去る8月16日から19日までの4日間、静岡県私学協会調査視察団の一員として中国浙江省杭州市を訪問した。小泉首相の靖国参拝問題で、日中間の首脳級会談の場が閉ざされたまま「政冷経熱」の状態が続いているが、日中両政府は今年を「日中観光交流年」と位置づけ、双方の高校生を相互招待する青少年交流と修学旅行の相互促進を掲げた。
同時に来年が、日中国交回復35周年、静岡県浙江省友好提携25周年と静岡県私学協会創立60周年、静岡県私学教育振興会50周年という節目の年ということもあって中国浙江省杭州市旅淤委員会の招聘に応ずることとなり、私学行政に尽力していると評価された私を含め4人の県議が今回同行した。
今回の訪問先の一つである「杭州緑城育華学校」は、6年の中・高一貫校として1999年に開校され、創立7年という新設校ながら、杭州市5大名校の一つに数えられるまでになった私立学校である。同校を経営する緑城控股集団有限公司は、幼稚園や日本語学校など関連子会社100社余、プロサッカ−チ−ムも保有する中国で10指に入る不動産会社だった。同社が開発したマンション開発区域の中に立地し、建設総工費は2億元(約30億円)、総面積4万5千坪、緑化率40%というゆったりとした環境の中に、サッカ−場、体育館、図書館、1600人が入居できる冷暖房付きの学生寮などが完備されている。日本人の中・高生との交流を積極的に展開していきたいと、同校の総支配人と校長先生は熱っぽく語っていたのが印象的だった。
高校生の相互交流には、経費面の問題も、ないがしろにはできない。かって中国には二つの料金制度があって、外国人である私たちはホテルも乗り物も約3倍の料金を払った記憶があった。しかし今日、中国国内のホテル料金を含めた様々な料金体系は、逆に外国人に低廉に抑えられているという。理由は、中国人はどこでも平気でたんや唾を吐いたり大騒ぎをするからだとのことだったが、帰国後、新聞各社の報道で改めてそのことを再確認させられた。
 中国では、急速な経済発展を受けて空前の旅行ブ−ムのさなかにあり、国内に約12億人、海外に延べ約3千万人が旅行する。ところが旅行中の中国人の大半が、たんを吐く、大声で騒ぐ、列に並ばない、子どもに場所を選ばず小便をさせるなど、文明的でない行動が多いとして、「旅行中のマナ−を改善する」よう、中国国家観光局がキャンペ−ンを始めたという記事だ。
 日本人も高度経済成長期に、一部の「買春観光団」などの傍若無人の行動が非難されたことを思い起こせば、笑い事ではない。
いずれにしても中国は押し、押されもせぬ巨大国家に成長した。日本も隣国中国と反目し合ったままでは経済の発展はおぼつかない。
次の世代を担う若者達が、相互の交流を通じて互いを理解し合うことは大変重要なことだと。来年の高校生の相互交流が確実に実現できるよう祈りたい。

8月

浙江省杭州市の私学訪問