2005年日帰り登山 from 豊橋

2005年7月20日(水)槍ヶ岳 3180m  単独 晴曇 無風 槍平小屋付近以上携帯可

三年前、晩秋陽光の北岳山頂、たまたま日帰り単独行者3名だけの静かな昼時、下山までの限られた時間を談笑していた。

話題が槍ヶ岳の日帰りの話になり、彼によれば最初をランプで歩くか、帰路をランプで歩くかを覚悟すれば充分可能です。

あとはあの飛騨乗越をとにかく登りきるだけですよ、ということだった。

更に時間によっては風呂も入れませんよ、と付け加えてくれた。

その後気にしてはいたが可能性の高い聖、塩見、光岳などを先に登っていたので暫くは忘れていた。

今年になり残り少ない年月を考えると、ボチボチ挑戦しておかないと悔いを残しそうな気がしだした。

 

(左写真 白出沢出合)

雨や曇など不順な天候が続いてる間、過去の日帰りの登高時間や高度差等との比較を考えたり、夜な夜なネット検索したりして前調査をした。
(その情熱を向けるべき正しい方向に何故注げないのか?という突っ込みは無視して、と)

下り用にに自転車を用意する。
登りも帰路も林道ならランプを使っても精神的に不安はない。
初めてのコースで後に時間を追われるより、早め早めに行動しよう。
出来れば午後早々には下山する。
中止する場合の決断理由等々と

考えてるうちに行くことに決心した。

聖も塩見も光も始めから行けると信じて行ったというのに、あの飛騨沢の登りを想像するだけで嫌になってしまい、一大イベントとして(自身の中では)物々しく出発することになってしまった。

(左写真滝谷出合)

仕事が終わり21時ジャスト自宅出発。東名、東海環状を利用して清見から高山経由で新穂高まで290キロ。
道路は快適快調で深夜1時前に新穂高に到着。(ETC割引を使うことも出来なかった)
無料駐車場は7割ほどの入りで直ぐ仮眠に着く。下界は35℃の暑さというのに予想通り寒い。毛布を被り寝込む。
3時20分起床。まだ月が目立つ。ライトの中支度を終え出発。沢音の喧しい駐車場の最奥からバス停までの近道をライト頼りに進むと直ぐにバス停横に出る。
何も気に留めることなく硫黄臭い川を渡って進むうち、中崎山荘や笠山荘前まで来て、対岸に灯が見えることに気付き、まてまてこれは違ってると感じ再度バス停迄戻る。ライトを照らすとホテルの入口と思ったとこに穂高・槍ヶ岳の案内板があり右俣林道に入る。
一台も留まってない最終駐車場を横に見て林道を行く。林道歩きと行っても白出沢出合まで500m程高度をつめる。この一方的な登りが帰路に自転車も持ち込もうかと悩む理由となってる。
(左写真 滝谷出合)

ゲートを過ぎ穂高平への近道を右に見ながら暗いので素直に林道を進む。少し明るさを増してきたころ開けた穂高平を通過し再度林道を登って行くと沢の音が大きくなり白出沢出合に着く。そのまま滝谷へと向かう。

時間と競争だから登りは早々休んでもいられない。もうランプは必要なくなっている。
緩い上り下りを繰り返しながら沢音が大きくなる度チビ谷、ブドウ谷と越え滝谷に着く。河原の真ん中で小憩。
ランプや電波を拾わないラジオをしまい、鳥も通わぬ滝谷ドーム方面を見上げながらオニギリを流し込む。
白出沢〜滝谷間はそんなに登ってない気がした、槍平小屋迄約400m程高度差があるのにと思ってたら、藤木レリーフを過ぎてから少しづつ高度を上げていく。沢に沿って歩くというより、登ってるという感じだ。

でも滝谷からあっけなく小屋に到着。「今日の一番ですよ」と言われた。快調にここまでは来ている。

(左写真 槍平小屋)

いよいよ飛騨乗越ヘの問題の急登が始まる。気を締めて進む。

樹林帯の登りが始まった頃から朝一の下山グループが次から次と降りてきだした。

下山時の参考に尋ねたらここまで上から2時間ないという。13時に上を降りても17時には林道に降りれるということだ。

とにかく目指せ13時前登頂。

人の流れが途絶え再び静かな急登が堀割上になり、尾根を一つ巻き込むように登り込むと最後の水場を過ぎる。

やがて、頭上には木々が無くなり直射日光を浴びての飛騨沢登りが始まる。

ところが想定外に晴れてはいるが雲が多いので暑さは感じず、また涼しい風がかなり頻繁に凪がれてくる。

(左写真 千丈沢分岐)

少し行くと、槍ヶ岳の標識がたっている場所があったので小憩する。再度登りだし一登りしたら千丈沢分岐の

救急箱の置かれた広場に到着したが通過。ここからは上方に槍平小屋を朝出たグループを追かけながらの急登になった。

ありがたいことにザレ場ではあるが踏み込まれていて足元はしっかりしており登りやすかった。

また、見た目の急峻さに比べ歩き安い道だった。明け方からの歩行で時々太股が痙った。

荷揚げのヘリで小屋の方向はわかっていたが、途中でもう一回休憩し(GPSのNO.65)以外と元気な身体に水分を与えた。

遠くの笠ケ岳と高度が同じくらいになり双六方面も望めるようになった。GPSには槍ヶ岳が表示されてる、直線的にはすぐだ。

(左写真 千丈沢分岐上部)

一登りすると突然大喰岳からの稜線が見え分岐の標識が青空に浮かび上がった。最後の喘ぎをし、とうとう予定以外に早く飛騨乗越に出た。目の前の岩横に槍ヶ岳、足元に殺生小屋、目線に東鎌尾根とヒュッテ大槍。幾つかのカラーが槍の側面を動いていた。まだ着いたわけでは無いので先を急ぐ。

直ぐにテン場の登りとなり、登りきった小ピークの前にデンと槍ヶ岳山荘と槍の穂があった。

そのまま槍の直下に行って小憩。

張り付いてる人の数が少ないので担いで登る。鎖などがあるが鎖に頼らないほうが登りやすい。岩も足場等作ってあるし

ホールドもしっかりしてるのでスレ違いさえなければ快適に登れる。

最後の二列の梯子を登りきったら、スパッと横に切れた青空に飛び出て「いらっしゃ〜い」の歓迎でお終った。

(左写真 山頂から穂高方面)

六畳くらいの細長い小広場だ。夏の最盛期は上が直ぐに満員だろうから、梯子待ちの行列だと思う。おまけに上り下りは個人差があるから更に時間がかかることになる。
この時期に日帰りをやっといてよかったとつくづく思った。最盛期にやったら山頂は時間切れになってしまう。
三角点と祠の前で槍の標識を持って記録撮影をし、少し休憩。

山頂の楽しみは限りが無いが下山にかかる。長い梯子を下り、足元も滑ることなくしっかりしてるので一気に下りる。登る時に下の梯子に居た人がまだ鎖場でアップアップしていた。鎖の支持の真ん中を持ってるのでブラブラになって緊張しておりていた。
きりがないので先を譲って頂いて残りを駆け下り昼時で賑わう小屋を通り過ぎ

横の小ピークで小憩。


(左写真 山頂より槍ヶ岳山荘)

予定より30分早く飛騨乗越と別れ一気に飛騨沢を下る。気分的に楽になってるので千丈沢分岐まで下り小憩、その下の標識のトコでも小憩、ダラダラしだした。再度樹林林帯に入ると一気に汗が噴きだし始めた。今日の最後の登りのグループ?と二回ほどスレ違い槍平小屋に着いた。ちょっと長く休憩し最後の林道までの下りにかかった。

30分程で沢音騒々しい滝谷に到着。橋の上で休憩、この時ボイスレコーダーを沢に落してしまった。

直ぐに拾上げたものの乾くのを待つしかない。多分データー喪失、記憶を頼りに朝からの行動を手帳に書き留めた。

泣く泣くリュックにしまい込み歩き始める。

 

朝は気付かなかった数歩の登り下りを繰り返しながら沢音を乗越ながら

歩き白出沢に到着。予定とは異なり暑い陽射しの明るい林道歩きとなった。ひたすら下るだけの林道だ。

自転車を持ってきたらどうだったのか?考えながら汗だくで歩く。

ダラダラ状態で穂高平で再度休憩しバス停に向かった。

ホテル街に戻り、下山届を提出し目の前の風呂に入ろうとしたら16時でお終いだった。ガッカリして駐車場に向かい

荷物を下ろし駐車場前にある吊橋を渡り旅館に聞きに行ったら露天ならOKということで、汗だけは流すことが出来た。帰路も順調に走り23時30分に帰宅。3日ぶりに美味いビールを浴びた。

3:45-3:45 新穂高駐車場出
4:03-4:03 右俣分岐
5:32-5:32 白出沢出合
6:45-6:56 滝谷出合
7:39-7:39 槍平小屋
9:33-9:33 千丈沢分岐
10:20-10:25 NO65の地点.
11:18-11:21 飛騨乗越
11:36-11:40 槍ヶ岳直下
11:58-12:07 槍ヶ岳山頂

12:27-12:27 飛騨乗越
13:14-13:14 千丈沢分岐
13:44-14:18 槍平小屋
14:50-15:00 滝谷分岐
15:45-15:45 白出沢出合
16:25-16:35 標高平小屋前
17:20-17:20 バス停
17:27-18:04 駐車場


尚、本年山行のGPSログとマップはカシミールで表示しています

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