「ほんとにありがとう。それじゃ、今日はもう遅いから・・・」 彼女に帰ってもらおうと思っていた。 「お話があります。」 「どうしたの?急に?」 「大切な事ですから、どうかよく聞いて下さい。」 今の彼女の様子は入って来た時とは違う。何か思い詰めたような・・・ でも、あの時のような悲壮感はないようだ。いったい・・・
「話というのは?」 「これは現実ではありません。夢から覚めて下さい。」 意外な告白だった。 急に信じろといっても・・・・ 目の前の現実を受け入れろと言われたほうが 何倍も納得し易いのだが・・・ 「此処はあなたが造り出した世界なのです。 現実は、私は既に死んでいますし、あなたは今 『脳死状態』にあります。」 「しかし、いまさら目の前の現実を否定しろと いわれても・・・」 「ごめんなさい。本当はもっと早くお話しすべきでした。 でも私にとってもあなたとの時間はかけがえのない ものでした。」