政令指定都市又は指定都市は、地方自治法第252条第19項に「政令で指定する人口50万以上の市」と規定されており、事務配分や監督、行政区の設置について特例が認められている。既存の指定都市は、いずれも人口80万人以上の要件で指定されており、一応人口80万人が目安とされてきた。
指定順に現在人口を見てみると、横浜市3,426,651人、名古屋市2,171,557人、京都市1,467,785人、大阪市2,598,774人、、神戸市1,493,398人、北九州市1,011,471人、札幌市1,822,368人、川崎市1,249,905人、福岡市1,341,470人、広島市1,126,239人、仙台市1,008,130人、千葉市887,164人、さいたま市1,024,053人となっている。
平成13年、政府は「市町村合併支援プラン」を策定、人口要件を70万人に緩和する方針を打ち出したことをうけて人口706,613人の静岡・清水両市がいち早く反応した。本年4月1日には、「70万人以上」とする人口要件を全国で初めて適用される政令都市静岡市が誕生する。この後に、堺市829,636人、浜松市786,306人、新潟市779,483人、岡山市722,246人などが政令都市に向けた合併協議を続けている。
静岡市、浜松市という指定都市は、先発の大都市型の指定都市と異なり、中山間地域を多く包含する田園都市型の指定都市を目指すことになる。本県は、出先機関が持っている事務、事業の全てを新指定都市に移譲する考えだ。同時に指定都市以外にも、平成7年の地方自治法改正時に導入された「広域連合制度」を活用し、これまで県が担ってきた住民に身近な行政サ−ビスの大幅な権限を移譲したいとしている。
しかし、「市町村に対する連絡調整機能」と、市町村単位では対応が困難な、空港、港湾、大規模災害への対応などの「高度な専門的な機能」は、なお県に残ることになる。こうした都道府県、市町村といった従来の基礎的自治体の行政構造の変化は、単に本県における問題だけではない。
こうした行政・内政制度の変革期に当たり、昨年の11月、かねてより議会や有識者を交えて練り上げてきた国と地方における構造改革の方向を、石川知事は「内政制度改革研究会報告書」としてまとめあげた。さらに、内閣府による都道府県への「制度改正等の要望・地域再生構想」の募集に応じて、今月は、「政令県構想」の部分を抜き出して提言を行った。
内閣府地域再生本部の今後の日程によれば、こうした提言と要望を受け、地方自治法を含む地域再生関連法案の提出はこの3月、今通常国会の審議を経て10月には法律施行までもっていきたいとしている。
本構想は、国の徴税事務の統廃合など、許認可を含む国の固有事務の権限移転が前提となるだけに、今から各省庁の抵抗が予想される。構造改革は、既得権益を保持しようとする国家官僚機構の破壊と再構築なくしては成功しないだろう。
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政令指定都市と政令県構想