11月24日 index

ワーズワス、ジョン・ラスキン、ピーターラビット、アーサー・ランサムといったところがウィンダミアのメニューだ。


これはスレ−タ−・ボブの山。

  • 一階の食堂も念入りに飾り付けてある。宿帳を見ると若い女性の友達同士、と言うのが多いらしい。米国、香港、日本、アイルランド等から。アルファベットにも「丸文字」がある。

  • 心づくしのフル・イングリッシュ.ブレックファストは量が多すぎて食べきれない。夫君が糖尿病にならねば良いが。

  • ウィンダミア湖を半周し、コニストン湖の西側を通って街に向かう。

  • 湖水は静かなもの。それを囲む丘陵地帯は見渡す限り大英帝国が世界に広がる前の、土地所有の象徴である石垣が張り巡らされている。

  • 探せば16世紀まで遡る部分も有りそうな田舎道には、片側車線幅2.4m位の所までセンタ−ラインが入れてある。その両側に延々とこの辺り特産のスレ−トを積んだ石垣が続き、路面のところどころは古い樹の根っこで盛り上がっている。やはりこうした道がブリティッシュ・ライトウェイト・スポ−ツカーを育てたのであろう。一度だけスズキ・カプチ−ノを見かけたが、ビートあるいは新旧のMGなどは見かけなかった。

  • 高速6号線に乗り込んでマンチェスターに向かう。市内は避け、しばらく行ったチェスターに宿を探す。

  • 駅前で郵便配達のジャケットを着込んだおじさんを見かけたので聞いてみると、車に乗り込んで来てすぐそばの「ロイズ・ゲストハウス」に「配達」してくれた。店番の若者はアイルランド出身。


ルンコ−ン遠景。石油化学コンビナ−トとしか見えない。


ルンコ−ンの住宅地。既に全く方向感覚を失っている。「私はどこへ行くんでしょう。」


何も悪い事はしておりませぬ。ただ市役所(左上緑の菱形)からホルトン・リ−・センタ−(右下青い四角)へ行きたいだけなのに。


頭上を走るのもバス専用道路です。


納品用トラックベイに変な飲屋発見。ここは歩道伝いには来れない所である。運転手専用の飲屋かっ。

  • 荷物を降ろし、マンチェスタ−近郊のランコ−ンへ向かう。1970年代に「未来指向のニュ−タウン」として喧伝された街である。

  • 工業地帯の遠景を高速道路の路肩から撮ろうとしてドアを開けたとたん、大形トラックの風であおられてしまった。時速100キロを越す大型車の風は物凄い。

  • 「シテイー・ホール」という表示に従うが、住宅街へと抜けてしまう。"Runcorn"という表示が途中から消えて、"Borough of Halton"という名前になっていたためらしい。広域合併でそういう自治体になっている。

  • 住宅地の住民用集合駐車場に車を突っ込んで、歩いていた若い女性を追い掛けて道を尋ねる。教えられた通りに後戻りするが再び迷う。下校時である。子供の迎えらしい男性に再度道を聞き、やっとの事で市役所に辿り着く。

  • 聞くと「環境交通部はホルトン・リーのセンターにあります。」どうやって行けば良いのか不安だ。地図が無いか聞くとゼロックスコピーを取り出して「ここを出て右に行き、線路を潜ったすぐの角を右に曲がれば、ここのラウンドアバウト(ロータリーのこと)に出るから、こうやってぐるっと廻って駐車場に入れば良いわ。」と言いながら地図にちょいちょいと印を付けてくれる。大丈夫かなあ。

  • やはり迷ってしまう。さっきの信号の無い交差点を曲がらなければいけなかったらしい。中央分離帯・一方通行が多いので元の場所に戻れない。適当なところでえいっと曲がってから侵入禁止の標識に気付いた。バス専用道路(というのもある)である。幸いバスは来ないので、そのまま走り、次の角を曲がる。「この先行き止まり」とある通り、工場の入り口に突き当たってしまう。

  • 高速道路・幹線道路・地区道路・専用道路のグレーディングが英国の他の街とも違うので、見当が付けにくいのだ。

  • やっとの事で工場地帯を抜け出して、再び歩道の女子高生に道を聞く。今度は取り付け道路の側道の様な所を延々と走った挙げ句、後ろに戻れず本線に入ってしまう。仕方なく次のインターを出て、後戻りする。やっとの事でさっき走っていた側道の反対車線に辿り着く。再び歩道の女子高生に道を聞く。おじさんは女子高生が好きなのではなく、この辺り歩いているのは殆ど女子高生だったのだ。

  • やっとの事でホルトン・リー・センターの駐車場に車を入れる事が出来たが、今度は店舗に入りそこね、納品トラック用の駐車ベイに入ってしまう。人気のない駐車ベイを歩いていると「恐怖の未来都市」という感じがする。渡された地図を頼りにセンターの外を半周して中に入る事が出来た。

  • ホルトン・リー・センターは1960年代後半の建設なのだが、米国型のショッピングモ−ルと違い、それまでの英国の商店街をそのまま3層に積み重ねて、大形建物とした樣な造りになっている。店舗の間の通路が建物内の通路というより、商店街の路地のような寸法をしているらしく、どこか変だ。さらに1960年代には「社会的禁煙」などという風習は無かったので、通路のあちこちに灰皿が置いてある。竣工当時の喫煙者の既得権が強く、禁煙に出来ないのか、買い物に来た大勢さんがその通路で歩行中喫煙をしている。現代人の私にすれば何とも無気味だ。最初にこの建物内歩行喫煙に出くわした時には、反射的に「火事だっ。」と叫びそうになってしまった。建物内歩行喫煙者はスケバンが子持ちと化し、オバサンと化したようなのが多い。

  • 環境・交通部は福祉部門、職業紹介所と同じ建物に入っている。気のせいかうらぶれた感じ。雰囲気に飲まれて「住民ではありません。」という申告をしなかったらUDP一式が30ポンドであった。

  • UDPを持って来た職員の後ろから同僚らしいお嬢さんがぱたぱたと追い掛けて来て、「"Sharon"って日本文字でどう書くんですかあ。」と聞くので、一通り説明してあげる。

  • 「ランコーンて読むの?それともルンコーン?」「ルンコーンです。」「ケルト語かな?」「そうかも。」

  • ショッピングセンターに戻ると午後4時を廻っている。

  • 車椅子1号 60-70年代の男性、手動車椅子。独りで買い物らしい。ショップモビリティ−があるか聞くと「わしゃ知らん。」と言ってぴゅーっと逃げてしまった。

  • 車椅子2号 40歳前後の女性。独りで買い物袋。「あら、知ってるわよ、突き当たりの左よ。」と言うので行ってみる。センターの構造が分かっている人なら、分かりやすい場所だ。時間切れで閉まっていたドアを叩いて入れてもらった。

  • テスコで晩飯を仕入れる。クリスマス・プディング、クリスマス用にちょうど良い壷入りのスティルトンがあった。


今宵の宿は"Lloyd's Guest House"。煙突が古風だ。

  • 再び納品ベイ伝いに車に戻り、ホルトン・リー・センターをなんとか脱出するが、高速56号のインターに入るはるか手前から、道路は動いたり停まったりという状態。インタ−入り口には横腹を派手にやられた車が停まってパトカーが手当てをしている。事故渋滞かと思うとそうでは無くて、高速本線の渋滞の方がさらにひどく、チェスタ−取り付け道路当たりまで続いている。

  • 宿舎の一階にあった「夏の舞台案内」というのが面白かった。半分解らん語で書いてあるので、アイルランド語かと思って聞いたら、ウェルシュ(ウェルズ語)だそうだ。裏返すとオペラやらロックコンサ−トなどは英語の案内だけなのだが、「小学生の歌とダンス・夏の発表会」というのにウェルシュの説明が付いていたので、小学校の先生が地方言語伝承をやっているのかも知れない。

  • 食って寝る。
11月24日
古山恵一郎
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