イギリスにおける鉄の宰相サッチャ−時代に、行財政構造改革の一環で導入されたのがPFI(Private Finance Initiative:プライベ−ト・ファイナンス・イニシアティブ)方式だった。
この方式の導入によって、大きく低下していたイギリスの社会資本の効率的な整備と公共サ−ビスの質の向上が図られるとともに、民間事業分野が拡大して小さな政府の実現に効果があったとされている。イギリスでは、今日なおPFI事業が公的資本支出の約20%を占めていると聞く。
このようにPFIは、民間資金、経営能力や技術等を活用して公共施設の維持管理、運営を行う社会資本整備の新しい手法の一つである。
我が国は、昭和60年代前半のリゾ−ト法などの施行に伴って、国の外郭団体や各地方自治体が競うように第三セクタ−を設立し、ゴルフ場、スキ−場、観光リゾ−ト地などの開発にしのぎを削った。
しかし、責任の所在の曖昧な第三セクタ−方式のもとで積み上げられた巨額な赤字の補填は、結局、国民や地域住民など納税者の負担となって跳ね返った。
平成11年9月に、我が国においてもPFI法が制定された。そして翌12年3月に「PFI事業の実施に関する基本方針」が策定され、これまでに約58のPFI事業が実施されている。
内訳をみると、学校や給食センタ−などの教育施設、美術館、図書館などの文化施設が各7件でトップに並び、以下社会福祉施設、駐車場、公営住宅そして観光施設や廃棄物処理施設と続く。さらに該当施設の設計から運営までを一貫して対象とするものが38件と全体の3分の2を占めた。
最近、宮城県で計画されていた「仙台空港アクセス鉄道整備事業」のPFI導入が見送られたという報道があった。PFI事業者が施設を民間資金で整備、運営し、一定期間で投資資金を回収した後、公共に移管する「BOT方式」を日本政策投資銀行が主張したのに対し、宮城県が三セク方式にこだわったのが原因だという。いってみればリスク負担という点での官と民の間隔が違っていると言うことである。
今後、財政健全化を目指す静岡県や県内の市町村においてもPFI方式が積極的に導入されていくことになる傾向が強い。
しかし、官と民が対等の立場に立った事業の推進、入札及び事業者選定手続きの改善、税制措置や公物管理法の改正などの、官の側の側面的な支援策が求められてくるだろう。 国も地方も巨大な財政赤字を抱える中で、20年から30年間にも及ぶ長期の施設運営を担保させる「PFI方式」がホント運馴染むのかどうか、私には疑問に思えるのだが。
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P F I 方 式