで関わり続けられるのもステキなことだと思う。
ショウゴと一緒に走っていたトッチやユウタ、タカシやヨッシー・リョウスケのような才能がなくても
これからもいろいろな形でバイクに関わり続けられると嬉しいな〜。
ショウゴやタカにとっても、その答えのひとつが、今はJNCCなんだろうな。

いい年こいたオヤジやじぃさんたちが、
いろいろな形でバイクに関わっている姿を見ているショウゴやタカは、
きっと、自分がじぃさんになってもバイクと関わっていきたいと思うだろうな。
もし、結婚できて子どもが出来たら、すぐにこの父ちゃんに任せなさい!
きっと、良いライダーに育ててみせるぜ!
(それは止めた方が良いんじゃない?自分の子どももこの程度なんだし・・by母ちゃん)

話を戻そう・・。
三人の男たちの目標は決まった。
とにかく、ショウゴは頑張れ!
5位以内だったら、九州へ行こうぜ。
タカも、FUNクラス最後のはなむけに優勝だぜ!
父ちゃんは、母ちゃんの機嫌も直ってきたみたいだから、お泊まりセットを寝室に戻してみるぜ!

三人の男たちの目は輝いていた。
いざ、鈴蘭へ出陣!


大会レポート/by ジャンキー稲垣(JNCCsiteより)

 ここ数年は、5月開催だった鈴蘭大会が、今年は6月に。その影響は、雨となって参加者を襲った。
土曜、夕方からバケツをひっくり返したような土砂降りとなる。
スコールのような雨脚に、すぐに止むものと思いきや、夜中降り続ける事態に。
日曜朝には、様々な憶測が広まった。
鈴蘭高原スキー場は、異様なまでの 水はけのよさが魅力であるが、あの降水量はさすがに乾かないかもしれない…。
しかも、天気予報は頑なに午後からの雨を伝えていた。

 コースは、例年から大きな変更はしない形。
なお、この鈴蘭からショータイム制がとられることになり、上級クラス向けのセクションが用意された
(上級クラス、今回はFA・FBが相当。他のクラスのライダーは走行不可、FA・FBのライダーは選択できる)

こちらは、鈴蘭の名物となっているスタート直後のガケクライムに設置。
例年よりも低い位置を登るようなコース設定だったが、そのかわりに路面はスリッピーであったこと、
直角では無くある程度角度をつけてアプローチするラインだったことが難しさをよんだ。

 話題にのぼっていた雨は、実際には鈴蘭の大地が吸収、朝のうちは快晴だったほど。
FUN GPは、有賀賢治がみごとFA優勝を勝ち取った。
ディフェンディングチャンピオンである山本正は、最後まで有賀を追い詰めるモノの、わずか3秒及ばず2 位。
FBでは伊藤史朗が3位以下をラップして圧勝、FCは若田政弘が勝利。FDでは 福田寛人、
今年フルサイズへ乗り換える女性が多発しているWAは爺ヶ岳で初優勝した岩崎かよが、2連勝をマーク。
レディスモトクロスからJNCCに移行、 鈴木健二の製作したYZ125を駆る近藤香織とのタイトル争いに期待したい。
WBは安藤緑、WDは表彰台常連となりつつある杉浦けいが優勝。

 御岳をはじめとしたアルプスの山々に暗雲がたちこめてきた午後、COMP GPがスタート。
・・・
 今回のニューフェイス、というべきか大物ライダーとしてはJNCCファンにとってたまらない復活のニュース、澤木千敏であった。
AA2、マシンは SRFの手によってタンクまでもワンオフで製作されたスペシャルRM-Z250。
毎戦は出れないそうだが、今季の台風の目になることは間違いない。

 COMP GP、オープニングラップから渡辺学が飛び出す形。鈴木健二が出遅れるモノのこれに続く。
渡辺学は、急遽前日にマシンをYZ144に変更、鈴蘭でのポテン シャルを見込んだチェンジとのことだが、
相性は抜群でみるみる間に後続を置き去りにしていく。
食らいついた若手は、矢野和都で、渡辺・鈴木コンビに食い下 がるものの、3周目で転倒。
その後足を痛めて4位へ後退してしまう。
渡辺・鈴木はピットインまでランデブー走行を続けるが、ガソリンを給油で差がつきそこ からは渡辺の独走に。
結果余裕のチェッカーを受けることになる。
鈴木は、実はこのレースで熱中症になっており、ペースを落とさざるをえない状況に。
3位は 小林雅裕が奪取。

AA2は、注目の澤木がしっかり魅せてくれて、小坂竜也とのバトルを展開。
今回は小坂に軍配があがったものの、強い澤木は健在であることをアピールした。

Aクラスは、何度もパンクやハンドル破損などの苦難により優勝を逃してきた五天翔がうれしい初優勝を完遂。
次戦にも期待したい。
**********************************************

 鈴蘭高原に到着した父ちゃんたちは、さっそく下見に出かける。
コース自体は、昨年とはそんなに大きくは変わっていない。
このコースならいける!」とショウゴ。
確かに、昨年だって、ラスト1時間で雨さえ降らなければ、優勝できたと思う。
しかし、今回もお天気は微妙〜。
そのためにショウゴのリアタイヤは、この大会での使用が最後になるIRCゲコタの新品!
(最後の1本だぜ!)
タカはAT81の新品で、父ちゃんは爺ヶ岳で使った中古のAT81。

土曜の夕方から降った雨は、レース当日にはすっかり止んでいる。
コースを歩いてみてもぬかるんでいるところや水が付いているところはあるが、
ホコリが押さえられて、むしろベストコンディションでしょう!
(モトクロスの散水直後の方が余程難しいぞ!)

パドックが近かったせいもあり、すぐに元JNCCチャンピョンのサワキさんを発見。
少し話し込む。
バイクのことは、何にも教えられないので、子育てに悩んだら聞いてください・・(笑)
(サワキさんのお子さんがずっと父ちゃんたちの車の前の水たまりで遊んでいたぞ!)

父ちゃんたちのパドックのお向かいさんが鉄人ヤマモトさんと中年の星トクチさん、
ゴテンくんの城北カワサキレーシングチーム。
みんな自信に満ちた顔つきだぞ。

FUNクラスのスタートが近づいてきた。
この鈴蘭は、スタートから第1コーナーまでの距離が短い。
スタートで出遅れると、ちょっと厳しいぞ。
その後のコーナーもウッドチップがフカフカだったり、粘土質で滑りやすかったりとなかなか手強い。
スタート地点のすぐ近くには、ショータイム区間の登り坂。
助走区間が、フカフカなので父ちゃんはエスケープする予定だが、タカは1周目から挑戦するという。


(FUNクラスのスーパーオヤジたち。一番インが鉄人ヤマモトさんで、その隣がKTM 200EXCマスターのカワハラさん
その隣で後ろを見て「バイクがいっぱい!」と感心しているのが父ちゃん)

FAクラスのスタート。
やや出遅れた父ちゃんの前の方にタカが見える。

(FAクラスのスタート、ホールショットはヤマモトさん、023タカは3・4番手か?)

何とかタカに付いていこうと思うが、フカフカのウッドチップでラインが限られる。
その時、タカのバイクがワダチでハンドルを取られて真横になるのが見えた。
転ぶ!」と思ったが、何とか耐えたようだった。

トップ集団がショータイムの坂に突っ込んでいくのが見える。
誰かが頂上付近で転ぶ。
それを見て、タカを初めとした第2グループは、エスケープへ。
父ちゃんも迷いなく後に続く。


(これがショータイムの登り坂、見た目以上に難しかったです。でも、AAライダーは、いとも簡単にクリアー!)


(コースは、ベストコンディション!でも、滑りやすいところが多くて難しかった!)

この鈴蘭は、全開で登る坂が多い。
それも石がゴロゴロと転がっている。
うまくラインと考えないとフロントが弾かれて吹っ飛ぶし、パンクの危険性もある。
実際、あちこちで吹っ飛んでいるし、パンクをしていたライダーも結構いたようだ。
(FAクラスのジンバさんも頂上付近で吹っ飛んで、記憶も吹っ飛んだようだ・・)


(足が治りきらない父ちゃんは、シッティングで全開!気持ちが良かったけど、腰をやられました・・)

(前半のタカ:何とかヤマモトさんとアリガさんに食らいつく!)

タカは、序盤こそ頑張っていたが、その後、転倒を繰り返して5位に後退。
その上、ラスト2周でパンクしてしまい、何とか走りきって5位をキープするのがやっとだった。
父ちゃんは、可もなく不可もなく、無難に走っているだけで定位置の11位でゴール。
腰が痛くなっただけでした・・

(鉄人ヤマモトさんと最後までバトルして勝ったアリガさんが優勝!)
(一番端のちっちゃいのがタカ)

レース後、タカはヤマモトさんに「これでショウゴと一緒のCOMPクラスに行きます!」と報告したそうだ。
それを聞いたヤマモトさんが「FUNクラスの速さをCOMPで見せつけてや!
はなむけの言葉を送ってくれたと嬉しそうに話す。

まだまだ、ヤマモトさんのライバルにもなれないタカだが、世代を超えた友情みたいなものがあるのかな?
レースって、相手との競い合いだが、その根底には、信頼関係もあるんだな。
それがなけりゃ、第1コーナーの突っ込みや当たり合いなんか出来ませんよ。

午後のCOMPクラスのスタートが近づく。
タカのパンクを見たショウゴは、フロント0.8、リアを0.9に決める。
ここまで空気圧を上げたゲコタって、実際どうなんだろ?

しかし、まずはパンクしないことが一番。
パンク対策を一番に考えれば、AT81の方が良かったとこのコースコンディションを見て思ったが、
ゲコタを使えるのが最後なので、雨を予想して履かせてしまった。
(この選択が裏目に出るとは・・)

そして、COMP-Aスタート。
ホールショットは、またもやイワキさん!
ショウゴは、3・4番手か?
そのままイワキさんがトップでショ−タイムの上り坂をクリア!すげ〜〜〜!!
ショウゴは、迷いなくエスケープに・・(笑)


(ホールショットは、イワキさん。そのままショータイムの上り坂にトライ!)

エスケープに逃げたことで、トップ集団との差が広がるが、
この頃のショウゴは、昔ほどがむしゃらに最初から飛ばさなくなった気がする。
1周目を落ち着いて走ることが出来るようになったんだな。
(3時間もあるのだから当たり前の話なんだが・・)

11分ほどするとAAクラスが帰ってきた。
トップは、ゼッケン1のカントク!すぐ後ろにゼッケン2マナブ選手、
3番手はゼッケン3まちゃ、4番手に5カズト選手。
走りを見ていてもこの4人は別格だな。(いつもは、4デグチくんもここに食い込んでくるが・・)

続々とAAライダーが帰ってくる中にAクラストップで帰ってきたのはショウゴ!
2番手にイワキさん。
2周目には、並み居るAA2ライダーを抜いて総合で11位ぐらいか?
乗れている!ここから見ているだけでも分かるくらい乗れている!!
いけるぞ!今日こそはいけるぞ!!!
いけ〜、ショウゴ!」タカの応援にも力が入る。


(なかなか良い走りだったショウゴ)

(コースのあちこちでこんな光景が・・)

しかし、3周目を総合10位くらいで通過した後の第1コーナーでリアが滑って転倒。
近くで応援していたタカが駆け寄る。
こっちを向いてタイヤを指さしながら何か言っている。
ショウゴは、すぐに起き上がって走っていくが明らかにスピードが遅い。

スタート地点の方に走っていくとタカも走ってきた。
パンクだ、パンク!1周走ったらピットインするって!
急いでパドックに戻って予備のタイヤとスタンド、工具類を持ってピットエリアで待つ。
しかし、今回持ってきた予備のタイヤは、パドルタイヤみたいなMX11!
(それも昔、雨のSUGOで使った中古タイヤ)

グチャグチャやサンドではめっぽう強いが、特殊なタイヤなんで、その他のコンディションでは全然ダメ!
なんで、そんなもんを持ってきたかのというと、ホイールに組んであるのがそれしかなかったから・・。
それと、もしグチャグチャならこれでしょ!と考えたから・・。(こっちは後付け)


(これがMX11:グチャグチャやサンドではめっぽう強い!が、その他では全然ダメでした・・)

(左が18インチのゲコタで右が19インチのMX11)

ピットエリアで、すぐにタイヤ交換が出来るように待つ父ちゃんとタカ。
手には、パドルタイヤのような19インチのMX11!
しかし、なかなかショウゴが帰ってこない。

いくらパンクしていると言ってもあまりにも遅い・・。
リタイヤか?と半分あきらめかかっているとやっとショウゴの姿が見えた。
めちゃくちゃ、ゆっくりと走っている。
見れば、パンクしたゲコタは、ベコベコ・ヨレヨレ。
タカもパンクしたが、AT81ならパンクしたままでも1,2周はペースを落として走れた。
しかし、サイドウォールもブロックも柔らかいゲコタは、
パンク即リタイヤ
した方が良いようなタイヤだったんだ。

ショウゴが何とかピットエリアまでたどり着いたときには、Aクラス1位からほとんどベリ!
後でラップ表を見れば、パンク前に出したラップタイムは、1周目が11分21秒で2周目が11分27秒。
3周目の後半でパンクしたようだが、11分35秒。
ここまでのタイムは、AA2のどのライダーよりも上だった。
そして、パンクして走った4周目のラップが、19分21秒でタイヤ交換した5周目が14分05秒だった。

5周目にタイヤ交換して、ガソリンとラジエター液(サブタンク)を補給。
「途中の登りで、どうしても上がれなくなってリタイヤしようと思った・・」とショウゴ。
「まだ、2時間近くあるので出来るだけガンバロー!」と気合いを入れる。
「交換したタイヤは、レイン用なので1周は様子を見ていけ!」と父ちゃん。
大丈夫だ、いけるぞ、ショウゴ!」とタカ。

まだ、あきらめていないショウゴは、全開で第1コーナーに向かう。
あっという間にバイクが真横になり吹っ飛ぶショウゴ。
急いでバイクに駆け寄り、走り去っていく。
こんなタイヤしか用意してあげられない父ちゃんを許しておくれ・・
「これで九州はなくなったな・・」とすでに心の準備をしてしまう。

後でショウゴに聞けば「あのタイヤは、フラットコーナーや草の上では全然グリップしない、
それも流れ出したと思ったらあっという間にバイクが真横を向いている・・」そうだ。
こんなタイヤしか用意してあげられない父ちゃんを許しておくれ・・

この後も転倒を繰り返すが、少しずつ順位を上げる。
そうこうしているうちに雨が降ってきた。
あ〜、万事休す。
グチャグチャ路面ならまだ可能性があるが、鈴蘭はツルツル路面も意外と多い。
昨年の鈴蘭の悪夢がよみがえる。

この時点の順位は、Aクラスで15・16番手くらいか?
よく、あのタイヤでここまで挽回したよ・・。
父ちゃんは、満足だよ・・。
こりゃ、来シーズンもAクラスだな・・。
バイクはどうしよう・・。

雨がますます激しくなってくる。
しかし、「なんということでしょう〜」(byビフォーアフター)
他のライダーのラップタイムが落ちる中、コンスタントに走るショウゴ。
あっという間に10位くらいに上がる。
こりゃ、分からんぞ!
タカが「ショウゴ、いけるぞ、いけるぞ!」と手を振り回して応援している。

タカが小さな時には、いつもショウゴにいじめられて「ショウゴのバタ(カ)!バタ(カ)!」と怒っていた。
(タカは、4歳ぐらいまで「かきくけこ」が「たちつてと」になっていた)
そのくせ、ショウゴがサッカーの合宿でいないと「ショウゴがいないと寂しいな〜」と泣いていた。
いつもケンカばかりしているくせに、気がつけばいつも一緒に遊んでいた。
そして、25歳と23歳になった今でも、一緒にバイクに乗っている。
兄弟ってホント不思議なものだな〜。

そんな感傷に浸っていると、いつの間にかトップはゴテンくん。
こちらも雨にもめげずに快調に飛ばしている。
今度こそ、ゴテンクス!でゴール出来るのか?

終盤になり、次々と順位を上げていったが、
ラスト2周になってガソリンが心配になり、迷いに迷ってピットイン。
この時点で7位。
そこから6位になってラスト1周のボードが上げられる。
5位との差は、35秒。

5位まで上がれば九州だぞ!
すっかり、来シーズンもAクラスでその時のバイクのことまで考えていた父ちゃんだったが、
突如、あきらめない男に変身!
その期待に応えるようにショウゴが、5位でゴール。
最終ラップは、Aクラス最速ラップをたたき出し、4位との差は、なんと14秒!
給油しなければ、抜けてたじゃん!

ショウゴに依れば、
「雨が降ってきて、みんなのペースが落ちるのが分かった!
オレは、雨が降る前からリアタイヤがグリップしなくて雨の中を走っているような感じだったんで、
ペースを落とさずに走ることが出来た!
」そうだ。
今回は、鈴蘭の雨が味方をしてくれたようだな。

(やったねゴテンくん、ついにゴテンクスに変身!)

(これが、JNCCの集計装置、残り時間と自分の順位、前車とのタイム差が分かります。
昔のエンデューロとは、まるで違います・・)

(数え切れないくらい転倒して、バンドガードもボロボロ・・)

(ついに優勝!ゴテンくん、おめでとう!!)

(Aクラスの入賞者:黄色のTシャツで一番小さいのがショウゴ)

(タカのラップ表:ジリジリと落ちていき、ラスト2周でパンク!)

(最初から最後まで見せ場もなく終わった父ちゃん・・)

(ショウゴのラップ表:3周目のパンクさえなければ・・)

「悔しい・悔しい・悔しい・チョー悔しい!
続々とライダーがゴールする中で、タカが地団駄を踏んで悔しがる・・。
父ちゃんも「悔しい・悔しい・悔しい・チョー悔しいぞ〜!」
「そうだよな、今回のショウゴは絶対に勝てたよな!」とタカ。
「オレも絶対に、いけたんだよ、運がなかっただけだぜ!」と父ちゃん。
ヘ?じぃさまは、いつも通りの走りで、いつも通りの順位じゃない?
それでも「悔しい・悔しい・チョー悔しいぞ〜!」と地団駄を踏む父ちゃん。
そんな父ちゃんをスルーしてショウゴのところに向かうタカ。

この鈴蘭大会が終わって、ショウゴがCOMP-Aクラスの単独3位、タカはFUN-FAクラスで2位になった。
さぁ、行くぞ九州!待ってろよ九州!!
(全日本モトクロスの北海道大会のようにだけはならないように祈っているわ!by母ちゃん)
北海道での悲惨な出来事は、こちら→(165) 憧れの北海道その2('12/3)

PS1
今回もパンクしてしまったタカ。
広島から数えると3レース連続のパンクだ。
いやいや、この鈴蘭の前に練習でもパンクしているから4回続けてか?

こんなんじゃ、レースにならない!オレのタイヤ、どうかなってんじゃない?」と不思議がる。
確かに、今シーズンは、ショウゴもタカもパンクが多い。
何故か、父ちゃんは1回もパンクしないが・・。

ということで、急遽、九州からムースタイヤでいくことに決心!
でも、ムースってどうやって代えるの?どうやったらビートが出るの?
youtube で動画を見ても、今ひとつ分からない・・。
この判断が吉と出るか?凶と出るのか?
九州をお楽しみに!

PS2
鈴蘭から帰ってきた父ちゃんを待っていたのは、機嫌が良くなった母ちゃん。
また、一緒の部屋で寝ることを許してくれた。
その上、父ちゃんのTシャツまで買ってくれたぞ。

それが、この「ポンコツ」Tシャツ。
裏には、「見た目以上に“ポ”ですけど、何か?」とプリントしてある。

「これって、父ちゃんには、似合わない気がするんだけど・・」と恐る恐る聞けば
何、言ってんのよ!お似合いよ!!」と母ちゃん。
「じぃさんのことは、誰だってそう思っているぞ!」とショウゴ。
「もろ過ぎて笑えんわ・・」とタカ。
母ちゃん、これは新たなバツゲームか?

PS3
「モトクロスフィールド豊田」に練習に行ったひとこま。

(タクミ・タカ・ショウゴ。どうみてもポッチャリ三兄弟?)

赤いTシャツが、タカの大学の同級生のタクミ。
昔は、KTMに乗った速い好青年だったが、いつの間にかこんな体型に・・
タカも昔はヒョロッとしていたのにいつの間にか腹が出てきて・・
ショウゴは、昔からこんな体型でした。
でも、曲がりなりにも、お前らアスリートだろ?もう少し、しぼれよ!