去る7月26日、宮城県北部を震源とする地震が発生し、最大震度6の揺れが連続して3回記録され、その後もしばらくの間余震が続いた。
内陸部の浅い活断層付近で発生した地震で「マグニチュ−ドは6、2、最大の震度は「6弱」と発表された。
震度は地震の揺れをあらわす尺度で、我が国では気象庁が1949年(昭和24年)に決めた「0(無感)、1(微震)2(軽震)、3(弱震)、4(中震、5(強震)、6(烈震)、7(激震)」の震度階が使われてきた。
これまでは地震が発生すると気象庁や気象台の職員が床に腰をおろして、体感する揺れの強さや周囲の状況を見て判断するという、全く個人差のある数字だったと聞いて驚いた。
その後、気象庁が多くの地点においてより客観的な震度を決めるため、震度計に基づく震度を採用するようになったのは1996年(平成8年)のこと。
以来全国に約3,800の震度計が敷設され、この時点でようやく全国的に信頼できる公平な震度が確定されたといえる。
宮城県北部における地震の被害は、建物全倒が320棟、半壊1,606棟、一部損壊6,638棟で、重傷者26人、負傷者は625人を数えた。 しかし、建物倒壊率、道路や橋梁の被害状況を見る限りでは、従来考えられていた震度「6強」「6弱」という地震被害のイメ−ジに比べて少ないという意見が専門家の間に多かったという。
切迫していると言われる東海地震での浜松市域における想定震度は、「5強」が3,5%、「6弱」が84%、「6強」が10%、震度区分としては最大の「7」が2,5%とされている。
してみると、今回の宮城県地震の震度は、浜松市が東海地震で受ける想定震度とほぼ同じ規模、程度ということになる。
東海地震で想定震度「6弱」が大半を占める浜松市における想定建物被害は、大破12,467棟、中破32,802棟、一部損壊38,515棟、人的被害では、死者496人、重傷者2,394人、中等負傷者10,715人と推計している。
建物総棟数、総人口などを細かく比較してみなければ正確なことは判断できないものの、確かに宮城県北部地震の被害は震度の割に少ないよう思える。
ここにきて、再び専門家の間で、宮城県連続地震で記録された震度は、正しくなかった可能性があると指摘され始めた。
調査の結果、震度計が役場の中に置いてあったなど、複数の自治体の震度計が適切な場所に置いてなかったという事実が判明した。
マスコミなどの報道を通じて震度「6弱」や「6強」の被害があんなものかという基準を国民のそれぞれが心の中に持ってしまうことが恐ろしい。
きめ細かな震度計測とその結果の信頼感を全国民が共有するための努力を、地方自治体を始め地震に関連する総ての公共機関は怠ってはならない。 |
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地震と震度