少子高齢化社会に向けて

6年3組29名からの提言

 今,日本では少子高齢化がものすごいスピードで進んでいます。それにともなって,さまざまな問題も起きてきています。私たちは,少子高齢化社会の問題を調べていくうちに,今ある社会の仕組みやものごとの考え方を変えていかなければならないと気づきました。この提言は,少子高齢化社会の学習を通して,学級のみんなで話し合いながら考えたものです。
            愛知県葉栗郡木曽川町立木曽川東小学校 6年3組

           ご意見ご感想をいただければ幸いです。syaraku@tcp-ip.or.jp

第1章    少子化対策

1 ノルウェーのクオーター制のように,政治などの話し合いの場に男性も女性も平等に意見が採用されるような制度をつくる。

2 父親も2ヶ月間の育児休業をとる。

3 育児休業中に給料が支払われる制度をつくる。

4 15歳まで児童手当が支給され,医療費も無料にする。

5 子どもを産めば補助金が支給され,3人以上産んだ人は,高校の学費の一部が補助される。

6 小さな子どもを持つ人優先のフレックスタイム制を導入する。

7 子どもをあずける時間帯を自由に選べる保育園を各地につくる。

8 会社に託児所をつくる。

9 0歳児保育を行う保育園の数を増やす。

10 子育て支援センターを各地につくる。

第2章    高齢化対策

1 定年を70歳に引き上げる。

2 年齢制限のある職業をつくり,その職場を提供する。

3 さまざまな施設のバリアフリー化をさらに進める。

4 小中学校で介護の方法を学ぶ授業を行い,高校・大学ではその実習を義務とする。

5 介護が必要な人に安い値段で介護用品・リハビリ用品を貸し出すサービスをさらに広げる。

6 今ある自動販売機を,車椅子でも使用できるものに替えていく。


解説編

第1章   少子化対策

1 ノルウェーのクオーター制のように,政治などの話し合いの場に男性も女性も平等に意見が採用されるような制度をつくる

  今の日本では,国会議員や各地の地方議員も男性の割合がとても高い。女性が立候補してもたいていは男性がなる。だから,政治などの話し合いも男性の視点から見られ,男性の考えが多く採用される。そうなれば,男性にとってとても暮らしやすくなる法案などもたくさんできるだろう。もちろん女性にとっても暮らしやすく変わっていくはずだ。しかし,それではだめだ。少子化で女性に子どもを産んでもらわなければならない今,男性の考えばかりでなく,「女性の考え」がもっともっとたくさん採用されることが大切である。仕事のいそがしい母親にも子どもを産むことが苦にならないような法案ができるとよい。女性の視点から見て考え出したものが採用されれば,女性にとって本当に住み良い国になる。少子化の今,男性の意見ばかりでなく,女性の意見もが平等に採用されることがのぞまれている。

2 父親も2ヶ月間の育児休業をとる。
  子を産むと取ることができる育児休業。今ではほとんどの家庭がこの育休を母親が取り,子育てをする。これは「夫は働き,妻は家庭の仕事をする」という考えが頭にあるからだ。しかし,これでよいのだろうか。女性が子どもを産みたがらない理由の一つに「子どもを産むと子育てをしなければならない。すると自分のしゅみや仕事と両立しないから。」というのがある。「少子化」の今,このような理由で子どもを産みたがらない女性がさらに増えたら,どんどん子どもがへってしまう。 だから,子どもを産んでも子育てがしゅみや仕事と両立するように,「男性が子育てをする」ようにしなければならない。子育ては母親にまかせるという考え方は捨て,父親もどんどん子育てを手伝うのだ。そこで2ヶ月は父親も育児休業をとるという制度をつくる。こうすることで,母親も子どもを産んだ後が苦にならない。今は新しい「父親に子育てを」という考え方に変えていくことが大切だ。

3 育児休業中に給料が支払われる制度をつくる。
 (子どもの人数に応じて支払われる割合を変える。)
  育児休業中にも給料が支払われるようにする。ただし,子どもの数によって支払われる割合を変えるようにする。現在では全く支払われていないので,育児休業中の生活は苦しくなる。だが,給料のすべてを支払うと会社の経営にも負担がかかるという問題が出てくる。この提案では,子どもの人数で支払う割合を考えるのだから,少子化の今,このような育児休業給が実施されれば,少子化対策になる。また,会社側にもあまり大きな負担にはならない。

4 15歳まで児童手当が支給され,医療費も無料にする。
  女性が子どもを産まない理由として,お金が心配だからというのがもっとも多い。だから,今ある児童手当の支払われる年齢を上げて,もらえる期間を長くする。こうすれば経済的に助かるので少子化対策となる。

5 子どもを産めば補助金が支給され,3人以上産んだ人は,高校の学費の一部が補助される。
  子どもを多く産まない理由の一つに教育費の負担がある。その問題をなくせば,子どもを産む親が増える。だから,一人目よりも二人目,二人目よりも三人目というように,補助金の額を増やしていく。さらに,現在高校の学費がかなりの高額なので,その一部を補助していくようにする。

6 小さな子どもを持つ人優先のフレックスタイム制を導入する。
  フレックスタイム制のいいところは,自分の生活の予定に合わせて仕事ができることだ。例えば保育園への送り迎えができる。それに,子どもとふれ合う時間が増え,コミュニケーションがうまくとれるようになる。そうすれば子育ての負担がへり,子育てと仕事が両立できるようになり,子どもを産む女性が増えてくる。

7 子どもをあずける時間帯を自由に選べる保育園を各地につくる。
  現在の保育園では,子どもをあずける時間帯が午前8時から午後6時くらいまでが多い。それでは,早朝に仕事がある人や,夜遅くまで働く人には,保育園が利用できない。だから,早朝から深夜まで子どもをあずかってくれる保育園を各地につくり,働く女性が,子どもをあずける時間帯を自由に選べるようにしていく。

8 会社に託児所をつくる。
  子どもを産んで会社をやめる女性が多くいる。しかし,会社に託児所があれば,そこに子どもを預けて仕事を続けられる。夫の給料だけでは生活が苦しい人も,夫婦で働けば助かる。仕事を生きがいにしている女性も,子どもを産むことを理由に生きがいをすてなくてもいい。

0歳児保育を行う保育園の数を増やす。
  若い女性に子どもができると,世話がたいへんな赤ちゃんのことを考えて,どうしても仕事をやめるいことが多くなる。仕事を優先に考える人は子どもを産むことをあきらめてしまう。0歳児保育を行う保育園が増えれば,一番たいへんな時期にも子どもをあずけて仕事が続けられる。

10 子育て支援センターを各地につくる。
  女性が子どもを産まなくなった理由として,自分の時間が減るとか,悩みが増えるとかというのがある。この二つを解決すれば出産に対する障害がへる。短い時間でも気軽に行けて,同じ悩みをかかえている母親同士が集まれば,相談相手ができていい。母親だけでなく,子どもといっしょに 行けば,親子のふれ合う時間ができる。時間を決めて行事を行うことも楽しみの一つになる。子育て支援センターは,母親と子ども,それぞれが楽しめ,安らげる場所である。

第2章   高齢化対策

1 定年を70歳に引き上げる。
高齢化社会の今,若い人たちの年金負担はますます大きくなる。定年退職を70歳に引き伸ばすと,高齢者たちは自分の給料から生活費を少しでも出せるようになる。そうすれば,年金の負担も軽くすることができる。定年70歳の問題は,会社の給料の負担が増えることだ。だから,年齢によって給料が増えていく今の制度を変えて,一人一人の実績で給料が支払われるようにしなければならない。

2 年齢制限のある職業をつくり,その職場を提供する。
  今日では,労働者の支払う年金が問題となっている。高齢化の今,労働者の年金負担はさらに増えていくだろうと予想される。これ以上支払う年金や社会保障費の負担が多くなるとたいへんだ。 だから,高齢者にも働けるところを建設して提供し,働いて自分でお金をかせいでもらい,できるだけ自分のお金で生活できるように助けていかなければならない。高齢者にも働ける人はたくさんいる。しかし,求人者ができるだけ若い労働者を求めるため,働ける高齢者でも働くところがない ために年金で暮らしているという人もいる。そんな人のために国や各県で高齢者優先の働き場をつくる。その会社では,「〜歳まで」と年齢制限をつけるのではなく,「〜歳以上の人優先」とすれ ばよい。また,その職場には車いすや手の不自由な人でも入りやすいトイレなどをつくり,高齢者で手足の不自由な人も使いやすいようにする。高齢者にも自分で働けるように環境をととのえることが大切だ。

3 さまざまな施設のバリアフリー化をさらに進める。
  現在,多くの施設でバリアフリー化が進んでいる。だが,都市では若者中心の町づくりがされていて,高齢者には住みにくいところもある。歩道や交差点にも段差が多くあり,人がたくさん集まる場所では,高齢者は危険だ。それに,電車に乗るときにも,階段や段差のために車いすの人が乗ることができない。そこで何らかの法律をつくってバリアフリー化をさらに進める必要がある。

4 小中学校で介護の方法を学ぶ授業を行い,高校・大学ではその実習を義務とする。
  高齢化が進むこれからの時代,介護の方法を知ることはますます重要になる。だから,小学校や中学校で,介護の勉強をしておけば,いざというときにも自信を持って介護をすることができる。また,高校や大学で介護の実習を義務にすれば,かなり多くの技術が身につく。それは高齢者にとって,とても幸せなことだ。これから未来に必ず必要となる介護の方法を学校で学ぶことは,とても大切なことだ。

5 介護が必要な人に安い値段で介護用品・リハビリ用品を貸し出すサービスをさらに広げる。
  今までは介護用品・リハビリ用品を買おうと思っても,値段が高いから買えないという人がいた。だが,安い値段で貸し出してもらえれば経済的に楽だ。今でもそういったもの貸し出すサービスをしているところがあるが,まだ,その種類や数が限られている。だから,介護用品・リハビリ用品を安い値段で貸し出すサービスをさらに広げることが必要だ。

6 今ある自動販売機を,車椅子でも使用できるものに替えていく。
  今,車いすでも使用できる自動販売機がある。だが,数はとても少ない。私たちの住む木曽川町には,大型スーパーの入り口に一台だけ車いす可能な,たばこの自販機がある。このような自販機をもっと増やしていけば,高齢者にも障害者にも便利で,住みよい町に変わっていく。だが,自販機を増やすだけでは電気のむだづかいになる。だから,ふつうの自販機を車いす可能のものに替えていく。

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