第1回 社楽の会報告              第2回へ
                                  報告者 布袋中 土 井

6月3日(金)7:00〜9:00,布袋北学供にて第1回の学習会を開催しました。
参加者は,土井,木本,勝村,熊木,大薮,滝口,高木,野呂,高橋,木全,川井,中野,栗林、尾関の14名(敬称略)です。

自己紹介の後,土井が会の主旨説明を行いました。
・目的は社会科教師としての基礎基本・応用力を身につけること
・毎回できるだけ1人1つ以上の提案・報告をすること
・報告・提案はフロッピーの形で全員に配られ,自由に利用できる共有財産とすること
などを提案し,今年1年の取りまとめ役として,代表 土井,事務局 勝村先生,書記 木本先生を選出しました。

☆  記念すべき第1号は,勝村先生による「社会科教育史の概要」の報告です。
 まず初めに,社会科とは何かということで,社会科成立から生活科誕生までの道筋を簡単にまとめていただきました。これらは,学生時代に聞いてもピンとこなかった話ですが,今聞くととても良くわかります。学生時代の単なる‘知識’が,教職という‘経験’を経たことにより,‘理解’へと進化していったことが実感できます。
 次に,教育史上に残る,範例学習や発見学習,探究学習,主体的学習,学び方学習などについての基本的な理論,単元の流し方についての説明があり,それについて質疑応答がありました。
 範例学習については,布袋中の丹羽校長先生から,「東書の教科書は基本的に範例学習を採用している。その視点でもう一度各社の教科書を比較してごらん。」とご指導いただきました。確かに,特に小学校の教科書でその特徴が顕著に表れているようです。
 広岡亮蔵から水越敏行へとつながる発見学習,社会科教育研究センターの探究学習は,
新任の頃の私が大きな影響を受けた理論で,今ではなつかしい気すらします。また,単元を通して課題設定・予想・追究・結論へと展開する流れとそれぞれにおける活動の内容は,今の資料集部会にも生きており,研究史をじっくりひもといてみる必要性を感じます。
 学び方学習の考え方は,新指導要領にそのまま当てはまるのではないかと思われるほどで,その根幹に「自ら学ぶ力」の育成をおいています。知識・系統主義全盛の昭和30年代にこのような研究活動を続けて育ててこられた先人の偉大さには感心させられます。

 話し合いの結果,今後,それぞれの具体的な実践例を集め,分析し,理論を理解した上でできるものから追試していこうという結論にいたりました。
多くの方法が使えれば,教材・児童生徒の実態により合った指導ができるのではないかと考えるからです。

☆ 次に,土井が,「個性を生かす教育」について次の3点の提案をしました。
 @個性重視に至った歴史的流れ,
 A文部省(のブレイン)の「個性を生かす教育」についての考え方について,
 B昨年度の資料集部会の個についての考え方です。

 @では,「戦後の学力観・指導要領の精神の変遷」ということで,学力観を〈人間性〉〈論理性(科学性)〉という指標で位置づけてみました。
 戦後の経験主義による〈人間性〉への指向,はいまわる経験主義の批判を受け〈論理性〉へ傾いた系統主義,そして高度経済成長期の産業界の要請を受けてますます〈論理性〉が尊重された科学主義,その結果落ちこぼれを生み,教育荒廃を招いた。50年代には〈人間性〉へ指標が変わりゆとりと充実が求められたが,いじめ・登校拒否が増え続けた。さらに,心の教育が重視され,生涯教育体系への移行,個性重視へと指標が変わっていったというものです。
 なぜ資料集部会で「個を生かす」研究をするのかということを歴史的に理解した上で,
実践に取り組んで行きたいと思います。
 Aは,とてもこの紙面では書ききれませんが,個人差のとらえ方とその対応策,個人差に応じた指導の方法・形態などについて,文部省(またはそのブレイン)がどうとらえているかというものです。
 Bについて簡単にまとめます。
   A 個を生かすための手だてとして
    ア 興味・関心に基づいた課題設定(課題設定学習) 
     イ 調査活動と発表      
     ウ 討論  
     エ 特に支援が必要な児童・生徒の指導過程への位置づけ
   B 個を把握するための手だて(生徒一人一人を的確に多面的に理解するために)
   ア 座席表に記入=カルテ  
     イ 日常・授業中の行動観察
   ウ 発言・作品分析,アンケートなど
   C 個人差に応じた指導の手だて
   ア プリントノート=ワークシート  
     イ 個別指導,グループ学習
     ウ 自分で調べてきたことをもとにイメージを広げることができる拡散的発問
   D 個性を伸ばすための手だて
   ア 資料を豊富に準備,資料の自由選択  
     イ 自由な発表方法
   ウ 個の問題意識を重視した課題設定  
     エ 討論 
     オ 柔軟な時間設定
 
☆ 3点めとして,栗林先生から,愛知県埋蔵文化財センターの仕事についての話がありました。今後も,具体的な事例をもとに,話が聞けそうです。
最後に,全体の感想を述べ合って会を閉じました。
 

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp