少子高齢社会の進展は、日本の社会の隅々に様々な問題を引き起こしている。そのためばかりではないものの、浜松市のような都市域においても、中心部の夜間人口は少なくなっている。
人通りが少なくなると、商店街は灯りを消し、シャッタ−を下ろしてしまう。灯りに群がる夜間のブラブラ歩きやウィンドウショッピングが減って、また人が集まらなくなるという悪循環に入っている。
町中の子どもや若者が減って、伝統を誇る浜松たこ揚げ祭りで夜の御殿屋台引き回しができず、祭り会館に展示したままという町もあるほどだ。
祭りを例にとったが、その他の様々な地域コミュニティが、成り立たなくなっている。かってはどこの町村にもあった小さな商店や商店街が、その影響を受けて姿を消していった。
地域コミュニティの再興や商店街の活性化の対応策の一つとしての「地域通貨」は、国内ですでに170以上も存在している。こうした地域通貨は、互いの助け合いを通じて、それを地域で生かすことのできるシステムである。
中でも、特に「時間」を単位にしてサ−ビスの交換を行う「時間通貨」が、日本では最も有効な通貨となっている。次いで「エコ・マネ−」というシステムも実効性をあげている。「エコ・マネ−」の対象となる取引は「介護」、「福祉」、「環境」、「教育」などの様々な分野に及んでいる。「エコ・マネ−」への参加希望者は、「してほしいこと」と「できること」を互いに登録する。その取引は相対で行われ、マネ−価格は両当事者によって決定される。従って「エコ・マネ−」は、流通すればするほど、地域のコミュニティ−が増進する仕組みだ。
新しい地域通貨として島根県松江市で始まった「音楽会通貨」というシステムがおもしろい。年に10回ほど同市のブラバホ−ルで開催される自主事業としてのコンサ−トなどの運営を手伝ったボランティアスタッフに、入場チケットとの交換ができる「プラバ通過」を発行するというもの。
1時間のボランティアに対し「600ブラバ」が支払われる。1ブラバは1円、コンサートは約3時間ほどだから、1回ボランティアをすれば約1,800ブラバとなる、ボランティアを2回すれば、この「通貨」で1回のコンサートが楽しめるという仕組み。
「ブラバ通貨」の対象となるボランティの仕事は、チケットのもぎり、プログラム配布、客席案内、駐車場整理などで、この制度を導入することで年間40万円ほどの節約になるという。
アメリカをはじめ海外にはすでに焼く5千もの「地域通貨」があるといわれ。アメリカのある洲では、低所得者層が奉仕によって取得する「地域通貨」で公営住宅の家賃の支払いに充てているとも聞く。
「地域通貨」が奉仕と実益を兼ねた新しい「マネー」として各地に根付くことを願ってやまない。
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