国と地方の巨大な赤字財政からの脱却を目指した小泉構造改革には、大きな二つの柱があった。一つは「官から民へ」であり、先の総選挙は、正にそれを争点に据えた「郵政民営化選挙」だった。
もう一つの柱は、「中央から地方へ」であり、地方の側に立つものとすれば、「交付税の見直し」「補助金の削除」「地方税財源移譲」という国と地方の税財政を見直す「三位一体の改革」。こちらの方が最大関心事だった。
平成16年6月「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」いわゆる「骨太の改革」の閣議決定を受け、16年度−18年度の3年間で、国庫補助負担金約4兆円を削減し、それをもとに約3兆円を地方に税源移譲するというもの。地方財政の自立度を高め、地方分権を推進するという大義のもと、小泉総理直々に地方公共団体に対し、国庫補助負担金改革の具体案をまとめるよう要請があった。全国知事会、全国都道府県議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会そして全国町村議会議長会の地方6団体は、「税源移譲との一体的実施」「確実な税源移譲」「地方交付税による確実な財政措置」「負担転嫁の排除」「新たな類似補助金廃止」などの前提条件を付して、改革案のとりまとめに入った。
その結果、先行して16年度に行った約1兆円の国庫補助負担金の削減に加え、17−18両年度における移譲対象補助金は、地方事務として同化・定着・安定化している経常的補助金や経常的負担金、普遍的・経常的な施設整備に関する補助負担金及び公共事業等投資的補助負担金、そして義務教育費国庫負担金などとなった。
今年度の地方向け国庫補助負担金は約21兆円、地方側の最終的な廃止予定補助金は約9兆円程度とし、廃止を求めない補助金は、国庫委託金や税の代替的正確を有するもの、国家補償的性質の本来が国で実施すべきもの、災害復旧、生活保護や児童扶養手当など社会保障関係負担金のうち、格差がなく本来国による措置が望まれるものなど約12兆円とした。この改革の最大の抵抗勢力である国の省庁と地方の綱引きの末、、去る1日、政府案を地方6団体はしぶしぶ飲みこむ形で決着した。相変わらず国の関与は残されたままだ。そして次の焦点は「地方交付税見直し」に移る。このままでは真の地方分権は道遠しである。第二期の改革の断行を望みたい。
しかしこの決着によって、地方は国依存からの脱却を迫られることになる。今後は一層の無駄を省き、何を優先するかを念頭に行政運営をしていかなければならない。首長、議会、住民、それぞれの責任は極めて重くなった。
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三位一体の改革