○浜井 次に、 建設工事の発注について伺います。 一点目は、 安値受注と低入札価格調査制度について伺います。 自然災害、 東海地震、 富士山噴火などの防災対策や地域雇用の確保ということを考えるとき、 地場型建設産業を育成支援するということは大切な施策の一つであります。 しかし、 景気低迷状態が長期化し民間設備投資も公共事業も縮小された市場の中で、 利潤を度外視した捨て身のダンピング受注が相次いでいます。 建設業も産業でありますから、 適正利潤を得るために努力することは正当な事業活動であると思います。 工事の入札に際して発注金額算定の基礎となる積算価格は、 旧建設省の認可法人である財団法人建設物価調査会の毎月の調査を参考にして、 各自治体ごとに決定しているものと思います。 この調査会の資料は市場の動向、 工事費、 労務費、 歩掛かりなどの価格実態など各省庁の委託を受けた広範囲な領域に調査が及んでおり、 その公信力いわゆる公の担保力を得ている数字であると広く考えられています。 WTOの政府調達に関する協定においては、 発注者は最低価格の入札を行った者を落札者とするとしていますが、 基本的に最低制限価格を設けることには賛成ではないとの立場にあると承知しています。 地方自治法施行令は最低価格による落札決定を原則としながらも、 最低制限価格制度と低入札価格調査制度という二つの制度を認めてきましたが、 低入札価格調査制度の運用については、 基準が一定されていないように思います。 低入札価格調査制度をクリアしても何年か後に隠れた瑕疵が見つかった場合、 もうその業者は存在しないといったことも想定され、 結果として公共の利益に反するということになってしまいます。 健全な地場型建設産業の育成を図る上からも、 最低制限価格制度の取り扱い及び低入札価格調査制度の取り扱いについて、 当局の御所見を伺うものであります。 ○山口土木部長 建設工事の発注についてのうち、 初めに安値受注と低入札価格調査制度についてお答えいたします。 いわゆるダンピング受注は、 建設業の健全な発展を阻害するとともに工事の手抜きや労働条件の悪化等につながりやすいことから、 県におきましては工事予定価格五千万円を基準として、 それ以上の工事につきましては低入札価格調査制度、 それ未満の工事につきましては最低制限価格制度を採用して、 適正な施工と品質の確保に取り組んでいるところでございます。 ちなみに平成十三年度におきましては、 これらの制度の対象となりました工事は合わせまして五十六件、 工事全体の約一・七%でございます。 県といたしましては、 中央建設業審議会の建議を踏まえまして、 一定の基準価格を下回る入札を無条件で排除する最低制限価格制度よりも、 企業努力やコストの縮減につながります低入札価格調査制度の方がより望ましい制度と考えてございまして、 現在、 工事コストの実態調査や施工監督体制を強化するなど、 低入札価格調査の一層の充実に取り組んでいるところでございます。 今後とも、 よりよいものをより安く調達することは発注者の責務でありますことから、 不良不適格業者の排除やダンピングの防止が可能となるよう、 入札契約制度の一層の改善に努めてまいりたいと考えております。 ○浜井 官公需適格組合の活用について伺います。 こうしたダンピング受注が続けられることによりゼネコンの体力も弱りますが、 何よりもこれまでその裏方として業界を技能的に支えてきた専門業者にも影響を与えることは避けられません。 元請が安値受注すれば、 下請業者は案分比例によって工事費を割り当てられ、 労務費、 資材費、 現場経費などで必要最小限の金額の確保もままならないのが現実の姿のように聞いております。 そうした環境の中で例えば左官業を見てみますと、 平成二年の静岡県左官業組合の加入者は一千五百三十組合員となっておりましたが、 それが現在では五百二十組合員と三分の一に減少しております。 また、 静岡県建具工業組合の組合員の推移を見てみますと、 平成四年の六百五十六組合員に対し、 平成十四年には三百四十三組合員とほぼ半分になってしまいました。 本県で第三十九回技能五輪国際大会を開催するころには、 さらにこの数が減っていることになってしまうのではないかと思われます。 新しい県の総合計画の戦略プランでは、 現在の建設業の生産就業人口十八万人余から一二%減らした約十六万人の確保を目標にするとしていますが、 果たしてこの業界がこの規模で生き残っていけるのかと大変不安を感じます。 そこで、 中小企業対策の一環として昨年七月に閣議決定された 「中小企業庁が証明した官公需適格組合を初めとする事業協同組合等の受注機会の増大について」 に基づく建設工事の発注について、 県はどのように考えているのか伺います。 |
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○山口土木部長 次に、 官公需適格組合の活用についてでございます。 県では、 中小建設業者の組織化、 事業の共同化の促進を図りますため、 官公需適格組合の証明を受けました事業協同組合に対しまして、 入札参加者の等級格付の基準となる総合点数に一〇%のかさ上げを行うなど、 優遇措置をとってきたところでございます。 しかしながら、 県の入札参加資格を持っている事業協同組合の大半は、 財務内容や技術者資格などの観点から三千万円以上の下請発注ができます特定建設業の許可を取得することは困難な状況にありますので、 今後とも経営や技術力の強化のあり方につきまして積極的に指導を行ってまいりたいと考えております。 |
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低入札価格調査制度 / 官公需的確組合について |
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平成14年6月議会 本会議