下山も神経を使う。案の定天候は急速に
悪化してきている。先を急ぎたいという
気持ちが焦らせる。しかし滑落すれば
それもまた死を意味すること等しい。
標高差一千メートルもの勾配が口を開けて
いるからだ。重いザックが足下を狂わせる。その直後のリカバリーは才能なのか
それとも本能に過ぎないのだろうか。