起きてすぐロビーに行き、コーヒーを注いだ。USATodayの見出しは”LANDSLIDE”と書いてある。おばちゃんに設ボールが無いか開いてみる。ごそごそと自分の荷物の入っていた箱を開けてくれるので、それをもらって部屋に帰り、買い込んだものを詰め込む。

Tシャツ数枚以外は殆どが本、各種のパンフレット、地図、新聞とただで貰ってきた紙である。なんだかアメリカまでちり紙交換の原料を仕入れに来たみたいだ。小僧どもには駄菓子詰合わせを用意した。

ユージーンに着く手前、田舎のスタンドに寄ると、店が食料品、釣り道具、駄菓子などの詰まった田舎のデパートになっていたのだ。日本の駄菓子屋でも、スルメなどを入れている太めの茶筒くらいのビニールの入れ物があったので、それに棚の駄菓子をぎゆうと詰め込んで買ってきたのだ。一番の傑作は骨の形をしたラムネ菓子。棺桶型の入れ物に骨の形をしたラムネが入っていて、何箱か買って組み合わせると、ガイコツ人間が出きるというもの。

「おい、きっとこれは何箱買っても、部品が足りなくて完成しないってやつだぞ。オレの子供のころには9枚組み合わせるとカメラをくれるという野球カードがあって、いくら買っても遊撃手だかが出ないというのがあった。」

裏を見たら名前が書いてある。「ミスター・ボーンズ」。


Sound Vuew Cafe


Pike Place Fish Market

車でパイクマーケットに行き、サウンド・ビュー・カフェでサラダとコーヒーの朝食をとってから鮭の薫製を仕入れる。バイクマーケット周辺の街区では建替工事がどんどん進んでいる。 3?4階建の混合用途の建物がブライト化したものを公共資金を導入して低所得者用の都市型集合住宅にしようというものだ。ほんの5年位前までは鉄骨で8-10階のものが主体であったのに、1階をRCにしてその上に木造で3-5層の住宅をのせるというやり方に変わっている。

もっとも、パイクマーケットに近いところなので、一階部分に商業用途の広い床面積をとるためかもしれない。コストも下げられるのだろうと思う。保存建築に合わせる形でキャンテイレバーの床を持つ出窓を沢山取っている。コーナーには両方向に張り出すので、そこだけ床組を鉄骨にしたりするのは平気だ。


デニー・リグレードの都市型集合住宅再開発。RCラーメンの上に3-5暦の枠組壁木造を乗せる。


昔の郵便局を美術館にする。


車を駐車場に入れ。ヴェントウーリがデザインした美術館を見に行く。昔の郵便局の改装である。「デザイン図面が不備で、莫大な予算超過をしいられる。」と原設計者、実施設計者、施工者、市当局が入り乱れて訴訟合戦を続けている建物でもある。これも「ヴェントウーりの建物ではなくて、シアトルの建物」というスタイルをして、まちなみに溶け込んでいる。

20年前、デザインとスタイリングの区別さえつかないままに、コルビジェ風、カーン風などと外国の建築写真を見ていた学生の僕達は、ヴェントウーりのエール大学数学科教室にいたって、「何だか訳の分からない建物だ。」と混乱してしまった。その延長がここにはあるのだが、街を歩いて、この建物に行き会うと、なじみがよく、心地良い感じがする。

仕事先での打ち合わせを終わり、またしてもレニエビールの湯気に見取れて急ハンドルを切りつつ、空港に向かう。河合君は「この調子じゃあ、ひと月あってもたいして見れないなあ。」と溜息をつく。

エイビスにレンタカーを放り込んで、ちり紙交換のダンボールをノースウエストのカウンターに持ち込み、一息つく。土産物屋はどれも高くて買うものがない。灰皿がないのでタバコも吸えない。

ぼーっと座っていると、やっと搭乗が始まった。どうせ空いているいるだろうから、横になって寝て行けるだろうと思ったのが間違いであった。中高年男女のアメリカ人団体客が僕達のYシートにどっと押し寄せてくる。

胸の名札を見るとAAAの中国観光団である。飛行機賃の安いこの時期に、気違いじみた物価の日本を避けて中国にくり込もうというわけだ。中年ヲジサン族は高年ヲバサン族に勝てるわけがない。

横の中央4列が開いているのを確かめて、毛布を取りのけ、誰か座っている様に見せたのだが、もう遅かった。向こうの端に怖そうな白人高年ヲバサンがどっかと座り、毛布などを使って陣地を作り始めた。こちらも実力行使に出るが勝ち目はない。

河合君はと見ると窓際の席で眠ったふりをする彼の目の前、通路側の肘掛けにはすでに高年ヲバサン族の巨大おしりが乗っていて、後ろの席のヲバサンとの話しに飽きるまでは動く様子がない。やれやれ、こういうのを災難というのだろう。

ビデオではバットマンをやっている。趣味の悪い、何がなんだか訳の分からない話だが現代アメリカ人が、全てに漠然とした不安を抱いていることだけは感じられる映画であった。


米国の住宅地の緑の密度については、
GoogleMap
が見やすいので、是非ご参照頂きたい。