地球温暖化に関する京都議定書の発効を受けて、我が国は二酸化炭素など6種類のガスの総排出量について、2008年から2012年の間に、基準年である1990年の数値から6%削減することが義務づけられた。
 国や地方自治体が今年、こぞって公共施設内の冷房温度を摂氏28度に設定し、ノ−上着、ノ−ネクタイなどの軽装化に踏み切ったのは、地球温暖化防止の先導役としての試みの一環である。
 その結果、全都道府県庁で軽装化が実施されることになり、都道府県議会では本会議場など総ての場でのノ−上着、ノ−ネクタイを認めた議会は6議会に及んだ。しかし、委員会審議での軽装化を可としながら、本会議場での軽装化を不可とする議会は本県を加えて26議会、残り15の議会は、従来通りネクタイと上着の着用を義務づけたままとなった。 
 議員の服装に関し、明治23年の第一回帝国議会開会時の衆議院規則で「議場に入る者は、羽織袴、フロックコ−ト又はモ−ニングコ−トのほか、総て略服を着用し又は異様な服装をなすべからず」とあり、更に大正9年に「無地又はこれに準ずべき折襟背広服の着用を妨げず」とされていた。新憲法でこの規定は廃止されたが、第一回国会開会時の服装について「服装は男子はフロックコ−ト、モ−ニングコ−トの他国民服礼装、女子はアフタヌ−ンドレスの他白襟紋付を立前とするが、その他見苦しくない服装でも浅し支えない」との申し合わせをしている。一方、地方自治法上も服装規定は存在しないが、標準会議規則で「議員は議会の品位を重んじなければならない」、「議場に入る者は、帽子、外とう、襟巻き、杖、笠の類を着用してはならない」との規定がある。
かって青森県三沢市議会で、ノ−ネクタイ議員に対して議長が議場や委員会室への出席停止処分を科したことが問題となったことはあるが、それ以外で服装に関する論争はあまり聞かない。
 長い歳月を要し、服装文化として定着しているス−ツにネクタイというスタイルが、議会の品位と同義として受け入れられてきたからだろう。本県議会での実施について、多少の議論はあったが時代に従うことで決着した。
 1970年代の石油ショック時に導入された「省エネルック」は、その後いつのまにか消えていった。今回は地球温暖化防止のための削減数値目標に加え、「ク−ルビズ」というネ−ミングの妙もあることから、来年以降の夏季の服装軽装化の定着について、現時点では意見が分かれていることは事実だ。

夏季のノ−ネクタイ・ノ−上着