産業技術のルーツを訪ねて

石田正治


 技術の歴史に関心を持つようになったのは今から17年前、工業高校の教壇に立って間もない頃である。技術教育の授業を豊かに活き活きとしたものにしたいとの思いから歴史の勉強を始めたのであった。
 1979年の夏、仲間の教師とともにヨーロッパに行った。イギリス、フランス、ドイツと産業技術系の博物館や産業遺産を巡り歩いた。教科書に登場するワットの蒸気機関やガソリン自動車第1号など、写
バーミンガム産業技術博物館前にて
バーミンガム科学産業博物館前にて 1990/08/18

真や図でしか知り得なかったその本物に触れることができたのは感動であった。感動したのは、数々の歴史的な名品を見たということだけではない。博物館の展示が大変充実していてたことである。巨大な、まるでビルディングのような機械を動かして見せたり、複雑なメカニズムの動きをよくわかるように内部を見せるなど産業技術の博物館ならではの工夫が随所になされていたからである。わが国にもこのような博物館があったならば、その教育的効果は計り知れないと思ったものである。
 その後、技術教育から産業考古学へと視野を広げ、その基本資料である産業遺産の調査研究を余暇の楽しみとしてきた。さらに85年、90年、95年と三度仲間を誘ってヨーロッパの博物館や産業遺産を訪ね歩いた。
 これから始まるこのシリーズ、昨年歩いたイギリスとドイツを中心に技術教育と産業考古学の視座から見聞した産業技術系博物館や産業遺産を紹介しよう。

(いしだ しょうじ・愛知県立豊橋工業高等学校教諭)

※連載のキーワード
 技術教育・博物館・産業考古学


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