旧商標法では、商標は図形等を組み合わせた場合や全国的な知名度を得て特定の事業者の商品であることが識別できる場合など、一定の条件下でしか登録が認められてこなかった。
 また、旧商標法では、図形が異なる同一文字の商標の排除や、全国的知名度の獲得という点で、商標を得ることは至難の業だった。
一方、近年、長い年月にわたって高品質を保持し、他地域の同種商品との差別化を図ることに努力を積み重ねてきた”魚沼産コシヒカリ”や”鹿児島県黒豚”などの「地域ブランド」商品が、消費者の支持を集めるようになってきた。
 しかし、これまた長い歴史を誇り我が国の伝統的工芸品第1号として有名な岩手県の”南部鉄器”の中国産の模造品が出回ったり、農水産物の産地偽装や食品の偽表示が行われるなど、いわゆるホンモノがその牙城を脅かされ、企業努力が損なわれるといった事態も数多い。
こうした社会情勢を受けて、ホンモノの産物・商品等を守り、合わせて地域経済の活性化に寄与することを目的とした「商標法の一部を改正する法律」が昨年国会で成立し、本年4月1日から施行された。
 今回の改正で、地名入り商標は事業協同組合や農業協同組合などの適格性を有する団体が使用し、近隣の複数の都道府県に周知されていると判断されれば登録できることになった。
 全国的なブランドとして確立する前の段階での登録が可能となったことで、企画力による地域経済の活性化と、模倣・模造品に対応できる仕組みが整った。
 去る4月10日、特許庁は、地名と商品名を組み合わせた地域ブランドの商標登録の出願状況をまとめ、公表した。それによると、受付初日の4月1日だけで258件が出願され、その後海外からの1件を含み、39都道府県から合計324件の出願があった。
京都府の”京舞妓”などの109件がトップを占め、沖縄、石川県が24件で続き、次いで兵庫県、岐阜県、新潟県が10件を超えている。
本県は今のところ、”三ヶ日ミカン””由比桜えび””駿河湾桜えび””遠州灘天然とらふぐ”そして”焼津鰹節”の5件に止まっている。
国際園芸博覧会では、”浜名湖ウナギ丼”が人気を集め、会場で列を待ちきれない人達は、市内の駐車場のある「「ウナギ屋」に押しかけた。 園芸博の成功は、花と緑と水とウナギにあったという人もいる。会場跡のガ−デンパ−ク内に去る4月15日にオ−プンした「お食事処むらちゃ」の売り物は”ウナむすび”である。”天然とらふぐ”もいいが、漁獲量が不安定なのが大変気になっている。”浜名湖ウナ丼”の地域ブランド登録を期待しているのだが、今のところ実現されていない。関係者とともに、早急にその可能性を探ってみたいと思っているところである。


地域ブランド