県議会 質問
  昭和63年9月議会  

1 農業試験場のあり方について
2 花き振興対策について
    ・政策融資枠の拡大
3 三方原用水について
    ・水利権更新についての要望
    ・用水の安定的供給体制の整備

 県民の福祉意識の高揚対策について
5 県道引佐舘山寺線の整備について
〇浜井
 私は、当面する県政の諸課題及び地域の諸問題について、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 まず、大きな転機を迎えている農業に関連して、農業試験場のあり方についてお伺いをいたします。
 我が国政府は、ことしの2月のガット総会の場で、農産物輸入制限12品目のうち、10品目についての勧告を原則的に受け入れ、粉乳、練乳とでん粉の2品目については留保したものの、プロセスチ−ズなど残りの8品目の自由化に踏み切りました。続いてこの6月には日米牛肉・オレンジ輸入自由化交渉が決着し、3年後には自由化されることになったのであります。
 戦後いつの間にか、農産物の輸入において世界一の座を占めるようになった我が国は、こうしてまた諸外国の輸出攻勢にさらされることになり、国内における産地間競争はもとより、海外の農業との厳しい競合の時代に入ったのであります。
恵まれた気侯風土の中で、先端的な農業を経営し、農業粗生産額において全国で10本の指に入る有数の農業県でもある本県にとって、農産物輸入制限撤廃への時代の潮流は、直接問接に影響を与えるであろうと想像するものであります。
 県当局は、こうした趨勢を踏まえ、本年度当初予算において、バイオテクノロジ−の研究開発と、普及を図るための研究施設等の整備費を計上し、新たに生物工学研究施設と、遺伝資源保存施設の整備を図ろうとしているのでありますが、本格的なバイオヘの取り組みはこれからであり、期待する結果、成果を上げるまでには、多くの労力と、息の長い努力と、気が遠くなるほどの時間とを必要とすると思うのであります。 21世紀の本県の農業の発展は、この研究の成果に希望をつなぐことができるのでありますが、現実的な問題としては、特色のある生産技術の開発と確立という本県農業の振興目標達成に向けて、養液栽培等の先端技術や、新作物の導入、優良品種の育成及び作型の開発、安定的低コスト生産技術の確立、連作障害や病害虫防除に加えて、省力化や生産基盤の整備に至るまで、農業試験場が対応を迫られている研究課題は、変化の激しい今日の世相を反映して尽きることがないように思われるのであります。

 本県の農業試験場は、養液栽培法の確立や、組織培養によるササユリの大量増殖等を成功させて、内外の評価を高めているとはいうものの、本年度にまとめられた研究課題が実に216件あり、このうち、新規の研究課題は55件にも及んでいるのであります。これだけの課題を抱えて、しかも内地問競争がますます激化する傾向にある今二位t、新設される生物工学研究施設への新しい増員もないままに、総勢75名の研究員だけで、これらのすべての研究課題に対応し、処理することができるだろうかと心配するものであります。
 ちなみに、農業王国と言われる北海道においては、実に288人もの研究員を擁し、鹿児島県が181人、愛知県では178人、長野県でも162人の人数を抱えているのであり、そのほかにも本県の人数を超える研究員を擁している都府県は、わかっているだけで7つの県に及んでいるのであります。
 チ−プガバメントという行政改革の考え方に逆行するとの議論も当然あるとは思いますが、静岡県型農業の確立という大きな目的に沿って、研究スタッフの適正な配備を考えるべきであると思うのであります。また、本県農業試験場における圃場及び温室ハウスの面積は、およそ2万5千坪でありますが、農業生産額において本県の上位に位置している愛知県では、およそ3倍、7万坪という広大な面積を有して、平均的な生産者の栽培面積に合わせた各種の基礎研究や、新技術の開発に活用されていると灰聞するものであります。
 本県試験場における研究用一品種当たりの栽培面積は、余りにも小さい区画で行われており、ここで出された結果を栽培面積が全く異なる生産農家に定着させ、産地化させるには多くの問題があると指摘する声が生産者の側にあるのであります。
 農業新時代に対応する牽引車としての重要な役割を期待されている農業試験場として、実験研究用農地の適正な規模についても改めて考えていかなければならないと思いますが、ご所見をお伺いいたします。


 次に、花き振興対策についてお伺いをいたします。
「秋の野に 花を愛でつつ 手折るにも迷うことあり 人というもの」、作者がだれであったか思い出せないのでありますが、この歌の作者の野に咲く花に対する優しい心が、何となくわかるような気がする一首であります。四季の変化の中に開き、そして散っていく可憐な草花に、日本人は絶えず感情を移してきたのであります。
 花は人々の注目を集め、時代は今、花のブ−ムであるとも言われています。こうした背景のもとに、今年の春から夏にかけて、国中の生活様式やファッションの中において、洋服生地の絵柄に始まり、帰人、子供用の小物類に至るまで、ヒマワリの花と模様で埋まったことは、記憶に新しいところであります。
 物が氾濫する豊かな世の中を迎え、再び精神的な豊かさを求め始めるようになった人々の心に、コンクリ−トとアスファルトのジャングルの中でも、身近に自然を感じ取ることのできる花への思い入れが、よみがえってきたと思うのであります。
 今、花の消費、とりわけ切り花の消費は、着実に増え続けており、鉢物、枝物を含めた花市場は一兆円規模になるであろうともいわれています。
 一方、切り花の輸入量は、昭和58年以来急増しており、オランダなど先進国はもとより、タイ、台湾といった新興の東南アジアの国々に至るまで、世界各国から5百種類以上のバラエテイ−に富んだ切り花が入っています
 昨年1年間の切り花の輸入本数は、およそ2億本、輸入量は対前年比で30%も伸びており、金額でおよそ140億円という数字は、我が県全体の花きの粗生産額に匹敵する額であります。
 本県における農産物の生産状況を見ると、栽培面積と粗生産額の両面で、増加傾向を示しているのは、お茶、温室メロン、セルリ−等でありますが、中でも花き及び花木のそれは目覚ましい伸び方を示しているのであります。全国シェア第1位のバラはもちろんのこと、全国順位第4位の菊や、第5位のカ−ネ−ションといった作物のように、県内全域で栽培が行われているものを初めとして、市場占有率の高いカスミソウ、キンギョソウ、ミヤコワスレ、フリ−ジア、コデマリに至るまで、産地としての規模は小さいながらも、産地化を目指そうとする成長性のある花き類も、数多く生産されています。減反を強いられている稲作農家や、不振を続けるミカン農家にとって、こうした花き園芸園芸作物への転換は魅力のあるところであり、牛肉・オレンジ輸入自由化に揺れる他の産地の農家にとっても同様であると考えられます。
 また、県内における花きの種類別生産額で、最大の構成比を示している菊については、全国に先駆けて、既に大正、昭和の初めころから、熱心な生産者たちによって、多くの優良品種を作出し、東京市場での一定の評価を得ながら、特産地としての地位を保っていたようでありますが、今日では後発した新興産地の急追を受けて、本県の菊栽培は重要な分岐点に差しかかっているともいえます。
 以上のような経緯と背景を持った本県の花き栽培でありますが、輸入切り花に対抗し、国内の産地問競争にも耐えながら、少量多品目という消費の動向に合わせた優良品種を周年にわたって生産しでいくためには、施設栽培への転換が急務であるといわれているのであります。
 県内のおよそ7割もの生産を誇る県西部地方の菊の栽培面積は、全体でおよそ200ヘクタ−ルに上り、このうち約60%に相当する120ヘクタ−ルが、今もって秋寒菊の露地栽培を行っているのであります。
 県においては、これまでも農家個人に対する特産花きの施設化、装置化等の整備に対して、花き振興対策の一つとして政策融資資金枠の3億円をもって対応を図ってきているのでありますが、遺憾ながら施設転換を希望する生産農家の需要に応じ切れない状況にあると聞いているのであります。
 花き園芸県でもある本県の花き振興を図るためにも、この政策融資枠の拡大を考えるべきであると思うのでありますが、ご所見をお伺いいたします。


 次に、三方原農業用水についてお伺いいたします。
天竜川から浜名湖の間を、浜松市域の中でも大きな面積を占める三方原台地は、天竜川の堆積土砂が隆起してできた洪積台地であり、酸性の強い地味のやせた赤土に覆われている上、流れ込む河川がないために、地下水位も低く、水源を求めることの難しい土地でありました。この台地に最初に入植し、開墾と農耕に汗を流したのは、明治維新の後、徳川家からの俸禄を失った旗本たちであったといわれています。
 その後多くの開拓者たちの努力と苦労にもかかわらず、たび重なる干害によって営農は困難をきわめ、この地に用水を築くことは長年にわたる地域農民の切実な願いでもあったのであります。
 終戦後は食糧増産政策に沿った国の農地開発営団による開拓が推進され、昭和23年からは農林省直轄の事業として、国営三方原開拓建設事業所に事業が継承されるとともに、この広漠とした台地に農業振興のための用水を確保することが、大きな課題となっていったのであります。
 こうした背景のもと、昭和29年に閣議決定された天竜奥三河特定地域総合開発計画の中で、佐久間ダム、秋葉ダムによる貯水池を発電に使用し、あわせて農業用水その他用水の補給に使用するとされたことにより、ようやく三方原用水事業が実施されることになったのであります。
 国営三方原農業水利事業は、こうして昭和35年に着工、10年の歳月をかけて完成し、続いて昭和40年度より県営かんがい排水事業が、昭和44年度からは県営大規模圃場整備事業が実施されて、総合受益面積実に5479ヘクタ−ルに及ぶ画期的な農業基盤整備が図られたのであります。昭和40年代の半ばから、この台地に用水が導入され始めると、生産性の高い多彩な作物の栽培が可能になり、県内はもとより全国的にも注目をされる農業の展開が図られるようになりました。かって干ばつに泣いた台地が発展した姿を見るにっけて、これらの事業の計画と推進に携わってこられた関係者の皆さんと、多くの困難を乗り越えて先進的な農業を築いてこられた皆さんに、心から敬意を表するものであります。
 しかし、戦後における農業水利事業の計画策定からおよそ40年という歳月の経過は、生産と消費の両面で、農業を取り巻く環境を大きく変え、施設栽培を中心に展開を図らなければ、消費者の多様なニ−ズこたえ切れないようになってきたのであります。こうした営農形態の変化は、当然のこととして水利用形態の変化にっながり、かっての田畑輪換体制の用水利用から、年間を通じ、平均的に用水を必要とするようになってきたのであります。今日の三方原用水は、建設省によって許可された水利使用の権利に基づいて、年間最大取水量と期別最大取水量について規制を受け、さらに電源開発と農林水産省、工業用水と上水の最高責任者の4者による協定、通称ダム協定によって、月別基準取水量という別枠による規制が定められているのであります。
 ことしの6月定例議会における農林水産委員会の審議の中で、私はこの水利権更新問題に言及させていただきましたけれども、農林水産省と建設省が当事者能力を持つこの案件についての、県当局の苦悩を理解したものであります。
 当局においては、農林水産省と接触を続けながら、建設省を相手とする水利権の更新について協議続行中てあると思います。今日再び台地に水をという農業者の声に応じて、県も当事者能力を持つダム協定の場を利用しながら、解決策を深ってもらいたいということを、強く要望するものであります。
 さて、用水の安定的な確保については、ただいまお願いを申し上げたところでありますが、そこで次に問題になるのは、水の安定的供給体制の整備であります。
 昭和42年に布設されて以来既に20年を経過し、それぞれの施設の一部は、既に老朽化を来しており、各所において機能が著しく低下してきているのであります。他県においては、第2期事業として整備を実施しているところもあると聞いているのでありますが、厳しさを増す三方原台地の農業が、隣接する都田地区の先端的工業の拠点ともなるテクノポリスと併存する形で、都市近郊型農業としての展開を遂げるためにも、こうした時代に適合した円滑な用排水管理が必要ではないかと思うのであります。今後、農業用水の安定供給と安定利用のための施設の維持管理について、どのような敢り組み方をしていこうとしておられるのかお伺いいたします。


 次に、県民の福祉意識の高揚対策についてお伺いいたします。
国連の定義によれば、65歳以上の人口が総人口の7%を超えたときを、高齢化杜会と呼ぶとしているのであります。我が国は、昭和45年に高齢化杜会に突入し、世界でも例のない速さで高齢化が進行しているのであります。
 本県においても、過疎地域である3町1村において高齢化率20%を超しており、国とほとんど変わらない歩調をとっているのであります。
 一方、都市化が進行している地域では、高齢化率は低率にとどまっているものの、核家族化の進行や婦人の就労の増加などにより、従来より家族や地域杜会が持っていた家庭機能や、相互扶助機能の低下が見られるようになりました。
 総務庁が先に発表した、老後の生活と介護に関する調査の結果によれば、女性の多くは自分の実家と嫁ぎ先のいずれかで介護の経験を持ち、また自分が寝たきりになった場合の介護は、男性では配偶者にという比率が70%を超え、女性の方は嫁及び娘と答えた者がおよそ50%という数値を示しました。高齢化杜会における老後の介護は、まさに女性の肩に重くのしかかっていることが明白にされたのであります。
 今後はそうした結果等も踏まえ、自助、互助の考え方の定着を図り、民間活力やボランティアの力を活用して、福祉施策を進める必要が高まってくると思われます。特にボランティアについては、余暇時間の増加や生活水準の向上などから、学生、婦人、お年寄りなどの各年代ごとに関心が高まりつつあり、最近ではお年寄り自身が老人クラブ等を通じ、自からの生きがいを求めるとともに、自からの人生経験を社会に還元するため、積極的に杜会参加を行う動きが見られるなど、福祉意識の向上を伺がわせる傾向にあることは、すばらしいことであると思います。
 しかし、これからの高齢化杜会の重要な担い手である青少年の中には、自己中心主義に偏重し、社会参加の意識が低下するなど、不安材料も指摘されているのであります。このような状況の中、国においては現在およそ290万人ともいわれるボランティア倍増計画により、地域のリ−ダ−を集めてボランティア講座を開催したり、従来よりあった福祉協力校をさらにふやしたりして、ボランティァの育成策に本腰を入れて取り組むことになったと聞きます。
 近年、総体的には福祉に対する意識は向上しているといえるものの、新総合計画にも掲げている、健康で心ふれあう地域づくりを目指すためには、360万県民全体の福祉意識の向上を図ることが必要不可欠であります。
 そこで、知事は福祉意識の高揚を図るため、どのような施策をもって取り組みをしていかれようとしているのか、お伺いいたします。


 次に、県道引佐舘山寺線の整備についてお伺いをいたします。
知事は、一昨日の我が党の代表質問における水口議員の質問のうち、地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律、通称頭脳立地法に基づく国の指定について、「具体的地域指定の要望が出されている地域もあるので、関係機関と協議を進めながら、国の承認を得られるよう努カしていく」との答弁をされました。
 私の承知している限りにおいて、具体的要望が出されでいる地域は、浜松市村櫛町に計画されている浜名湖コングレスパ−ク構想を持つ浜松地域のことと推察したのでありますが、このコングレスパ−ク構想は、昭和65年秋の完成を目指して、いよいよ仕上げの段階に入った浜松テクノポリス建設事業を補完して、国内外の頭脳を集結させる基地をつくり上げようとするものであると聞いています。構想にふさわしく、国内はもとより海外にも誇れる立派な頭脳公園建設整備が行われるよう、ぜひとも積極的な対応、推進を図っていただきたいと、お願いするものであります。
 この構想が当該地において計画立案された背景には、もちろんテクノポリス圏域内であること、静岡大学工学部、浜松医科大学を初め、財団法人電子化機械技術研究所や計画中の県工業技術センタ−等の公立試験研究機関と、民間研究機関との連携が容易であること等の条件のほか、景勝あふれる浜名湖に面し、舘山寺温泉、弁天島、奥浜名湖といった観光地があること、そしてこれらのすべてを含む一帯が、思索研究のための自然環境として極めてすぐれているからであると聞いているのであります。この構想が計画どおりに推進されていくためには、研究創出、人材交流育成、情報支援及び国際交流といった機能を有する頭脳センタ−ビルとテクノポリス、そして前述したそれぞれの研究機関を結ぶアクセス道路の整備が重要な要素になってくるものと思われます。
 30年余にわたって、幻の橋、幻の都市計画道路と言われてきた、浜名湖の東、白洲町から古人見町をつなぐ架橋、そしてそこから環状線に交差し、佐鳴湖に向かって一直線に伸びる道路の整備についても、にわかに実現性を帯びてきたようにも思えます。しかし、最も現実的な問題としては、有料道路村櫛舘山寺線、県道湖東舘山寺線を経由して、都市計画道路豊西坪井線から西インタ−を結ぶ道路の整備であると思うのであります。このうち、湖東舘山寺線については、地元地権者との合意が整い、早期完成に向けて着手されたところであります。
 そこで問題は、村櫛舘山寺道路の終点から、浜名湖内浦湾に沿って、動物園西門に至るまでの通称湖岸通りと言われる県道引佐舘山寺線の未整備区間、1.9キロメ−トルの整備であります。浜松テクノポリス計画における、産・学・住・遊のうち、遊の部分の一端を担う舘山寺温泉と、その周辺開発に大きく貢献するこの県道は、舘山寺温泉と動物園、フラワ−パ−クを結ぶ、この地域にとっての重要な観光道路であり、中・高生の通学に利用されている生活道路でもあります。軒を連ねる旅館街と、浜名湖内浦湾のいずれの側にも歩道のスペ−スはなく、大型バスのすれ違いもままならない狭隆な道路として、かねてから整備の必要性が説かれていたところであります。
 本年2月の定例議会において、この道路整備についてお尋ねした私の質問に対して、知事からは、工法等の計画調整にっいて協議中であり、早急に結論を出して事業に着手したい旨の回答をいただいたのであります。今回は、テクノポリス計画を補完する大きな構想の実現という視点から、道路整備の必要性を申し上げたのでありますが、もちろん観光地舘山寺温泉の活性化にも密接に関連する事業としての必要性も当然のこととしてあるのでありますから、できるだけ早い機会の事業着手を、改めてお願いするものであります。
 
また、整備計画に当たりまして、当該区間は前述したとおりの重要な観光道路でありますから、湖水面に接する部分に、潮の干満を利用した、湖水と親しむ遊歩道の設置は考えられないかと思うのであります。っまり、波打ち際を潮の干満に合わせて出没する遊歩道として整備し、潮の満ち引きの間だけの散策の道にするということであります。総合保養地域整備法に基づいて、全国網羅的にリゾ−ト地が整備されていこうとしているのでありますが、ある意味では、リゾ−ト地が画一化されていく時代の中の、古い歴史を有する観光地には、こういった意外性や話題性を持った整備が必要ではないかと思うのであります。知事の考えをお聞かせいただきたいと思います。
以上お伺いして、私の質問を終わらせていただきます。


斉藤知事
 浜井議員にお答えいたします。「花の命は短きに」という言葉がありました。先生のおっしゃった句といいますか、短歌をお聞きして、浜井議員が意外というとしかられるかもしれませんが、非常に文学的な情緒的なロマンの持ち主であるということを知りまして、大変うれしく思いました。浜松にはフラワ−パ−クがございます。
非常にエネルギッシュな、やらまいか精神の横溢した浜松に育てられた浜井先生が、フラワ−パ−クに象徴されるように、そうした心根のあるということが、私、政治にも大切なことであろうかと思いますので、改めて敬意を表する次第でございます。
 さて、厳しい農業関係の実態を把握されて、高度の識見に基づき、技術研究開発の展望を考慮しての、試験場を指してのご質疑でございました。
 まず、農業試験場のあり方についてでありますが、農業試験場はご案内のように、明治33年に創設以来、農業における中核的な機関として、その時代時代のニ−ズにこたえて、農家の指導育成や、栽培技術の確立、新品種の育成など、本県農業発展の先駆的な役割を担ってまいったところであります。
 今、農業を取り巻く環境は、先ほど申し上げましたように、内外ともに厳しくなってきており、産地問競争に打ちかつための、低コスト、高品質生産技術の開発、普及など、強く望まれてきております。これらの新たなニ−ズにこたえていくためには、農業試験場に課せられた課題は大きなものと承知いたしております。今後におきましては、バイオテクノロジ−、新素材、コンピュ−タ−等を取り入れながら、研究成果を上げていくための施設整備が必要なことから、60年度には養液培養の施設を初め、本年度においては生物工学研究施設と遺伝資源保存施設を整備し、生産管理システムの開発や、新品種の育成などの基礎的な技術開発に努めているところであります。
 ご指摘の、試験研究で開発された技術の実証につきましては、試験場の圃場における研究のほか、農家の協力を得て、より実践的な場で実施しているところであります。 また、研究員につきましては、大学や国の研究機関へ派遣し、資質の向上を図るとともに、試験研究の機能が十分発揮できるよう、引き続き適材適所の配置に努めてまいります。県といたしましては、今後ともご意見も踏まえて、試験場の充実強化に努めてまいる所存であります。


 次に、花き振興対策についてであります。
本県の花き園芸にっきましては、61年度の生産額は144億円で全国第3位の地位にあり、中でもバラの生産は全国1位を占めるなど、本県農業にとって重要な部門となっております。
 しかしながら、近年、他県産地の追い上げ、輸入の急増、花き生産への企業の参入など、本県花き生産を取り巻く環境は厳しいものがあります。県といたしましては、本県の主要品目である菊、バラ、カ−ネ−ションや、今後消費の拡大が期待されるカスミソウ、コデマリ、ミヤコワスレ ご案内のようにバラは日本一でございます。特にコデマリは湖西市で全国生産90%、ミヤコワスレは浜松、引佐町、西部地域が多いわけですが、40%となっております。
 地域の特産的花きについて、規模拡大による生産の安定や、施設化による品質の向上対策などを進め、花き主産県としての地位を確保してまいりたいと考えております。このため、県単独の花産地強化事業を昨年度から創設し、農業近代化資金を活用するとともに、農業改良資金に、新たに花き栽培のための特別資金枠を設けるなど施策の強化を図り、花き産地の整備を積極的に進めているところであります。
 お尋ねのありました政策資金につきましては、本年度3億円の枠を確保しておりますが、先生ご指摘のとおり、農家の旺盛な資金需要が見られますので、今後融資枠の拡大について、前向きに検討してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、本県の花き栽培につきましては、今後の課題もありますが、昨年花のイベントをやりましたときに大成功いたしておりますので、本年はいつになりますか、まだ聞き及んでおりませんけども、そうした地場産業に携わる方々と県民の需要等の喚起をしながら、国際的な立場をも強固にしていくというのが大事ではなかろうかと思いますので、ご指摘のとおり、せいぜい県といたしましてもお手伝いをさせていただくことをお約束申し上げます。

 次に、三方原農業用水についてでありますが、不毛の台地に水をという先人たちの長年のご努力が、全国に知られる三方原地域の高生産性農業を築いてきた原動力であったことに、敬意を表する次第であります。今後とも地域農業に重要な役割を果たす農業用水の安定供給と、適切な維持管理に努めてまいる所存でありますが、なお詳細につきましては、関係部長より答弁をさせていただきます。


 次に、県民の福祉意識の高揚対策についてであります。
心豊かな福祉杜会の実現は、福祉意識の高揚を図り、県民の一人一人が福祉に対する深い理解を持ち、助け合いと思いやりによって互いに支え合うことを通して、初めて達成できるものと考えております。したがいまして、本年度から全国に先駆け、10月20日を新たに「県民福祉の日」として制定し、毎年実施している福祉を育てる県民運動と連動させて、福祉意識の高揚に努めることとしております。
 また、小・中学校の児童・生徒を対象とした、福祉教育副読本の作成・配付や社会福祉教育実践校の指定等、学校教育の場における啓発に努めているところであります。
 さらに、ご指摘がありましたように、最近余暇時間や生活水準の向上などに伴い、青少年から婦人、さらにお年寄りと、各年代においてボランティア活動に対する関心が高まりつつあることは、大変心強いことであります。
 県といたしましては、ボランティアの育成と実践活動の促進に積極的に取り組み、福祉に対する県民の理解と認識がより一層深まるよう努めてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、県民の福祉意識を高めるため、関係機関、団体等とも密接な連携、協調を図りながら、福祉意識の効果的な啓発に努めてまいる所存であります。


 次に、県道引佐舘山寺線の整備についてでありますが、これより先、コングレスパ−ク、頭脳立地法に基づく村櫛地区の構想につきまして、御理解をいただきましてありがとうございます。当然このの構想にっいての関連、テクノポリスに関連する道路整備にっいてのお尋ねであるわけであります。
 特にテクノボリスに関連する道路整備につきましては、国道、県道、市町村道、街路の各道路改良事業により整備を進めるとともに、県単独のテクノポリス関連基盤整備事業をも投入するなど、鋭意整備促進に努めているところであります。
 県道引佐舘山寺線の整備につきましては、現在道路改良事業により整傭を進めているところでありますが、課題でありました浜名湖湖岸区間についての工法等、基本的な計画調整が整いましたことから、今後は工事の進捗を図り、早期完成に向け、事業促進に積極的に努力をしてまいる所存であります。
 また、この道路は、浜名湖湖岸を通ることから、今先生ご指摘のように、遊歩道の設置についてのご提言がありました。潮の満ち干に出没するという、非常にロマンあふれたプロムナ−ドといってもいいんでしようか。そのようなご提言がありましたけども、ゆとりと潤いのある道路整備の観点から、大変貴重なご提言でありますので、今後の道路構造等につきましての検討の中で、配慮させていただきたいと考えております。残余につきましては関係部長から答弁をさせていただきます。


○農地森林部長
 三方原農業用水についてお答えをいたします。古くから水不足に悩まされてきました三方原台地は、昭和43年の農業用水の導入や各種の基盤整備事業の実施によりまして、多種多様な作物の栽培が可能となり、本県を代表する先進的な農業が展開されておりますことは、ご指摘のとおりであります。
 この貴重な資源を有効に利用した多彩な農業を維持発展させてまいりますためには、用水の安定的な供給が何よりも重要であると考え、施設の円滑な維持管理に努めているところであります。
 しかしながら、最近では施設の一部に老朽化が見られ、中でも秋葉ダムに設置された取水施設は、用水供給のかなめとなるものでありますが、この施設の更新が急務になってきております。
 このため、現在関係機関と協議を重ねながら、効率的な維持管理に適したシステムヘの改良を検討しているところであります。
また、新しい営農形態に適応した水利用が図られるよう、調整池の増設や分水工の改良など、各種の整備も鋭意進めてまいっております。今後とも農業用水の安定供給を図るとともに、より適切な維持管理に努めてまいる所存であります。