マイクロコンピュータで遊ぶ一つの究極はロボット製作だと思いますが、手始めに無線機で遊んでみるのも、アナログ技術や高周波回路を扱う良い経験になると思います。その趣味を、名付けて マイコン倶楽部 無線班
マイコン制御 無線機(7MHz CW/SSBトランシーバ Nebuchadnezzar3052 略称NBN3052 )
1980年代に組み立てたMIZUHOの7MHZ CWトランシーバがVXOのため、周波数の安定度が時代に合わず、何とか改造したいと長年(約30年)、思っていました。一昔前なら、PLL、昨今ならDDSが正解ですが、安定するのは当たり前で味気ないような気がして、手が出ないでいました。そんなうちに、周波数カウンターはだれでも簡単に作れるし、バリキャップなんていう便利なものが秋葉原には溢れているのだから、LCVFOの発振周波数を常時カウントし、ドリフトがあったらバリキャップで修正するという方法で、どれくらいLC発振回路が安定するかということに興味が湧き、やっと実行してみようという気持ちになりました。
Webで先行例を探すと、PICで実行されているらしい例が見られましたが、5,6年前に秋月さんちで購入し、教科書どおりの実験をしただけで終わっていたH8があることを思い出し、再びマイコンの勉強を兼ねて挑戦してみることにしました。
その結果、PICではなく日本特産物のH8(日本の誇るルネサスエレクトロニクスのマイクロコンピュータ)であったため、一つの石で色んなことができ、気がついたらマイコン制御の機能満載のトランシーバに生まれ変わっていました(一部の仕組みについて特許申請までしてしまった!!(汗))。
名前は、映画MATRIXにちなんで、Nebuchadnezzar3052、仕様は、以下のとおりです。 この無線機の動作状態の YOU TUBE映像
*ソフトウェア(マンマシンインターフェース)
・0.2秒ごとに発振周波数をカウントし、ドリフトしていたら戻そうとする←これが一番の出発点
・送受信の設定周波数及び実際の周波数を1HZレベルで常時表示する(厳密に言うと、設定周波数は5HZ刻みの設定です。それに対する実際の周波数の差が1HZレベルで表示されます。もっとも1HZレベルで表示されるに値する絶対的な正確さがあるかは、別問題ですが。さらに正確に言うと、0.2秒ごとに測定した値を5回足して1秒の周波数としているので、正確な測定周波数とはいえない・・かも?でも、よく考えると通常の測定方法もある意味、1秒間の平均周波数ですよね。正確にリアルタイムに周波数を測定するっていうのは、現在の技術なら可能だと思うけど、それをどう使うのか・・・単純な話ではないですね。)
・BFOの実発振周波数も1HZレベルで表示(もちろんH8でドリフトを補正しています。)。
・100度目盛りの昔ながらのダイアルで、7.0-7.1MHz及び7.1-7.2MHzの100KHZを1度刻みで表示。つまり、半世紀前の私の子供の頃の憧れの1KHZ直読の無線機となりました。もっとも、ダイアルに直結しているのはバリコンでなく、ボリューム(可変抵抗器)です。この電圧をH8マイコンの10bitのA/Dコンバータでデジタル値に変換し、その値を元に周波数を決めています。だから、100KHz/1024=約100Hz刻みでの変化となります。
・ロータリーエンコーダがついていて、これで5Hz刻みで周波数設定ができます(これを多用すると、ダイアルの針の位置と周波数がずれてきますが)。これは、私が持っている中の最高RIG IC756-PROVの2倍の精度です(とは言ってもH8マイコンによる制御をしつつも、毎秒数ヘルツくらいの変動が見られます。また、そもそもH8マイコンの水晶の安定度にも依存しますよね。)。
・受信部の高周波増幅段のアンテナコイルとドレインコイル(こんな言葉あるのかなぁ)は、H8制御のバリキャップで受信周波数に自動同調するので200KHz全体に感度の変化なし。
・オートチューナAH-4のコントロール機能付
・シフト範囲無制限のRIT機能付
・7000-7030KHzの範囲を受信していると自動的にCWモードに、それ以外の周波数ではSSBモードになるようになってます(もちろん,変更も可能)。
ロータリエンコーダでの周波数微調整は、CWバンドでは1クリックで5Hz、SSBモードでは1クリックで25Hz変化します。
*ハードウェア
・7MHz CW/SSBトランシーバ ファイナルは6883B(6146Bの12.6V管)で最大出力は8W.ファイナル以外はトランジスタとICで構成
・DBMは、TA7358AP、エキサイタは2SC2053
・第一局発も第二局発もLC発振(それがこの工作の目玉)
・コイルは、ファイナルのみ手巻き。これ以外は手軽な既製品(FCZコイル及び千石電子B1、マルツで購入した既成のコイル)
・中間周波数455KHzの上側スーパーヘテロダイン(下側だと6115KHzの日経短波のイメージを受けるため)
・マイクロコンピュータは、H8 3052Fです。
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7MHz=7,000KHz=7,000,000Hz
1秒間に700万回の+−を繰り返す交流(高周波)。このくらいの周波数の高周波は短波と呼ばれます。インターネットも国際間の海底ケーブルも無かった(インターネット自体が海底ケーブルを使っているので、以上の表現はちょっと変ですが・・。)大昔(20世紀はじめ頃)、短波と呼ばれる周波数の電波が比較的小電力で国際間の通信が可能なことが分かり、唯一の海外通信の手段となっていました。地球は丸いのに、電波のようにまっすぐ進むものが場合によって地球の裏側まで届くのは、短波帯の高周波は、上空にある電離層というものに当たって地表に反射してくるという現象によるものですが、それを最初に発見したのはアマチュア無線家だった、ということです。20世紀はじめの頃って、無線を使う人って、プロの人とは言っても、みな、未開の手段を実験しつつ使っているような状況ではなかったかと思うので、アマチュアとかプロとかの境も無いような気がしますけど。
現在、アマチュア無線には、20近くのたくさんの周波数帯の電波を使うことが許されていますが、この7MHz帯が、一番、よく使われてると思います。特に自分で無線機を作るには失敗の少ない、作りやすい周波数ではあります。アンテナの長さが、理想的には20メーターくらい欲しい、という点が、ちょっと長すぎて欠点ですが。
電波は、1秒間に約30万キロメートル進むので、7,000,000Hzの電波では、1つの波長(山と底、1組だけの長さは)30万キロメートル÷7,000,000=約40メートルになります。この波長の半分をアンテナに載せるのが、電波を遠くへ飛ばせるのに有効なので、アンテナは20メートルくらい欲しい、ということになるわけです。
ちなみに、テレビ受信用に世界中の屋根に上っている八木アンテナは、日本人の八木博士が発明したものですが、あの、何本も横に並んでいるアルミの管も、波長の半分を元に計算されています。最近、地上デジタルになってテレビアンテナが小さくなりましたが、あれは技術の進歩でアンテナが小型化できたのではなくて、単に使っている電波の波長が短くなった(つまり周波数が高い電波を使う)からです。
CW Cotinuous Wave 連続波という直訳になりますが、モールス信号を使って通信をすることです。電信とも言います。モールス信号では、電波は断続しますが、発射されている電波自体は、連続波である(信号が載った微妙な形になっていない)ということからこういう名になっているのかなぁ
SSB Single Side Band マイクから拾った音を電波に乗せて通信する方法の1つ。SSBという通信方法は、音声、音楽などの音情報を効率よく送るための工夫がされています。中波のラジオ放送では、音声などの情報を載せるもとの電波に加えて音声などの情報によって変化している電波が2つ生成され、それらの3つがのまま送られていますが、SSBでは音声などの情報によって変化している電波が1つだけ送られる方法です。このため、省電力で済むし、通信に使う電波の幅も狭くてすむというメリットがあります。しかし、その代わり、受信機側で若干の電波を補うことが必要で、若干の付加回路が必要であるというデメリットがあります。
VXO Variable Xtal Oscilator
一昔前の最新腕時計はクォーツなどど言われていました。quartzとは、水晶のことです。crystal(=xtal)とも言います。水晶に電気信号を加える回路を作ると、その水晶の大きさなどによって決まる一定の周波数の電波を取り出すことができます。この周波数は非常に安定で、温度や回路の電圧の変化などにあまり左右されません。その特性を使って正確な時計にしたのがクオーツですが、無線機でもその大元の電波を作るのに水晶を使うと周波数の安定度が高まります。この水晶による電波の発生回路(発振回路と呼びます)を改良して、水晶はそのままで、周波数を少し変えることができるようにした回路をVXOといいます。Variable=意図的に少し周波数を変えることができますが、その変えた周波数は温度変化や電圧変化によってあまり、変化しないという良い回路です。が、そうは言っても、やっぱりある程度の変化はしてしまいます。アマチュア無線の世界も性能の良い機械が増えてきたので、このVXOの周波数安定度は、もはや、安定とはいえないものになってしまって久しいのです。
PLL Phase Lock Loop
昔と同じアナログ可変発振器の発振波形と水晶発振の安定した発振器の発振波形と比較し、ずれが生じたら、アナログ可変発振器の発振周波数を調整することで、発振周波数の安定を図る方法。今回、私の作ったものは、周波数をカウントして目標周波数との差が生じたら補正するものなので、周波数のずれがある程度大きくなるまで感知できないが、PLLはもっと微妙なずれから感知し修正できるので優れている。しかし、専用のICの力を借りるので、うまくいって当たり前感があり、作ってみようという気持ちになれませんでした。
DDS Direct Digital Synthesizer
サイン波の波形データを元に、コンピュータが目的周波数をソフトウェア的に作り出す方法。実際には専用のICを使うことになり、私としては、これも自分で作ったという達成感が少ないように感じます。
バリキャップ Variable Capacita
ダイオードの一種。 ダイオードとは、ある方向には電気が流れるがその反対の方向には流れないという性質の部品。電流が流れない方向に電圧をかけているときはいわば絶縁体で、直流は流れないけど、コンデンサーのような働きをする。このコンデンサーとしての能力がこの部品に加える直流電圧によって大きく変わるように作られたダイオード。つまり、電圧の変化によってコンデンサとしての働きの大きさを変えることができる部品。便利なコンデンサーとして使用されます。
LCVFO(Varablr Frequency Oscilator)/LC発振回路
Lとはコイル、Cとはコンデンサーで、水晶ではなくて、コイルとコンデンサーの組み合わせで電波の元を作ること。VFOとは可変周波数発振器という意味で、水晶発信器は、発振周波数が可変ではないので、昔はLC発振器で可変周波数発振器を作った。なぜ、LC発信器は周波数が可変かというと、LやCの値を変えると、発振周波数が変わるから。とくにC コンデンサーに関しては、バリコン(Variable
Condenser)という部品があって、これは軸を手で回すとコンデンサーの値が変わるので、簡単に周波数を変えることができる。昔のラジオなどは、このバリコンにツマミがついていて、つまみを回すと、受信周波数を変えることができるわけです。
で、あらためて、コイルとは?
コイルとは導線をスプリングのようにくるくる巻いたもの。このようにくるくる巻いて電池につなぐと電磁石ができるといった遊びは今の子供もするかどうか知らないけど、ま、そういう作用がある。で、コイル(コイルでなくて、まっすぐな導線でも電気を流せば磁力線は出ますが)に電気を流すと電磁石になるが、その磁力の発生時に電気の流れを逆に邪魔するという作用があるため、頻繁に電気の流れ(極性)が変わる電気、つまり交流は電気の流れ始めるたびにこの抵抗を受けることになるので、コイルを流れにくいという性質がある。当然、極性の変更がひんぱんなもの、つまり周波数が高い交流ほど流れにくい。
コンデンサーとは?
コンデンサーとは、分かりやすい例で言えば電気の通る導電性の金属の板(ここでは電極と呼ぶ)を、互いに接触しないように、しかし近接して対面させたようなもの。接触してないので電気は流れないが、片方の板に+の電気を加えると対面の板にーが集まってくる(その逆も同様)、という現象は生じる。でも、電気が流れるわけではない。また、コンデンサーの片方に+、反対側に-の電気をつなぐと、一瞬だけ電気が流れて、2つの電極の間に電気がたまる。これがコンデンサーの蓄電作用。今度は+、-を逆につなぐとたまっていた電気が放電され、新たに逆の電気がたまる。そこで、交流のように電気の極性(+、-)が頻繁に変わる電気をつなぐとコンデンサーには、連続して電気が出入りする。つまり、コンデンサーは、直流は通らないが、交流は、頻繁にその極性が変わるものほど、流れやすいという性質を持っている。
コイルとコンデンサーには、もう1つ面白い性質があって、交流を流す場合は、一番高い電圧のときに一番たくさんの電流が流れるわけではない、という現象がある。つまり、コイルの場合は、急激に電圧がかかって電流が流れ始める時の抵抗は、電圧の変化がなだらかなときより大きいし、コンデンサーの場合は、電圧がかかって電流が流れ始めるときは、蓄電器として充放電しやすい状態にあるので電流が流れやすい。
交流はプラス電圧の側のピーク(山)とマイナス電圧側のピーク(谷)があって、0Vの状態からこの山を上り、下り、0Vになってさらに、谷へ下り、上り、元の0Vに戻ってきたところで一人前の交流というか交流の1単位となる。この最初の0Vから終わりの0Vまでを時間的に360に等分すると、最初から90番目の位置で山の頂点となり、180番目の位置で2度目の0V、270番目の位置で谷底となり、360番目の位置で最後の0Vになる。
この交流の電気をLでもCでもない普通の銅線を通すと、電流量の山と谷は、電圧の高さの山と谷と完全に一致する。つまり、一番電圧の高いときに電流も一番たくさん流れている。ところが、交流をコイルに流すと、最初は抵抗が大きいので、電流の山と谷は電圧の山と谷より90目盛り分(この目盛りの単位を度と呼ぶので90度)遅れ(図で考えると左に90度ずれる。)、逆にコンデンサーに交流を流すと、最初は電流は流れ込みやすい状態なので、電流の山と谷は90度分先に進む(図で考えると右に90度分ずれる。)のである。(何故、90度分なのかは、将来、三角関数、微分などを勉強して理解してください。)
長い説明でしたが、面白いのはやっと、これからです。
このように、コイルとコンデンサーは、反対の性質を持っていて、コイルは、周波数の高い交流(以後、周波数の高い交流を高周波と呼びます。)ほど、電気が流れにくく(電気抵抗が高い)、コンデンサーは周波数が高い高周波ほど、電気が流れやすい(電気抵抗が低い)。したがって、ある周波数の高周波に対して、LとCが同じ電気抵抗になります。
そこで、LとCを並列に接続して、そこへいろんな周波数の高周波を流します。するとある周波数の高周波ではLとCの電気抵抗値が一致します。この場合、何が起こるかというと、LとCにかかっている電圧は同じ(並列ですから)、抵抗値も同じなので流れる電流値も同じになります。と、ところが、LとCとでは、電圧の大小の変化と電流の大小の変化は相互に逆に90度ずつずれています。したがって、同じ電圧に対して、コイルとコンデンサーに流れる電流は90+90=180度ずれていることになります。180度ずれている、ということは、絶対値が同じで+−が、ちょうどまったく逆になっていることになります。これによってこのコイルとコンデンサが並列に接続された回路では、電流がコイルとコンデンサの間で互いに充足し、外へ電流が流れてきません。したがって、この並列回路は、外から見ると、中へ高周波電流を通すことのできない非常に電気抵抗値が高い状態になります。
こういう回路を並列共振回路と呼びます。並列共振回路では、コイルを通して、直流はほとんど無抵抗で電流が流れますが、高周波の中でもLとCの値で決まるある周波数の高周波に対しては、非常に高い抵抗値を示します。この特定の周波数を共振周波数と言います。
一方、直列共振回路と呼ばれるものがあります。これは、コイルとコンデンサーを直列に接続したものです。こちらは、コンデンサーが直列に入っているので、直流は流れません。つまり絶縁状態ですが、なんと、共振周波数ではほとんど、電気抵抗がなくなります。その理由は、共振周波数では、コイルとコンデンサーの抵抗値が全く同一になります。もともと、直列になっているので、コイルとコンデンサーは全く同じ電流値が流れます。同じ電流値に対して、同じ抵抗値になっているコイルとコンデンサーでは、同じ電圧値が発生していますが、それは相互に180度ずれた電圧です。ちまり、絶対値は同じで+−が全く逆の電圧が直列のコイルとコンデンサーに発生しているので、この直列回路全体では電圧は0になります。ということは、この直列回路は電流が流れているにもかかわらずその両端の電圧は0なので、実はその抵抗値は0であるということになるわけです。
以上、2種類の共振回路のうち、並列共振回路がよく使われます。
共振回路の共振周波数は、コイルとコンデンサーの組み合わせで決めることができます。コイルとコンデンサーの組み合わせによって自由に選択できる周波数を電子回路の中で選別し、増幅したり、発生させたりするのに使われます。このようにして電波の元を作るのがLC発振回路です。
何度も書きますが、水晶発振回路は、固体物である水晶を変えないと発振周波数を変えられませんが、LC発振回路は、L,Cの値を変えることで簡単に発振周波数を変えることができます。バリキャップという便利な半導体は電圧を変えることでCの値を変えることができるので、電圧をコントロールすることによって発振周波数を変えることができて、とても便利です。でも、LC発振回路なので周波数が不安定であるという欠点があります。
常時カウントし、ドリフトがあったらバリキャップで修正する
上で長々と説明したように、LC発振回路というものは、L(コイル)またはC(コンデンサー)の値を変えることで発振周波数を変えることができます。コンデンサーの値を変えるほうが工作的に簡単なので、通常はバリコンで周波数変化させることは上で説明しました。この場合は、バリコンを回転させるという物理的手段で周波数を変えることになります。ところが、電圧を変化させることでCの値を変えることのできるバリキャップというものが出てきました。マイクロコンピュータは、D/Aコンバータという機能を持っていて、デジタル値に応じてマイクロコンピュータから出す電圧を変化させる機能を持っているのが普通です。また、PWM(Pulse
Width Modulation)という方法で、やはり、デジタル値に応じて変化する電圧を発生させることができます。そこで、LC発振回路のCにバリキャップを使い、そのバリキャップにかかる電圧をマイクロコンピュータでコントロールすれば、LC発振回路の周波数をコントロールすることができます。したがって、このマイクロコンピュータでLC発振回路の発振周波数をカウントし、周波数がドリフト(不安定に変化)したことを検知したら、D/Aコンバータまたは(及び)PWMによってバリキャップに加える電圧を変化させ、バリキャップのCの値を変化させることでLC発振回路の発振周波数を元へ戻すことができるわけです。
教科書 白土 義男 著 H8ビギナーズガイド 東京電機大学出版局
ある程度、マイコンの概念の分かっている人が、H8を使って、実験してみようと思う際にはベストの本です。
機能満載
機能満載とは言っても、単なるトランシーバですからこの頁に書いてある以上のことはできません。
私が小学校の中学年くらいの頃、父が新しいカメラを購入しようといくつかカタログを集めていました。
私も機械が好きなので、一生懸命カタログを見ていた中に、万能カメラというものがあって、これは何だろうと非常に悩みました。何しろ半世紀を経た今でも覚えているくらいですから。万能ということはなんでもできるということだから、これで玉子焼きとか作れるんだろうか?と悩んだりしたんです。本当の話。子供は意外に?騙されやすいので、大人は気をつけないといけないなぁと思ったりしてますが、私が人の話を信じすぎる子供だったのかなぁ。あ、思い出した。もっと小さい、保育園に通っていた頃、私の家の裏に高さ100メートルくらいはある山がありました(もちろん、今もその山はある。岐阜市の水道山です。)。で、海の中には鯨という大きな動物がいて、その大きさは、あの山くらい、あると聞いて、それをずーっと信じていたので、多分、高校生とか大学生くらいになっても、鯨の写真をみて、あ、これは小さいから子供の鯨だ、と思ってました。親鯨は、岐阜市の水道山くらいあるんだと・・。それにしても、万能カメラって何だろう。今、考えても分からない。
交流の1単位
こういう、山と谷を経た1単位の変化が1秒間に1度発生すれば周波数は1HZ.。日本の東半分の家に来ている電源はこういう変化が1秒間に50回ある。こういうものを周波数50HZの交流と呼ぶ(西半分は60HZ)。交流の中でも1秒間のこういう変化の回数(周波数)が多いものを高周波と言うが、どれくらいから高周波かという定義は無い。逆に低周波という言葉もあって、これは、スピーカにつないだときに人間の耳に聞こえる周波数くらいを想定しているが、これも定義があるわけではない。周波数20000HZ以下くらいを低周波といっておけば、反対する人は少ないと思う。中間周波数という言葉もあるが、これはちょっと意味が違う。
ところで、交流も高周波、低周波も上で説明したように最初から90度の位置に山があって、270度の位置に谷があるという規則正しい形をしているわけではなくて、色んな波形をしている。バイオリンの音の波形などはギザギザだらけの形をしているが、あれも立派な交流(低周波)である。ああいう形は、いろんな周波数の低周波が重なり合ってできていると分析することもできる。