研修3日目 2月26日(月)                             社楽の会へ

14:30〜15:30
いじめ等問題行動への取組
      文部科学省初等中等教育局 児童生徒課長 木岡 保雅  
 


 いじめ・自殺問題の状況と対応について説明したい。最後に、大変な事態になった時に、どんなことを考えたらよいのかをお話したい。

 
 手元の資料1を見てほしい。
 去年10月1日、読売新聞、北海道の滝川の自殺について大きく報道があった。それに続いて、自殺があり、社会問題化した。
 滝川の件、これは一昨年の事件。17年9月。6年生の女子が教室で自殺を図った。病院に運ばれ、一命をとりとめたが、昨年1月になくなった。
 問題点が明らかになた。
@ いじめのサインを出していた。修学旅行の班分けで仲間に入れてもらえなかった。それを深刻に取り上げなかった。
A 原因解明が進まなかった。新聞報道され、マスコミが取り上げ、やっといじめと認めた。1年かかっている。

 
 筑前町の自殺の件。
 報道されてから起きた。中1のときに、担任による不適切な発言があった。いじめを主たる理由とする自殺者数が7年間ゼロだった。
 いじめの実態がつかめていない学校、いじめが起きた後に解明が進まない教委、調査をやっていても実態をとらえていない文科省。
 そこで、再度10月19日に通知を出した。
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06102402/001.htm 
通知のポイントは、問題点への対応。
 
 いじめは決して許されないことであり、今回のような事件を二度と繰り返さないためにも、学校教育に携わるすべての関係者一人ひとりが、改めてこの問題の重大性を認識し、いじめの兆候をいち早く把握して、迅速に対応する必要がある。
 
 この問題に関連して、いろんな会議に出て言っては話をするが、この問題に取り組むという意識が十分ではない。
 ブロック研集会がある。9月の会議であったのは、「うちの県は一生懸命取り組んでいる。児童生徒数に比べても、数が多い。取り組むといじめが見えてくる。数も増える。これでいいのか。」
 こういわれた。けっこうだ。数の問題ではない。ある県の人は、数が多いが、一生懸命探すからだといった。各都道府県にもそう伝えた。数ではなく、いかに取り組んだか。件数が多いのは誇りにすべきこと。
 いかに迅速に対応するか、兆候をつかむか。問題が発生したときには、隠さずに。いじめは許されないものだが、あっていけないと考えると隠してしまう。それが通知の趣旨。
 
平成19年2月5日通知を出した。
  http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/07020609.htm 
 考え方を整理して伝えている。大きく3つほど書いてある。
 1 生徒指導の充実について
 2 出席停止制度の活用について
 3 懲戒・体罰について
 この中では1の(1)が基本。(2)以下は毅然とした態度を言っているが、厳しくしろというものではない。社会で許されないことは、学校では許されない。
 2の出席停止は、懲戒行為ではなく、
他の児童生徒の教育を受ける権利を保証するためのもの。これにより、孤立することのないように、学校や教委、地域は支えてやってほしい。
 3の懲戒・体罰の禁止については、昭和23年に、「児童懲戒権の限界について」が参考として示されている。
 この後の裁判例も踏まえて、まとめたものが別紙の2枚。体罰については、学校教育法第11条に書いてある。個々の事案ごとに判断する必要があるとした。
 
第十一条  校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
 
 懲戒を受けた児童生徒や保護者の主観的な言動により判断されるのではなく、客観的に考慮して判断されるべきものだ。
 また、有形力が行使されたものの一切が体罰となるわけでもない。
 児童生徒を教室外に退去させる場合、代わる指導が行われるのなら、またやむを得ない場合にはさしつかえない。
 携帯を一時的に預かることも、保護者と連携をしてあってもよい。
 
 次に、問題があった場合の対応について。 
 不祥事があったときに対応するが、そのポイントは、うまくすることによって、問題の度合いが、10が5になるということではない。しかし、対応を間違えると、10が20,30になる。
 そのために、事実の把握、正確に伝える。それにつきる。
 警察も、平成11年、12年と問題が続いたが、ある県については、かつて警察の内部で調べて処置をした。過去の観察事案について、事実を曲げて、都合よく処分をしたということがマスコミに報道された。これは、警察として否定すれば済むという判断だった。マスコミは、意図的に隠していると追及した。
 資料としてはわかっていた。マスコミが過去のことを問題にしたときに、わかっていても事実と違う対応をした。それが問題を大きくした。
 他の警察の件。事案があって、それについてある人が監禁されて見つかった事件。発見され方を事実と違うことを言った。どうして違う説明をしたのかときいたら、本人のためと説明したら、問題がさらに大きくなった。
 説明が不適切で、問題を大きくした。
 本人は逃げる機会がないと説明した。  
隠ぺいととられた。
 事実について、客観的に伝えていない。それぞれのケースでは、本当に事実について、冷静に見て、それを処理する人は頭においてほしい。
 記者会見。異様な雰囲気。
 マスコミは、時間の関係で少しでも情報をほしかったが、記者会見をするという名目で、先延ばしにした。これにマスコミは反抗し、厳しく攻撃した。出せる資料は、出した方がよかった。また、前にぞろぞろ並ぶのもよくない。わかる人を絞って座った方がよい。
 参考になればよいが…。