楽器的迷走生活
 これで貴方も道を踏み外せる? Vol.1

<アコースティック・ギター編>
 アルバムジャケットの写真に写っている見知らぬ楽器に心奪われて、いつのまにかたくさんのCDやビデオ、はては楽器本体までもコレクションしていた−−というような経験をお持ちではないだろうか?

 世界を揺るがすような大事件も、そのきっかけは案外たわいのないことだったりするものだ。偶然の出会いが、運命を大きく変えることもある。私の場合で言えば、デビッド・ブロムバーグというシンガー&ギタリストのデビューアルバムとの出会いが大きかったように思う。このアルバムの裏ジャケットで、たくさんのギターにかこまれてニヤニヤしているブロムバーグ氏の写真を発見したときの気分は、いまでもよく覚えている。無造作に置かれている楽器たちに、なぜか胸がときめいた。  この写真の影響は、ずいぶんあとまで残っていたらしく、実際に楽器を集め出すようになると、これをズラリと並べ、同じような構図で記念撮影をするようになった。−−というか、正直に告白すると、いまでもときどきやっている。

 やがて、ギターだけではあきたらなくなり、バンジョー、マンドリン、フィドル、オートハープ、ブズーキ、シターン、ハンマーダルシマー、ハーダンガーフィドル、ニッケルハルパ……といった感じで、弦楽器全般に興味の対象が広がっていくことになるのだが、それは後の話。最初のうちは、ごくごく穏当に、アコースティック・ギターのアルバムを集める程度で満足していた。
●DAVID BROMBERG
 (CBS 1971)
DAVID BROMBERG
 デビッド・ブロムバーグのファーストアルバムの裏ジャケから。これこそ、いたいけな少年だった私に、多大なる影響を与え、ついには社会からドロップアウトするまでに至らしめた(?)、いわくつきの写真だ。マーチンやギブソンのギターに混じって、ドブロやマンドリンがさりげなく置いてあったりするのもニクい。
●JOHN RENBOURN
 / ANOTHER MONDAY

 (Transatlantic 1966)
JOHN RENBOURN
 ギブソンのアコギというと、まずこのジャケットを思い浮かべてしまう。肩落ちデザインのJ-50をフィンガーピッキングする姿のキマッていること! このジャケットでその気になって、ほぼ同時期のJ-45を手に入れたこともあったっけ。これがまた、いい音だったのだが。
●STEFAN GROSSMAN
  / HOT DOGS
 (Transatlantic )
STEFAN GROSSMAN
 貝細工のインレイや、フィンガーボードのポジションマークが美しいオールド・マーチンの逸品。トップの塗装がサンバーストになっているように見えるあたりも、なかなかいわくありげだ。初めてこのジャケットを見た頃は、「へーこんなモデルもあるんかい」とびっくりするばかりだった。モデル名は000-42……かな?
●THE BERNIE LEADON =
 MICHAEL GEORGIADES BAND

 (Elektra/Asylum 1977)
LEADON/GEORGIADES BAND
 年季の入ってそうなマーチンを、仲良く抱えて、はいポーズ。バーニー・リードンが持っているのはD-18。マイケル・ジョージアデスのほうはD-28か。どちらも、アコギ・プレイヤーだったら避けて通るわけにはいかない定番ギターと言える。中身もジャケットもナイスなウエストコースト・ロックの名品。
●ROBERT JOHNSON
  / THE COMPLETE RECORDINGS

 (CBS 1990)
ROBERT JOHNSON
 こ、これはシブい。シブすぎる! フラットトップ仕様になったばかりの頃のギブソンL-1と思われるが、かなり使い込まれている様子がうかがわれる。ギターフリークなら、3フレットにもドットのポジションマークが入っている点、フィンガーボードのバインディングがない点あたりに注目するところだ。ちなみに、私はフラットトップ以前、つまりアーチトップの頃のL-2なら持ってるんですけど……って、全然関係ないっすね。
 −−というわけで、まずはオーソドックスに、アコースティック・ギターを扱っているジャケットを紹介してみた。ちなみに、私の長年の相棒は、マーティン・カーシーやリチャード・トンプソンのアルバムジャケットにも登場するマーチン000-18だったりするのだけれど、これについては、また機会があったらということで……。
・・・TEXT by Robin Goodfellow AboutMe!

[楽器的迷走生活/これで貴方も道を踏み外せる?Vol.2]

[CONTENTS]