最近の教育情報
(1)美野里中学校で今月から訪問介護員の要請研修(茨城)
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これだ!一時期荒れて困った工業高校や商業高校が立ち直った要因の一つは資格試験である。公的な資格は、学びの大きな動機付けになる。総合的な学習の学びの質が問われて、また評価が問題になっている今、中学生でも取ることのできるこのような公的資格を設け、総合的な学習の時間に取り組ませるのはたいへん有効であると思う。
(2)調布・調和小で基準以上の化学物質検出(東京)
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24日の朝刊に、10人に1人の学童がアトピーだと載っていた。シックハウスの原因によっては、アレルギーの子に与える影響が大きく、小さな問題ではない。
最近増えているオープンスクールでは、床暖房でカーペットに座って行う学習も増えている。ダニや接着剤の揮発成分など、気になるところである。
(3)学校施設の防犯対策について報告(文部科学省)
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千葉の打瀬小は、校舎や運動場に垣根を設けてはいない。近くの高層マンションの親子も運動場で遊んでいた。その流れが、例の事件で吹っ飛ぶどころか、前以上に学校の物理的な閉鎖性が高まることとなった。無理もないことだが、ハード面だけでなく、学校の教育計画全体を視野に入れて考えないとバランスを欠くことになる。ハードの安全性を10高めたら、たとえば地域の人を受け入れる方策を同じだけ立てなければならないと言うことだ。
(4)【データ】4分の1の大学が高校授業の補習を実施 EduMailより
全国の4年制大学の6割が学生の高校時代の履修状況を調べ、ほぼ4校に1校が高校の教科の補習を実施していることが、文部科学省の「大学における教育内容等の改革状況」調査で分かった。
調査は、国公私立の663大学を対象に、昨年度の授業内容などを調べた。学生の高校での履修状況に配慮をしている大学は58%(386校)にのぼり、国立では82%(78校)、公立26%(19校)、私立58%(289校)だった。
高校の教科の補習も国立で63%(60校)、公立16%(12校)、私立20%(99校)が実施し、大学全体の実施率は26%(171校)だった。例えば、鳥取大は専門高校の出身者と履修を希望する学生を対象に教養基礎科目(英語、数学、物理学、化学、生物学)を開設。北海道薬科大は、学力不足の学生に数学や生物学などの演習授業を行っている。
全体の13%にあたる89校は、大学の授業を理解するのに必要な教科を高校で勉強した既習の学生と、それ以外の未習の学生を分けて授業していた。高校教員と定期的に意見交換をしている大学も249校(38%)あった。
一方、英語などの外国語による授業を実施しているのは256校(39%)。ボランティア活動を授業に取り入れているのは192校(29%)。学生による授業評価は513校(76%)が実施していた。広島大では、障害がある学生に対して授業のノート取りや図書館での文献探し、パンフレットの点訳など具体的な支援を教授らの指導で行っていた。
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だとしたら、大学入試は何のためにあるのか?入試の存在意義を問いたい。薬科大学で生物や化学の知識は必要に決まっているのに、高校で履修しないで入ってくる学生がいると聞く。高校にも問題があるが、入れる大学にも問題はないのだろうか。
その大学、学部にとって、本当に必要な力を入学試験で測ってほしい。それが入試というものだ。
(5)【騒動】運動会でみこし担ぎ「校長先生は悪くない」生徒ら抗議 EduMailより
新潟県内の公立中学校の体育祭で、校長が乗ったみこしを生徒が担いでグラウンドを回るなどしたのは「管理職による不当な教育支配だ」と県教職員の会(中村加代子代表)が指摘した問題は、「校長が強制したわけではない」との苦情が生徒や保護者から会に寄せられ、波紋を広げている。
笹神村立笹神中学校(堤俊雄校長、312人)の体育祭は9月8日にあった。サブスローガンに校長の名前を入れ、競技の中で、生徒が作ったみこしに校長が乗り、3年生が担いでグラウンドを練り歩いた。地元放送局が10月22日に取り上げ、毎日新聞や民放キー局も報道、全国的ニュースとなった。同会は「学校の主人公は誰であるかについて、生徒に誤った認識を植え付ける」と指摘し「公私混同を正すためどのような措置をとるか」と県教委の見解を求めている。
「どこが悪いのか」。会にはこんな苦情のメールが約10件届いた。毎日新聞にも「校長先生は生徒に人気がある。(強制でなく、生徒)みんなで決めたこと」といった意見が、体育祭に参加した保護者から寄せられた。生徒会やPTAによると、来春定年を迎える校長にとって最後の体育祭だった。このため、生徒会がスローガンやみこし担ぎを考え出し、実行委員会(生徒と体育教員らで構成)が実施を決めた。校長は当初「恥ずかしいからやめてほしい」と固辞したという。
「ニュースを聞いて、何で校長先生が悪いように取り上げられたんだと不思議に思った」と生徒会長は話す。校長は「気さくというか、かなり愛きょうがある」人柄だという。
反響を受け、同会は「発案者が誰かということ(が問題)ではなく、提案が生徒からあっても(校長は)許可してはならない」(広報担当者)と一歩引いた構えになった。堤校長は「誤解を招くようなことをやった私が悪かった。ただ、決して押し付けたわけではない」と話す。学校や村教委から事情を聴いた県教委義務教育課も「学校側が生徒に強制した事実はなく、問題はない」とみている。
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これは抗議した団体の方がおかしいと思う。よけいなお世話とはこのことだ。
よく事情もわかっていないで、一部の事象だけをとらえて批判することがあるが、それは正しいことではない。よくマスコミが、政治家の発言の「部分」をとりあげ、それについて世論が一斉に批判する事がある。くわしく前後を通して読むとなるほどと思える事でも、そこだけ取り上げればおかしことは日常生活でもあるだろう。批判には責任が伴う事を忘れてはならない。
これが「抗議」になると問題はさらに大きくなる。これは、校長だけでなく、教員や生徒・保護者・地域まで傷つける事になる。そのことを彼らは理解しているのか?
(6)「スクールヨミネット」のID、パスワードを変更しました
読売新聞社は、インターネットを使った新しい教育方法を研究する政府の「学校インターネット事業」に参加しています。読売新聞のデータベース約230万件をコンテンツとして提供しており、過去の記事や写真などがパソコンで手軽に検索できます。公立小中高校の関係者の方は、下記のURL、ID、パスワードを使って、無料でご利用いただけます。
有効期限は、2003年3月31日まで。これまでのID、パスワードは12月1日以降利用できなくなりますので、ご注意ください。
問い合わせは、メールでスクールヨミネット事務局(school@yomiuri.com)へ。
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読売新聞は教育にたいへん力を入れてくれてありがたい。このシステムも特に社会科教師にとってはたいへんありがたい。使わない手はない。
(7)パソコン40台に動画をリアルタイム配信するシステム発売 EduMailより
学校教育支援システム開発のゼッタテクノロジー(東京都千代田区)は25日から、40台のパソコンに動画を同時配信できるシステムの販売を始める。K&Mエンタープライズ(福岡県北九州市)の動画圧縮技術を活用したもので、ゼッタテクノロジーの教育支援システム「リモコン倶楽部スクールエディション」のオプション機能。
テレビやビデオ、DVDなどの動画コンテンツを、一般的なLAN(構内情報通信網)環境で、教員のPCから生徒のPCへ同時に配信する。スプリッター(音声信号とデータ信号を識別する分離器)を、教員と生徒を結ぶネットワークの間に接続する。動画データは、動画配信専用サーバーにより、独自の動画圧縮伝送技術「KAM方式」で高速圧縮されるため、ビデオデッキやビデオカメラ、DVDプレーヤーをつなぐだけで、ネットワークに負荷をかけずに配信できる。
スプリッターが、教員側から送られた動画データを、各生徒に効率よく分配するため、生徒のPC間で動画のずれは生じない。PC40台への同時配信には2台のスプリッターが必要となるが、スプリッターの台数を増やせば1000台程度のPCへの同時配信が可能だという。「リモコン倶楽部スクールエディション」の価格は、40ユーザー使用で72万円など。今回の「画像転送オプション」機能を付けると、40ユーザーで120万〜140万円前後になる。
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この程度のことが記事になるようでは情けない。ITは教師のやりたいことが普通にできて始めて道具として使うことができるが、動画を配信することがこれほど大がかりでは、まだまだ発展途上の入り口程度だ。ITの教育利用の目標は、平均1授業1動画が当面の大きな目標だ。それに堪えうる回線とサーバ、コンテンツを充実させたい。
(8)【中教審】「教育理念に愛国心を」基本法の改正求める中間報告 EduMailより
教育基本法の見直しを検討してきた文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」(鳥居泰彦会長)は14日、同法の改正を求める中間報告を遠山敦子文科相に提出した。現行の教育基本法は「新時代を切り拓(ひら)く日本人」を育成する理念や原則が不十分だと指摘し、基本理念として公共心や道徳心、郷土や国を愛する心を盛り込むよう提言。国民から意見を求め、来春をめどに答申をまとめる方針で、戦後教育の理念を支えてきた「教育の憲法」が、初の改正に向けて大きく踏み出す。
教育基本法は国家主義的思想を含む教育勅語を否定し、民主的で平和的な社会を築く教育を実現するため、1947年に制定され、55年間、国の教育の理念的な柱となってきた。
中間報告は、現在の日本で若者が夢や希望を持ちにくく、社会の構成員としての責任意識の欠如などが目立つと指摘。一方で、経済のグローバル化によって世界規模の競争が激化し、日本社会が危機に直面しているとの認識を示した。日本人の潜在力を呼び覚まし、自信を持って新時代に立ち向かう力を与えるため、教育にも根本的な改革が必要だとして、基本法の改正を求めた。
新たな教育目標として「新しい時代を切り拓く心豊かでたくましい日本人」の育成を掲げ、基本理念に「伝統、文化の尊重」「郷土や国を愛する心」を持つこと、「公共」に主体的に参画する意識、生涯学習社会の実現などを加えることを求めている。一方、「個人の尊厳」「真理と平和」「人格の完成」など、現行法の理念は尊重するとし、伝統、文化の尊重や国を愛する心も、国家至上主義や全体主義的なものでないとくぎを刺した。
「国を愛する心」を持つことは、すでに小中学校の学習指導要領で道徳や社会科の目標になっている。学校では子供に奉仕体験を推奨することになっており、「公共」の意識を育てる活動も事実上始まっている。このため、法改正は実践の追認にすぎないという意見もあり、教育現場には「改正されても現場とは関係ない」と冷めた見方が強い。
しかし、ある文科省幹部は「法律になれば、より国の意思が強くなる。日の丸・君が代も『強制ではない』とされながら、法制化後は学校で『指導しなければならないこと』になった」と別の見方をする。基本法に詳しい立正大の浪本勝年教授(教育政策)は「極端なことを言えば、校門に日の丸を掲げて毎朝礼をさせるということもあり得る」と懸念する。
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EduMailは毎日新聞が配信している良心的なメールマガジンである。それでも、こと教育基本法関連の報道になると、見出しから「愛国心」になってしまう。これは、他の新聞でも同様だ。
しかし、実際にこの中間報告を全文読むと、印象はかなり異なる。これからの教育に必要なこと、議論が必要なことが数多く書かれているのに、この見出しに集約され、それで終わってしまうのはいかにも残念である。ぜひ、全文を読んだ上で幅広く議論したいものだ。
(9)【給食】IT活用の選択制給食を初めて試行 福井 EduMailより
福井県武生市教委は、市立武生第二中学と第三中学の2校で、メニューの選択などにパソコンを活用した選択制給食「武生スクールランチ」を試行。これまで同市は県内で唯一、中学校での給食がなかったが、今回の給食開始に合わせてITを活用した選択制を県内で初めて導入した。
生徒は、各自に割り当てられたパスワードとIDで専用のホームページにアクセスし、2種類のメニューを選択。事前に1カ月分を申し込むが、3日前まで変更できる。生徒の負担は1食250円。弁当を持参してもいい。
また、ホームページでは、メニューの選択や変更のほか、食に関する知識を学ぶこともできる。同市教委は、約1億8000万円かけて両校にランチルームを新設した。2004年度までに市内の全6中学校で開始する。
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こうあって欲しいという姿がまた一つ実現した。やればできるのである。センター方式より対面が基本の自校形式、メニュー(含 弁当)選択式。をれを可能にしたのがITだ。もう少しメニューを増やしたり改善も進むだろう。
(10)【行政】教育分野への株式会社参入を明記 規制改革会議 EduMail より
総合規制改革会議(議長・宮内義彦オリックス会長)が12月中旬に小泉純一郎首相に提出する第2次答申のうち、教育・研究分野の原案が明らかになった。教育分野への株式会社参入について「2003年度に措置」と導入時期を明記。構造改革特区法案では文部科学省の反対で見送られたが、規制緩和の目玉とする狙いがある。
原案では、教育分野での「教育主体の多様化」の必要性を強調。「株式会社やNPO(非営利組織)など民間主体による学校経営の参入を可能とすべきだ」と明記。導入時期も「03年度措置」と明示した。とくに、社会人向けに高度な職業能力を養成する講座を設けている大学院などに対しては「先行的な参入」ができるよう求めた。
ただ、参入にあたっては、「利益追求が中心になり、教育の質が低下する」との文科省の主張にも配慮し、(1)会計制度などの情報開示(2)第三者評価による質の担保(3)セーフティーネット(安全網)整備――を前提条件とした。
教育分野への株式会社参入問題では、石原伸晃規制改革担当相が「特区に反対するなら、全国ベースで規制緩和する」と表明。宮内議長も22日の経済財政諮問会議で「公設民営方式」などでの導入を求めた。このほか、▽コミュニティー・スクール導入に向けた制度整備(03年中に措置)▽私学審議会における民間有識者の定数規制見直し(03年度中に措置)――などを盛り込んだ。
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これはおもしろい。「勝負してやろうじゃないか!」と思える教師と、そうでない教師と別れるであろうが、前者ばかり集めた学校で仕事をしてみたいものだ。本来、そんな人が教師になってほしいのだが・・・・
(11)【処分】高2生の熱中症死亡事故で顧問教諭を懲戒免職 EduMailより
群馬県明和町の県立館林商工高(生徒数672人)で今年8月、同校2年の男子生徒(当時17歳)が剣道の練習中に意識を失い、熱中症による腎不全のため死亡した事故で、県教委は、剣道部顧問の岩崎敦教諭(33)を懲戒免職処分にした。文部科学省によると、学校での事故による懲戒免職処分は極めて異例。
県教委によると、男子生徒は、8月30日午前9時から格技場で練習を開始。休憩をほとんどとらずに約2時間練習を続けたところ、足元がふらつき始めた。その後も岩崎教諭との1対1の試合形式の練習などが続けられ、同11時50分ごろ意識を失って倒れた。しかし、岩崎教諭は男子生徒に扇風機をあてるなどしただけで、救急車を呼んだのは午後2時ごろだった。男子生徒は同8時ごろ、搬送先の病院で死亡した。
岩崎教諭は1995年ごろからたびたび生徒に対し、全校集会などで殴るけるなどの暴行を加えて顔などにけがを負わせており、懲戒処分を既に3回受けている。また、男子生徒の死亡直後から翌31日の夕方まで連絡がとれなくなるなど、「教員としての資質を損なっていた」(県教委)ため、免職処分としたという。
一方、岩崎教諭の体罰が同校で2度行われていたにもかかわらず、県教委への報告義務を怠ったとして、田中校長も減給1カ月の処分を受けた。田中校長は「過去のこと(体罰)も加味しての処分だと思うが、重く受け止めている」とし、「事故後、安全対策の見直しを進めている。亡くなられた生徒の遺族に改めておわびすると共に、二度と惨事を繰り返さないようにしたい」と語った。
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これは見過ごせない問題だ。ここに書かれていることがどれだけ正しいかが問題だが、懲戒免職の理由をはっきりさせておく必要がある。ポイントは、部活中の過失が懲戒免職の原因かどうかだ。
確かにあってはいけない不幸な事故であるが、部活はあくまでも善意で行うほとんどボランティアの領域だ。悪意があれば別だが、そうでなければ、刑事罰、懲戒免職などは避けたい。なぜなら誰もやらなくなってしまう。
(12)全都立校に「学校経営計画」を導入(東京都)
東京都教育庁は平成15年度から、全都立高校及び全都立盲・ろう・養護学校に計画、実施、評価を行い、改善を図るマネジメントサイクル(PDCA)の仕組みを用いた「学校経営計画」を導入することを決めた。導入は、学校の自律的改革を促進し、個性化・特色化を図るなど教育サービスの質を向上することがねらい。
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学校経営計画は、校長が学校のビジョンを明らかにし、中期的目標をたて、各年度における学習指導、生活指導、進路指導、学校運営等の教育活動の目標と、これを達成するための具体的方策及び数値目標を明示するもので、HPで公表される。う〜ん、教育は数値化になじまないと思うので、この計画は判断に迷うところだ。前向きにとらえる学校は成果を出すだろうし、そうでないところは数字合わせに努めるだろう。教育は長期的な視点に立つべきものだが、どのような観点で数値目標を立てるのか注目したい。
(13)児童100人が中学校の授業を事前体験(宮城)
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なるほど・・・あってもいいかな・・。でもなくてもいいかな・・・・