木曽川町立黒田小学校研究発表会 魚住先生(愛知教育大学)の指導講評 土井の記録  158回へ戻る

黒田小学校と2年間にわたって,かかわってきた。
今回の研究の特色を3点述べる。
1 学びの広がりとつながりを意識して,確かに実現しようとしている
  基礎的な知識・技能を十分に育てる,その上に立って自ら学んでいく,追究していく力を育てる。
 これはどこでもやられているが,どうも,基礎・基本と体験的な学習のつながりが不明確である。
 黒田小は,つながり,広がりを持たせている。(要項2〜3P)
 かかわる力を軸にして,4つの育てたい力を育てようとしており,これが生きる力になる。
 ひとつは,知の構造をとらえることが重要なのだ。体系的な知識,生きて働く知識を獲得する必要がある。これがあって,問題に出会ったときに応用的な知恵を生み出す。日常的に出会う様々な実践知,応用知を生み出す作業であり,知恵のある子に育っていく
 一方では,豊かな心をきっちと押さえておこう。
 知性と感性のバランスが大切だ。

2 生涯にわたって学び続けるような意欲と学ぶ力を育てようとしている
 新しい課題を設定してチャレンジ,対応する力を育てようとしている。
 変化の激しい世の中では,昨日までの知識は役に立たないかもしれない,
 それでは,新たな知恵を生み出す力は学ぶ力,生涯にわたって自ら学ぶ力はどこからつくか,

 学びを振り返ってどこが足らないか,どこを補充したらいいのか?生きる力としての学びの力は,結局自己評価力である。
 学びの力は,(内発的動機による)学ぶ意欲,(興味・関心・好奇心)を開発する。ほっかておいてはできない。好きなだけの興味・関心だけでは困る。
 最初は教師が投げかけるしかない。
 そこから発展して,何をやりたいか問うしかない。問いかけをされて,環境・国際理解・福祉などの傘に子供が入る。
 一つの領域としての環境,木曽川・・・ 様々な課題を見つけることが可能。骨はいろいろがあるが,大きな傘がある。発達段階で傘の大きさは変わる。最初から傘を与えるのは無理がある。

 課題作りの前に,ウェビングをやっているが,それも有効

 自分で何ができるか,どこまでできるかの資料が必要,記録が必要だ。メモ,ファイルを残しておく。自らの学びの足跡を振り返る。中間・本発表に備えて自分のやったことを振り返る。振り返りの課程でアドバイスをする。これを途中でやらないと,学ぶ意欲をなくしてしまう。自己評価のための中間発表だ。
 個別指導,相互評価
 大声で良かった, → ここをこうするともっと良くなる → 別のこういう方法 → いろいろなアドバイス
 相互評価はほめ合いではない。建設的に。
 学びかたをマスターしているかも自己評価。プロセスを評価,修正し,できたものを自己評価,他者の意見を聞いてまた修正する。

 共に学ぶ,知恵を出し合うと,だんだんできるようになる。それが,より新しいアイデアや創意を産む。

 総合的な学習では,発表の場を大事にする。社会科や理科でも,発表の指導をしっかりすることが大切。相手のアポイントは社会科で教える。それが修学旅行などで生きる。それも基礎・基本である。発表も学年を経るに従ってうまくなる。それも算数や国語の力を問われている。低学年からの積み上げが必要だ。
 
3 地域を重視する
 地域を重視することには,いろんな意味がある。
 地域は課題の宝庫だ。足が悪い方がいれば,その人にとって住み良いか。寝たきりのお年寄りがいれば,どうすればいいのかみんなで考える。すぐに課題ができる。地域で学ぶ,地域から学ぶ,地域を学ぶ,地域に貢献する。と言う視点を。
 また,地域は人材の宝庫である。学んだことを生かして地域に働きかけることができる。
 日本の企業は,いかに地域に貢献するかで苦労している。日本人学校があることによって,我々の地域に何を貢献しているのか,答えを求められるそうだ。
 存在することは,貢献を求められると言うことなのである。

 地域は,いろいろな人がいる。自らの活動体験を豊かにする。たくさんの有価知な体験をすることができる。
 
これからのこと
1 教師によって知識を伝達する学校から,必要があれば新しい知識を求める方に転換している。
  その場合,従来の学校環境でよいか見直す必要がある。
  今日の場合,体育館でどういうスタイルでメモを取ったか。はいつくばって書いていた。もし,背の低い机があったならば学習が広がった。 
 これまでの学校は 能率的に知識を伝達するための構造である。
 今後は,教師にとって都合の良い学習環境から,子供にとって都合の良い学習環境へとの転換が必要だ。従来あるものを,子供の学びの都合の観点から見直すとかなり改善できる

 のびのびとできる環境を。小学校から創造性を培う,内発的・自発的な学習のできる環境を。資料館の中に子供の視点の展示を。

2 カリキュラムは柔軟で修正可能なもの
 総合は総合,教科は教科ではだめだ。総合,教科,行事を連動した骨太な計画,全体カリキュラムを構成する必要がある。
  3つポイントを挙げよう。
     (1) 子どもたちが組織された体系的な知識を確実に獲得できる
         獲得すればするほど次の学習に生きてくるもの
         学校全体としてそういった知識を洗い出す必要がある
     (2)  知的な意味での学習技能を。
         課題,方法,実践,見通し,評価,さらなる課題
         こう言った学び方を習得する場が教科
         それぞれの教科の個性に応じた学び方
         知的なものを知恵にするには実際的な体験や作業がいる
     (3) 子供が意欲を終生持ち続けるためには,学ぶことの意義,すばらしさに気づかせる
         これができれば,生涯学び続ける子になる
    
 3 この3つは,先生が協働する必要がある。
   TT,教科担任制など