海外産業博物館  NO.14


マンチェスター科学産業博物館 The Museum of Science & Industry in Manchester

世界最古の駅舎が博物館

−ワ−クショップも見せる−


石田正治  by ISHIDA Shoji


科学産業博物館となっている最古の駅舎

 イングランドの北部、ランカシャー地方は、湿潤な気候にめぐまれ、18世紀から19世紀にかけて綿工業が栄えた。その中心がマンチェスター、イギリス最初の工業都市である。リバプール港で集められた世界の綿花は、マンチェスターで綿糸、綿布となって輸出された。その物資輸送には、鉄道が活躍した。
世界最初の鉄道は、石炭輸送用として敷設されたストックトン・ダーリントン鉄道であるが、旅客輸送用として最初のものは、1830年に開業のリバプール・マンチェスター鉄道である。そのマンチェスター側の終着駅がリバプール・ロード駅、現在のマンチェスター科学産業博物館である。 博物館は、建物そのものが歴史的に重要な産業遺産であるが、展示は六つのパート(建物)に分かれている。
 入館口であるかつての倉庫の建物には、印刷・繊維・工作機械の展示室の他、子供たちのための体験科学実験室、図書資料センター、会議室、教育サービス部門などがあり、博物館の中心施設となっている。その隣がパワーホール、産業革命時代の原動力であった巨大な蒸気機関が多数展示されている。しかもそれらはすべて動く。駅舎の建物は、最初の工業都市マンチェスターの建設過程とその歴史の展示室となっている。ここで特に興味深いのは下水道施設の展示である。他に、電気と航空宇宙部門の展示施設がある。ひとつの部門だけでも博物館といえるほど規模は大きく、産業革命時代の技術を展示する総合博物館である。
 この博物館では、他の博物館では見られないもののひとつに、ワーク・ショップがある。工作機械展示部門の隣にあり、見学できるようになっている。専門の館員が様々な機械や道具を使用して歴史的な機械を修復たり、将来の展示資料をつくる作業風景を見せている。この裏方ような仕事をあえて見せていることは、博物館活動のアピールにもなるであろうし、また、機械工の働く姿と技を活きた形で展示していることにもなっている。
(中部産業遺産研究会事務局長、豊橋工業高校教諭・石田正治)


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