○浜井
次に、 地元中小建設業者対策のうち、 土木事業の地元受注機会の徹底についてお尋ねします。
建設業とその関連業界は、 これまで幾たびか訪れた不況時の失業者を吸収し、 雇用を維持する役割を担ってきました。 バブル後も、 建設労働者は増加を続け、 三年前のピーク時には六百八十五万人を数えましたが、 その後は十八カ月連続で減少を続け、 ことし四月には、 ついに六百五十万人にまで落ち込み、 中高年を中心に三十五万人の雇用がはじき飛ばされた勘定になります。 ある建設会社の社長さんは、 「今までは年間に四、 五件の仕事があったが、 去年はたったの一件だけ。 我々のようなランクの低い業者は上がったりだよ」 と、 肩を落としながら話す言葉を聞かされました。
平成六年の県内十一の土木事務所の発注件数は九千八百八十六件、 金額は一千六百十一億七千五百万円余、 同様に昨十年度の発注件数は七千五百七十九件、 二千三百七件の減少であります。 金額は一千五百四十九億八千万円余、 六十一億九千四百万円余の減でありました。 金額で三・八%の減、 件数では二三・三%の減となりました。 平成十年、 県内業者が受注した総額は一千二百七億二千万円余、 件数は六千八百八十件、 九年度に比べて件数は五%増、 金額は一四%増であります。 したがって、 工事一件当たりの金額が上がっていることになりますから、 コスト削減という観点からは好ましいとは言えますが、 地元の中小業者から見れば、 受注機会の減少につながっていると言えなくもありません。 景気・雇用対策として、 地元建設業に対する受注機会の徹底についての御所見を伺うものであります。
○岡野土木部長
地元中小建設業者対策のうち 土木事業の地元受注機会の徹底についてでありますが、 県では、 県内建設業者が施工可能な工事につきましては県内業者に発注していくことを基本として、
これまでも静岡県公共事業施行対策連絡会議等を通じて、 県内建設業者の受注機会の確保を各発注機関に求めてきたところであります。 昨年十二月には、
景気の低迷等により本県建設産業が厳しい経営環境に置かれていることから、 その改善を図るために、 建設業の経営環境改善対策を取りまとめ、 分離・分割発注の促進等による県内中小建設業者の受注機会の確保などを改めて要請したところであります。
こうした中で、 平成十年度に土木部出先機関が実施した公共工事の平均一件当たりの発注金額は、 平成九年度の千九百十一万円から二千四十五万円へと、 平均すると百三十四万円ほど上昇しておりますが、 発注件数の増加を規模別に見ますと、 一億円以上の発注件数は二件の増加にとどまっているのに対し、 県内企業の受注が大半を占める一億円未満の工事の発注件数は二百八十六件の増加となっており、 この点では、 県内中小建設業者の受注機会の確保という趣旨が浸透しているものと認識しております。 その結果、 平成十年度におきます県内建設業者への発注は、 件数で全体の九〇・八%、 金額で七七・九%を占めることとなり、 平成九年度に比べて件数で一・三ポイント、 金額で二・三ポイント増加いたしました。
今後とも、 コスト縮減及び効率的な事業執行の確保を基本とした分離・分割発注に努めるとともに、 公共工事の早期発注や、 きめ細かな箇所づけに配慮するなど、 県内中小建設業者の受注機会の確保に一層努めてまいります。
○浜井
次は、 建築工事の地元受注機会の徹底について伺います。
昨年十二月議会、 今回の私と同趣旨の質問に対して、 当局は、 前年比件数で一・五ポイント、 金額で三・三ポイント上回っていると回答されています。 この数字を聞くと、 いかにも地元業者の受注機会が増大しているようにも感じます。 しかし、 例えば都市住宅部の建築及び営繕工事の本庁発注分は、 七年度県内業者が受注した件数は百六十一件、 金額は百三億円余、 九六・六%、 県外業者の受注は十九件、 金額は三億六千三百万円余、 全体の三・四%でありました。 昨年十年度は、 県内業者受注件数百八十九件、 受注金額は百三十八億二千六百万円余、 県外業者の受注件数四十七件、 七年度は約一〇・六%でしたから、 十年度はほぼ倍増ということになっています。 十年の総発注金額に対する受注金額は、 県内業者の六九%に対し、 県外業者は三一%の割合となります。 しかし、 これもJV工事、 いわゆるジョイントベンチャー工事参加が、 地元企業にとって単なるペーパージョイント、 発注権を持たないジョイントということでしかすぎないとすれば、 この数字の持つ意味は大きなものになってくると思います。
建設業経営環境改善対策では、 県内企業への発注の徹底や経常JVの活用促進が示されています。 複数の県内経常JVによるJV企業への発注、 特殊な工法を必要とする工事の場合は、 そのノウハウを持つ大手建設会社を、 県内業者を主幹事会社とするJVにして発注するなどの工夫も必要だと思いますが、 当面は、 JV内における県内業者の地位の向上について強い指導を求めておきたいと思います。
今回の緊急避難的な景気・雇用対策の中で、 大型建築工事の地元建設業者への発注機会の拡大についてどのように考えておられるか 御所見を伺うものであります。
○久保田都市住宅部長
地元中小建設業者対策についてお答えいたします。
建築工事の地元受注機会の徹底についてでありますが、 県内建設業者の受注件数と金額が平成十年度において特に増加した要因といたしましては、 平成九年度に予算の相当部分を占めます大型プロジェクトである小笠山スタジアム建設工事が発注をされ、 平成十年度以降も引き続き工事が行われていることによるものであります。 地元受注機会の徹底につきましては、 静岡県公共事業施行対策連絡会議で示されました 「中小建設業者の受注機会の確保」 の通知に基づきまして、 分離・分割発注の促進、 制限付き一般競争入札の参加条件の緩和等を推進し、 県内建設業者の受注機会の確保に努めてきたところであります。
具体的な対策といたしましては、 コスト縮減及び効率的な事業執行の確保を基本として分離・分割発注に努めることとし、 建物が別棟となっている場合や、 技術的かつ合理的に分割できるものは、 工区を分けて発注を進めております。 さらに、 設備、 外構、 解体など専門性、 独立性の高い工事については、 同様な趣旨でそれぞれ分離発注するなど、 受注機会の確保を図っているところであります。 また、 大手建設業者が対象となる大規模で高度な技術を要する工事や、 WTO政府調達協定に該当する工事については、 共同企業体に発注し、 その構成員として県内建設業者が参加できるよう配慮しているところであります。
なお、 共同企業体の運営に当たりましても、 先ほどの静岡県公共事業施行対策連絡会議から示されている適正な取引関係の確保に基づきまして、 経営方針、 技術力等の異なる複数の構成員による共同企業体が効果的な活動とその適正な運営が図られるよう、 契約時に文書をもって具体的に指導をしているところであります。 さらに、 経営の健全化や基盤の強化、 また技術力の結束を図る上からも、 経常的にJVを構成することも有効な手段であると考え、 県建設業協会等を通じ、 この経常JVの結成を促しているところであります。 こうしたさまざまな工夫を行いながら、 関係機関と連携をとる中で、 県内建設業者の受注機会の拡大を図ってまいりたいと考えます。
○浜井
次は、 農林水産工事の地元受注機会の徹底についてであります。
平成十年度の県内業者への発注件数は、 九年度比で一%、 工事金額も一%、 それぞれ増加しています。 しかし、 平成八年度と比較してみると、 同年の県外業者への発注件数は六五%、 発注金額では八・四%の割合を示しています。 八年度と九年度を比較すると、 県外業者の場合、 件数で〇・八%、 金額で五%伸びていますから、 県内業者は発注件数で〇・二%の増、 発注金額で四%の減ということになります。
農林水産部として、 地元建設業者に対する受注機会の徹底についてどのように考えておられるのか、 伺うものであります。 |
○山田農林水産部長
農林水産工事の地元受注機会の徹底についてでありますが、 農林水産部では、 静岡県公共事業施行対策連絡会議の方針を受け、 農林水産部関係公共工事早期発注等推進会議において、
早期発注と中小建設業者の受注機会の確保など、 適切な執行管理に努めたところであります。
御指摘の平成八年度と十年度の比較につきましては、 平成十年度にはダム工事、 橋梁上部工、 トンネルやしゅんせつ工事など特殊工事のため、 技術力や設備等から県内業者では対応できないものが多くあったことによるものであります。 しかしながら、 こうした工事においても、 極力指名に県内業者の参入機会の提供や、 技術力向上のため共同企業体の手法を取り入れるなど、 県内業者の受注機会の確保を図ったところであります。 ちなみに、 一億円未満の建設工事では、 金額ベースで県内業者が九三・三%と多くを受注しており、 平成八年度と比較しても〇・二ポイントと、 わずかながらも上回っております。
このように農林水産部の公共事業につきましては、 地元中小建設業者の受注に適した比較的小規模な工事でありますが、 今後とも、 コスト縮減や効率的な事業執行を基本とした分離・分割発注など、 地元業者の受注機会の確保に努めてまいります。
|
|