今回の参議院選挙の争点の一つに、年金問題があった。発端は年金コマ−シャル女優の未納問題。与野党からめて未納議員が続出し、唯一の立法府の国会議員が年金制度を知らないというお粗末な一面もさらけ出し、あげく福田官房長官と民主党官代表の首が飛んだ。自民党は年金改革法の強行採決が響き、改選前議席から1議席を失った。
議員に対する年金は、「国会議員互助年金」と「地方議会議員年金制度」で定められている。国民年金と議員年金を、受給資格、公費負担割合、給付額のそれぞれで比較してみると、まず受給資格は国民年金制度が25年以上となっているのに対し、国会議員年金は10年以上、地方議員年金は12年以上となっており、議員年金がはるかに有利である。
 国庫負担率は、国民年金が約30%に対し、国会議員年金は約75%、地方議会議員年金の負担率は45%である。
給付額は、国民年金が25年掛けて年額約50万円、国会議員年金は10年在職で年額約412万円、以後1年ごとに8万2千円づつ加算されていく。  地方議員の場合は、3期12年で給付額年額約180万円、12年以後の加算は150分の0,8だから大きな金額にはならない。国会議員年金の優位性が際だって見える。
さて平成の合併特例法で、全国に3225あった地方自治体は1800くらいに収斂されつつある。補助金と交付税の見直しを進める国の三位一体の改革によるアメとムチによって、近い将来に1000程度の自治体になるだろう。
地方議員共済は、合併による議員の定数削減により、掛け金の担い手である現職議員が減り続けている。そして一方で、長寿社会の到来により受給者は増え続けている。当然のこととして共済事業会計は大赤字。単年度の赤字を積立金の取り崩しで補っているのが現状である。2003年度の都道府県議会議員共済の単年度の赤字は、18億2千8百万円、積立金は119億8千万円。このままで推移すると、7年を待たずに原資が底を突く。
そこで昨年度から議員と公費の負担率を5%上げ、給付額の引き下げに踏み切った。新人議員の場合は20%の給付の引き下げになるが、改正制度のままでも遠からず破綻すると推計されている。 負担と給付の見直しは必至だ。
議員年金は、このほか市議会議員共済会と町村議会議員共済会があり、合併により町村から市に移行する場合は、町村議員共済会から市議会議員共済会に移管金が支払われると同時に、年金支払債務も引き継ぎされる。
 一般的に、現行の合併は、おおかたの市の財政を急速に悪化させるといわれている。地方議会議員年金制度のあり方についての再検討は不可避である。

議員年金