海外産業博物館  NO.28


シュライスハイム飛行機整備格納庫 Deutsches Museum Flugwerft Schleissheim

黎明期の復元滑空機などを展示

−修復作業の様子も見られる−


石田正治  by ISHIDA Shoji


修復作業場では原動機などのメンテナンス風景が見られる

 先に紹介したドイツ博物館は技術史の博物館といえる展示内容であるが、博物館の設立と運営理念は技術史がテーマではない。館の正式名称が示す通り、常にその時代の「科学と技術のマイスター作品(最高傑作品)を収集し展示する」国民教育の博物館なのだ。したがって歴史的な遺産ばかりでなく、現代技術も展示している。
 そこでドイツ博物館は、大きな問題に直面する。増大するモノの保存と展示をするスペースがないのだ。特に技術に関するモノは巨大で重量物であるものが多い。飛行機は、その最たるものだ。新しい展示スペースを求められて分館が構想された。 最初の分館となったのがシュライスハイム飛行機整備格納庫(フルークベルフト・シュライスハイム)である。整備格納庫はミュンヘンの中心から北に約13キロメートル離れたオーバーシュライスハイムにあり、近くには陶磁器の博物館として知られるシュライスハイム城があるので合わせて見学するとよいだろう。 整備格納庫は1918年に完成、その建造には大量の鉄筋コンクリートを使用した画期的な建築物で、建築技術史上からも注目される整備格納庫である。展示面積は約8000平方メートル、これを4つに分け、@ダグラスDC−3など航空機一般の展示、A飛行の黎明期として、リリーエンタールとヴォルフミュラーの滑空機の復元展示、Bシュライスハイム飛行場の歴史、C約20機の飛行機の他、エンジン、地上用機器、ロケットなどを展示している。
整備格納庫は、航空史に関心あるものには必見の博物館であろうが、展示施設の整備格納庫と司令塔の建物そのものが重要な産業遺産であることを見ておくべきである。その他に注目すべきは、新館の一部1000平方メートルの飛行機とその原動機の修復作業場である。作業場は見学できるようになっていて、館員の修復作業の様子を見ることができる。こうした作業もまた技術に関わることなのだから整備格納庫のこの作業場展示は技術系の博物館のあり方として範とすべきことであろう。(中部産業遺産研究会事務局長、豊橋工業高校教諭・石田正治)


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