先日の夜、県教育委員会から西遠地区新構想高等学校整備事業にPFI方式 導入を決定とするFAXが入った。翌朝の朝刊は、高等学校整備という分野でのPFI導入は全国初めてのことと、各紙が一斉に取り上げていた。
平成12年2月、PFIの第一人者である某北海道大学教授による「我が国におけるPFI導入の展望と課題」という講演会が静岡で開かれた。二年前、全国議長会主催の海外視察研修に参加した私は、ニュ−ジランドとオ−トラリアのPFIについて視察していたこともあり、この講演会には、大きな期待と興味を持って参加した。
質疑の時間に移った時私は、『PFIを既に導入している国としてはイギリスやニュ−ジ−ランドやオストラリアがありますが、かってイギリス統治下にあったこの二つの国のPFI実施事業の殆どは、イギリス国内において既にPFIのノウハウを持った企業が大半を占めていたと記憶している。
我が国が今後本格的にPFIを導入していく場合、国内でいち早くノウハウを蓄積した大手商社や大手ゼネコンなどを中心とする企業体が、地方を席巻してしまう恐れがある。WTOの関連で外国資本の参入問題も視野に入れる中で、地方自治体が地元の企業に優先権を与えるようなPFI事業者選定方法は考えられますか。』と質問した。
教授は『現状では日本の中でのPFIに対してノウハウを先駆的に持っているところが、どこにあるかということについては分かりません。』としながら、『地域振興という意味で、地元企業を参入させる為の条件を付することは可能ではないか。地域の企業の方が、どう早くノウハウをつけていくかという問題だ。地方の企業が手をこまぬいていれば、おっしゃるようにオ−プンにすれば、ゼネコンや大手商社などがワ−と入ってくることになる可能性があり、今指摘された問題点は確かにある。』と答えられている。
現在、全国で進められている58のPFIの事例をみると、落札代表企業には鹿島建設、大林組、大成建設などの大手ゼネコン、伊藤忠商事、三井物産、三菱商事などの商社などが顔を揃えている。残念ながら今までのところ、そこには地元企業とおぼしき企業の姿は見あたらない。
日本の法制度上、事業全体の担保設定はできないことになっているから、最長32年にも及ぶ事業期間を要するPFI事業ともなれば、金融支援を行う金融機関の、実施企業への査定は、信用力の強い大手ゼネコンや商社に分がある。
今回導入が決まった西遠地域新構想高校の事業期間は25年である、懸念材料は、今回地元の金融機関が、それほど熱心に見えないことである。
地域に根ざした教育という大事な分野を、地元にあまり縁のない、大都会に本社を置く大手企業が25年という長期にわたって担っていくことに対する不安感もある。
この事業は、是非とも地元の企業体に頑張ってもらって、地方発の教育施設PFI方式の先駆けとなってもらいたいと願っているところである。 |
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再びPFI方式