■6月20日(日)うすぐもり
■韓国でもエズプレッソは濃い!(笑)
昨日のイ・スンファンライブでの大はしゃやぎが響いて、ちょっと眠い。でも11時にスンヘお姉さんと約束していたので、何とか8時に起きてバスに乗り込む。今日は江南のお姉さん行きつけの美容室で、一緒にヘアカットするのだ。
昨日のバス停から最初に江南の高速バスターミナルまで乗り、そこから地下鉄「江南」駅までバスを乗り継ぐ。意外に連結が良くて、1時間以上前に江南駅についてしまった。暫く本屋で時間をつぶす。ゲーム本のコーナーが広くてびっくり、それも「スタークラフト」関連は平台に山積みだ。スタークラフト攻略本の類い、ざっと数えただけで10種類は出ている。しかも「スタークラフト世界チャンピオン、○○○君の攻略本(すみません、名前失念)」なんていうのまであった。韓国はチャンピオンまで輩出したのか!(笑)
ちょっと喉が渇いたので本屋の隣のべーカリー「パリバゲット」で休むことにする。ここはチェーン店で、パンの味もまあまあだ。
ミニシュークリームと、さて、コーヒーをどうするか…普通のブレンドはちょっとなあ、と思ったらメニューに「エスプレッソ」を見つけた。韓国のエスプレッソはちゃんと濃いのか?などと考えつつ思い切って注文してみる。出てきたのは、ガラスのエスプレッソカップに真っ黒のコーヒーが少し。おそるおそる口を付けてみる、濃い!うれしい…。ベーカリーのコーヒーにはあまり期待していないが、ここのはなかなかいける。量の方も初めからエスプレッソらしく30ccそこそこで、喜びはすぐに終わってしまったけど…。

■江南名所、タワーレコード
携帯にスンヘお姉さんからメッセージが入っていた。本屋が地下だったので、電話が繋がらなかったらしい。道が混んでいて11時20分くらいになるとのこと。先に待ちあわせ場所のタワーレコードに行って眺めていることにする。タワーレコードは、この江南店が韓国1号店で、今は鍾路店、釜山と大邱にもあるそうだ。さすがに1号店は広い。1階が洋楽ポップス・ロック、2階がジャズと国内ポップス、3階がクラシック。全体に試聴コーナーが多いのがうれしい。1階の一角には音楽雑誌コーナーもあり、洋書に混じって、日本の「PATIPATI」や「CDでーた」なんかも並んでいる。価格は10000〜12000ウォン(1000〜1200円)くらいで、日本の販売価格の約2倍弱。日本のポップス自体はまだ公式に解禁されていないが、音そのもの以外の情報は、まあ大目に見られているということだろうか。

■一流美容室&パスタセットのリッチな?週末
11時15分にはお姉さんと合流できて、バスでギャラリアデパート前の繁華街に連れていかれた。日曜の昼前なので人出はまばらだが、夜は江南一の遊び場になるところだ。美容室は黒と銀の外装の建物の2階、真っ黒のシンプルなインテリアに、中央に鏡が何枚か。従業員も白黒のユニフォームでとても清潔そうな感じで、接客の印象もいい。正直、韓国では、観光地以外での接客にはあまり期待していないのだけれど…。
お姉さんご指名の美容師さんの手が空くまで、ヘアカラーを施してもらう。美容技術や材料なんかは日本と殆ど同じみたいだ。今度はヘアカット、お姉さんが気を遣って「スタイルの本があったら見せてあげてもらえますか?」と言ってくれ、ヘアカタログを広げて…、と思ったら、なぜか日本語が。日本の美容雑誌のスタイルブックだった(笑)。ここまで来て、日本風のカットもないんじゃないの?と思って、結局「お姉さんの今のヘアスタイルがかっこいいから、同じにしてください」と頼んだ。
美容師さんはとても手際よくて、カット後のスタイルも、何だか以前より決まっている気がする。値段もカットとヘアカラーで約5万ウォン(約5000円)。一流チェーン店でこの相場、腕も良いし、韓国の美容室、なかなかいいなあ。お姉さんは私の茶髪が妙に気に入ったらしく、しきりに「すっごく似合うわよ〜」と言う。あんまり似合う似合うと言うので、「もしかして逆にフォローされてるんじゃないのか?、これって?」と思ってしまったくらいだ(笑)。
美容院を出たらもう2時だ。遅い昼食を食べに行く。
ギャラリア百貨店から狎鴎亭洞駅の近くまで戻り、「マンマ・イタリア」というパスタ専門店に入った。スンへお姉さんお薦めの店だ。何でも、イタリア出張から帰ってきた人がこの店に来て美味いと言ったほどの味らしい。
トマトソースとガーリックソースのパスタを一品ずつ注文することにしてウェイターを呼んだら、マカロニの見本を持ってやって来た。ここのパスタは麺ではなくて、5種類のマカロニとペンネから好きなものを選んで作ってもらえるのだそうだ。「なんか本格的〜」と二人で感心。味も悪くない。飲み物込みで多分3万ウォン(3000円)も掛かっていないし、またまた得した気分だ。こんないい店でも、留学生の立場だと、地元の人に教えてもらわない限りは絶対に知らないまま終わってしまうのが惜しいと思う。


狎鴎亭洞の繁華街にある美容室「JUNOHAIR」。外観同様、内装もシンプルでおしゃれだった
■狎鴎亭で出会う日本漆器…
昨日書いた通り、ギャラリア百貨店方面は美術系のギャラリーが立ち並ぶ地域だが、一方、狎鴎亭洞駅の近所には、デザインや工芸のギャラリー、スタジオが集まっているという。角に建つ小さなギャラリーのウィンドウに、カラフルに彩色された家具が並んでいるのが見えた「入ってみようか」。
展覧会は、ロッテデパートでディスプレイを手がけている男女2人のオリジナル作品展だった。動物や花が一杯描かれたデザイン家具は、部屋に置くにはちょっと派手すぎる気がしたけれど、ディスプレイの素材としてなら面白く使えるだろうと思った。
展覧会スペースの奥に、ギャラリーで販売しているらしい食器類が、こぢんまりとディスプレイされていた。茶器とか食器セットとか、韓国の生活陶器は派手ではないけどシンプルでかわいいなあ、と思って眺めていたが、そのうち、展示品の幾つかがどうも日本風だなと気がついた。「漆塗りの箸」や「藍染のランチョンマット」が、どうしてこんなところにあるんだろう?
と、奥の事務所から女性が現れて「分かりますか?日本の食器ですよ」と声を掛けてきた。
女性はここのキュレーターのチョンさんで、ギャラリーの仕事の他にも大学講師やデザイン雑誌のライターもされているとのこど。何度か日本の工芸を視察に来たことがあり、展示品のテーブルセットも、日本の友人から譲られたものだそうだ。この春の食器の展覧会では、日本の工房で勉強してきた韓国作家の作品を紹介したとのこと、日韓の陶芸交流と言えば鹿児島のなど地域ぐるみの活動も有名だが、個人レベルでも意外に接近した関係にあるのだな、と思う。
チョンさんが聞いてきた。
「ところで、お二人は学生さんですか?」
「やったー!ラッキー!、い、いや、二人とも30代で…」
「えーっ!、服装がお若いし髪も短いから、てっきり学生同士だと…」
美容院に行ったかいがあったというものだ(笑)。ジュースをいただきながら、ひとしきり話が弾む。
「東京では、デザインや工芸のギャラリーはどこに集まっているんですか?前に銀座のギャラリーを回ったんですが、デザインの専門ギャラリーがあまりないようでした。ロンドンやニューヨークでは、よく見かけたんですけど。」
「デザインや工芸関連なら、銀座より青山の方が多いと思いますが…。渋谷の近くです。」
「そうね。スパイラルガーデンもあるし。前に案内してもらって…」などなど。
そのうち家具展の作家さんたちや、丁度訪ねてきたチョンさんの教え子も交えて、留学経験から全員の年齢当て(笑)まで、時間を忘れて話し込んでしまった。

■新村ライブハウスで世間は狭い?
気がついたらもう5時を回っていた。スンへお姉さんが夜に約束があるというので、狎鴎亭洞駅で別れて私も一旦帰宅。ちょっとメールチェックしてまた飛び出した。
新村のライブハウス「ClubMasterPlan」に向かう。新村ロータリーからちょっと弘大前よりの「農協マート」のすぐ裏だ。
今日は、8時からここでアンダーグラウンド(インディーズ)出身バンド「オンニネイバルグァン(姉さんちの理髪館、の意)」のライブがある。噂では今日がさよならライブだというのだ。
「オンニネ…」は96年にデビューした。個性的なサウンド、また韓国でアンダーグラウンドが広く認められつつあった時期と重なったこともあって、当時から注目され、一時期活動を中断していたが、メンバー交替を経て今年初めに2集を発売している。
地下室の事務所を改装しました、という感じの小さな会場は、100人前後のファンでぎゅうぎゅう詰め。ゲストバンド2組の演奏の後、いよいよ「オンニネ…」のステージだ。MCによると、やはり今日で「オンニネ…」としての活動は終了。理由は、単にメンバー4人が、それぞれの勉強や本業が忙しくなり、自分の道に進みたくなった、ということらしい。
それでも解散は惜しい。2集のサウンドは、ちょっほのぼのした雰囲気のギターロックで、今日聴いていてとてもいい感じなのに…。

ライブも意外に早く、10時半には終わってしまった。会場を出て、ぼーっとしながら歩いていると、同じく出てきた人たちの中から、日本語が聞こえる。二人連れの女性が「今日のライブって…」って話しあっているのだ。
「留学生なのかなあ、どこでライブ知ったんだろう、声かけようかな…」散々迷った末「あの、もしかして日本からいらしたんですか?」と話しかけてみた。
二人は3泊4日の予定で旅行に来ていて、以前の旅行で偶然アンダーグラウンドのCDを買ったのがきっかけではまってしまい、今回のライブはこちらで音楽雑誌を買って知ったそうだ。話を聞くうち「今日ゲストで出たバンドも、実は前から気になってて」。え、ゲストのバンドまで知っているなんて、私よりもはるかに詳しいじゃないか…。インターネットで情報を集めているのかと思ったが、通信は全くやっていないとのこと。全部足と口コミで情報を集めているなんて、ますますすごい。9月にまたいらっしゃる予定だそうで、機会があればまた会いましょう、と連絡先を交換して別れた。

…実は、この数日後に東京の知人から「ライブハウスで日本の人に会ったでしょう?二人は自分の知り合いなんですよ」とメールを貰った。世間は…、というか、韓国ファン界は…狭い(苦笑)。

<今日のおすすめ韓国関係Webサイト>
HAND & MIND Gallery & Shop
今日訪れた狎鴎亭洞のデザインギャラリー。展示会の情報や通信販売ページがある。残念ながら韓国語のみ。

indie music in Korea
アンダーグラウンドロックの音盤紹介、サンプルサウンドの試聴、CD通信販売が日本語で書かれている有難いサイト。ちなみに私はサイトでも紹介されている「アムバンド」のファンです(笑)

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