テクノス−パ−ライナ−TSL”希望”の廃船が決まった。”希望”のフェリ−としての実績を見ると、平成9年に就航し、原油高のため運航を休止した平成17年9月までの活用状況は、運航経費年平均13、400万円余に対し、乗船者数は年間平均14,029人、運航収入51,602千円、差引き収支年間82、744千円のマイナスである。
ただ、観光入込み客の落ち込みが続く伊豆半島、とりわけ南伊豆の市町村や観光産業にとって、このTSL”希望”は、正に希望であったことは間違いない。私は、そうしたことを念頭に、TSLの使命終焉について質問した。その中では、廃船の代替として、静岡空港の開港に合わせ、御前崎港と伊豆半島の港を結ぶ燃費効率の良いジェット・フォイル船などによる新海上アクセスの検討と、伊豆におけるコミュ−タ−空港建設の可能性についても言及した。
フェリ−は、御前崎港から伊豆の各港に約60分で到達が可能であり、静岡空港を利用する観光客の大量輸送にも応えることができる。伊豆半島では、駿河湾フェリ−や伊豆急マリンなどが、実績をあげていることを考えれば、民間フェリ−の就航を県が支援するという手法もある。
一方、滑走路1千5百メ−トルの空港建設には、海上浮上方式で約200億円、陸上土砂切り盛りによる造成でも約100億円余の工事費がかかると予想される。これを実現させるには、半島振興法などの活用のほか、あらゆる整備手法を検討する必要がある。
私は、富士山空港利活用推進議員連盟の役員仲間5人と、去る2月の空港ミッション「鹿児島ポ−トセ−ルス」に参加し、一行とは別行動で、この3月16日に、それまでの1千5百メ−トルの空港から北約8キロの地点で、滑走路2千メ−トルに延伸して新たに開港する「コスモポ−ト新種子島空港」の視察を行った。
平成4年に着工し、総工費240億円、離島振興法が適用されるため半島振興法より有利な80%の国庫補助がつく。
 島民は、鹿児島空港との往来の約47%が主力で、鹿児島空港経由東京便が約20%、唯一の大阪直行便が約10%の利用率であり、平成3年をピ−クに乗降客は減少を続けている。私は、鹿児島と種子島間を走る高速船との競合が原因ではないかと質したところ、「ご推察の通り。」という言葉が返ってきた。平成元年に1隻、7年と8年にあいつで3隻目を投入、現在はこの航路に4隻が就航する。加えて平成16年からは、別のフェリ−会社が3隻を就航させたこともあり、年間20万人台だった空港利用者が15万人台に落ち込んでいるという現実を知った。鹿児島まで飛行機代往復1万円、フェリ−代往復7千7百円の差が痛いという。
さて、伊豆半島コミュ−タ−空港計画も、フェリ−との競合を考えるとき、種子島における今年以降数年間の数値を参考にすべきだろう。


空と海のアクセス争い