海外産業博物館  NO.11


クォーリ・バンク・ミル  Quarry Bank Mill

産業革命期の紡績工場

ナショナル・トラストが保存


石田正治  by ISHIDA Shoji


産業革命時代の紡績工場「クォーリ・バンク・ミル」。
100馬力の水車が回っている

 クォーリ・バンク・ミル、博物館のパンフレットにはヨーロッパ最大の繊維博物館とある。マンチェスーの南、スタィルという小村にある、18世紀の紡績工場である。
 ミルとは粉ひき器の意味であるが、石臼を回すのに水車が使われるようになると水車小屋のことをミルと呼ぶようになる。そして産業革命の時代、はじめは水車が工場の動力源であった。だから水車を使う紡績工場のことをミルと呼び、後に動力源が蒸気機関になっても工場のことをミルと言うようになる。
 クォーリ・バンク・ミルは、1784年、ボーリン川の水力を利用するためにスタィルの谷間に造られた。創業者はサミュエル・グレッグ、マンチェスターの織物商人であった。後に息子ロバートが紡織工場を増設して今日に見るような規模になった。
 1939年、グレッグの子孫は、市民による自然と歴史的遺産の保存運動で知られるナショナル・トラストに、このクォーリ・バンク・ミルと関連の施設、教会、学校、労働者の家などとともに284エーカーもの広大な敷地の管理を委託した。現在は、ナショナル・トラストの支援の下、クォーリ・バンク・ミル・トラストが運営管理し、博物館として公開している。産業革命期の工場の様子を今に伝える貴重なものだ。
 館内では、綿花から布になるまでの工程を、道具から機械の時代へと移り変わる技術の歴史と関連づけて展示している。学校教育のためには、ナショナル・カリキュラムにリンクした特色ある教育プログラムと教材が提供されているが、詳しくは次回に紹介しよう。(中部産業遺産研究会事務局長、豊橋工業高校教諭・石田正治)


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