国と地方の税・財源を改革する「交付税見直し」、「国庫補助金削減」「地方への税源移譲」といういわゆる三位一体の改革が、いよいよ来年度から本格的に動き出す。国と地方分をあわせた借金が約700兆円にも達した現状では、やむを得ないことでもある。
来年度予算財務省原案が20日に内示され、一般会計の総額は今年度より微増の82兆1000億円で決着した。地方交付税の総額は16兆5000億円と今年度比で9千億円削減される。今後3年間で4兆円を削減することとしている補助金は、国土交通省の2,210億円など計5,250億円と、既に概算要求段階で削減方針が固まっていた公共投資、奨励的補助金の約2,000億円を加えて、小泉首相が指示した1兆円削減を達成した。
全国知事会、市長会など地方6団体は、生活保護費の補助率引き下げが見送られたことや、公立保育所の施設運営費補助金を一般財源化するなどの結果に一定の評価を下した。「首相の不退転の決意を評価しなければならない。金額の問題ではなく、地方分権実現の一歩を踏み出したことは画期的で革命だ」と、全国知事会会長は好意的に受け止めたが、一方、石原東京都知事は、東京などの大都市に対する配慮が知事会全体にないとの認識を示し激しく反論したとされる。
地方自治体の予算編成指針となる地方財政計画の規模は84兆6700億円、今年度比1兆5400億円で1、8%の減。地方交付税の配分額は16兆8900億円でマイナス6,5%の1兆1800億円の減、地方財政計画は3年連続、地方交付税は4年連続の減となり、税源移譲額は4250億円に留まった。
地方の今後の予算編成作業は、この事実が県と市町村に対して具体的にどのくらいの影響がでるのか不確かな中で進めなければならないというジレンマに陥っている。12月のこんな状況はかってなかったことである。
本県が過日発表した来年度予算の部局調整案の積み上げ総額は1兆1638億円余、これに伴う財源不足額は319億円余となっていた。地方財政計画の圧縮と税源移譲のない部分での補助金削減が実行された場合、この不足額は更に増加する。各部局は、関連するどの事業でどのくらいの減額になるか、今必至で情報収集に追われている。場合によっては、予算編成を最初からやり直さなければならない事態も予想される。
一般財源の不足分を補うために編み出された「臨時財政対策債」は今年で3年の時限が切れるが、更に3年延長される見込みだ。これは返す当てのない借金いわゆる赤字地方債であるが、三位一体の改革ではこの借金分まで含めた地方への税源移譲が行われると予測するむきもある。
今後、合併特例債も全国規模で大量に発行されることになる。三位一体の改革は、実は地方への借金転化という危険性もはらんでいることを肝に銘じておかなければならないのである。
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国の財政改革と地方財政