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1995年 北欧ツーリング C 
    
8月14日(月) オールダージョルド〜スキップフィヨルド

-ヨーロッパ最北端のある島に-

 
  (ノールカップがあるマーゲロイ島に上陸) 

 9:00キャンプ場出発。ノールカップのあるマーゲロイ島に向けて北上する。道路は右に北極海、左は
100mの高さはあろうかという断崖の岩肌が迫っている。途中には長さ数kmにも及ぶ長いトンネルを
通ったりしながらのんびりペダルを踏む。今日も非常に調子がいい。出発から27km地点、入り江の
ような所に通りかかった。その時、民家の軒先で一人のサイクリストが座り込んで何かをしている光景
が目に入る。何の気なしに通り過ぎようとしたとき、そのサイクリストが何か長い紐のようなものと格闘
しているのを確認した。どうも休憩のような感じではないので、Uターンをして近づき「May I help
You?」と挨拶した。サイクリストの彼の返事は何と答えたかわからないが、彼の周りの情景を見て
すぐに彼のトラブルを確認できた。なんと、彼のMTBのチェーンが切れていたのだ。それで彼はチェー
ンをつなごうと民家でペンチを借りて格闘中だった訳だ。しかし、そんなペンチでは切れたチェーンは
つながらない。途方にくれそうな状況に違いなかったが、私がサイドバックからチェーン切りを取り出
して彼に渡すと大変喜んであっという間にチェーンをつなぎ、最悪の状態から脱したのである。
彼の名前はアンジェリーノと言うイタリア人で、イタリア本国から一人でノールカップ目指して走って
きたとのこと。一日200kmをこえる距離を連日走破しているとの事である。いやはや、自分の倍の
距離を走っているのだと驚きと、やっぱりヨーロッパは自転車が盛んでこういうすごい人も多いのだろ
うと想像してしまう。
  
(イタリア人サイクリストのアンジェリーノ、トナカイの伴走)          (ノールカップのある地区に入る) 

無事修理を終えたアンジェリーノは行く方向が同じだからと一緒に行きましょうと言ってくれたので、ペア
サイクリングとなる。しかし、さすが毎日200kmを走る健脚、付いていくのが必死で、つい重いギヤを踏
んでしまった。1時間を過ぎた辺りから膝が痛くなってきた。だましだましのペダリングも並走となると、さら
に悪くなるばかり。とうとうアンジェリーノに「先に言ってくれ。」と声をかける。しかし、私に気を使って「一緒
に行こう。」と言ってくれた。それでも、並走する事の方がつらいので先に行ってもらう事を言って、お互いの
旅が成功するように挨拶し、別れることになった。別れ際に、関節痛の塗り薬をアンジェリーノから分けても
らい、それを塗った後再び走り出す。先ほどまでとうって変わってペースがガクンと落ちる。しかし、古傷の
膝の裏ではなく、今回は膝そのもので、走ることが出来たので12:30、カフィヨルドに到着。ここは、ノール
カップのあるマーゲロイ島に渡る船着場である。すでに到着していたアンジェリーノと再会。一緒に食事をとる。
ここで、一組の日本人カップルを発見。乗船後、声をかけられ話しているとその方は大阪の大西さんと言う
夫婦で、3ヶ月に及ぶ新婚旅行を日本から船便で輸送したスズキジムニーでヨーロッパをまわっているそう
である。

 
(カフィヨルド乗船場)  (マーゲロイ島到着、大西夫妻のジムニー。日本のナンバープレートが誇らしい) 

船の時刻が良くなく12:30につきながら、発船が14:30でマーゲロイ島に到着したのが15:15.アンジェ
リーノは、今から30km先のノールカップまで行くと言うのが、自分は膝の大事をとってノールカップ行きを明
日にする事にし、アンジェリーノとは最後の別れとなった。上陸後、大西夫妻が近くのキャンプ場に行くと言う
ので一緒に同行する事にした。途中、自分のペダリングをビデオ撮影等していただき、今回の旅の貴重な記念
になった。

  
 (一人旅では写せない、貴重な私のペダリングシーン) 

港から7km進み、スキップフィヨルドのツーリストセンターのキャンプサイトにあるキャビンを借りて本日の
走行は終了。4人分のベットスペースがあるところに自分1人だから十分の広さでゆっくりくつろげた。また、
夕食を大西夫妻に招待され、夫妻の旅行中の話や自分が「小奇麗なサイクリスト」として旅先で話題にな
った話など、旅に出て初めてにぎやかな夕食となった。

 

 
(ノールカップツーリストセンター内の宿泊したキャビン及び室内の様子) 

 本日の宿 ノールカップ ツーリストセンター キャンプ場 キャビン 3号室

本日の走行距離     77km
総走行距離       393km
 
 
 

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