(1)・・kyositu.comニュース【小学校教育総合情報誌】・・■■■
┃3┃教卓の前に立ったら、ヘソを向ける
戸田正敏(「学級づくり」中央研究所・船橋市立三山東小学校)
学習習慣づくりとして、教師や指名された子が話を始めたら、しっかりと話を聞けるようにしたい。そんな学習習慣をつけるための指導法を紹介する。
教師や指名された子が話を始めたらしっかりと話が聞けるようにするためには、年度当初に次のような約束をしておく。
《先生が教卓の前に立ったら、今やっていることをやめて、ヘソを先生の方へ向ける》
そして、事あるごとに「ほら、先生が(教卓の)前に立ったよ。」と教師側から呼びかけ、ヘソを向けることができた子を誉めていく。さらに、教師が前に立ったときに、8割方の子がヘソを向けることができるようになったら、次のような指導を行う。
《指名された子が立ったときも、教師が教卓の前に立ったときと同じようにヘソをその子の方へ向ける》
具体的には、指名された子が立って意見を発表しようとしていても、その子の話を聞こうとしていないときを見計らって、次のように言う。
「ちょっと待って。今、〇〇くんが意見を言おうとしているよ。実は、先生に名前を呼ばれて立つということは、先生が(教卓の)前に立ったことと同じなんだよ。先生が前に立ったときに先生の方にヘソを向けるのと同じように名前を呼ばれて立った人の方にヘソを向けてごらん。」
これだけである。このように告げた後は、指名された子が立ったときにヘソを向けている子を誉めていくのである。
学習習慣づくりとして、「人の話をしっかり聞く」ということはとても大切なことである。学習に取り組む雰囲気づくりという点からも、学習したことを確実に理解するという学習効率の点からもとても大切なことである。
しかし、ただ「しっかり聞きなさい」と言うだけでは、なかなか効果は上がらない。
しっかりと話を聞けるようにするためには、まずもって、話をしている人の方にヘソを向けるということができなければならない。これは、まさに「Aさせたいならば、Bさせろ」である。
「話をしっかり聞くようにさせたければ、ヘソを向かせろ」である。
それがしっかりできた時、子どもたちはしっかりと話を聞けるようになってくるのである。
尚、「だれかが前に立ったらその人の方にヘソを向ける」という約束は、授業のみならず、卒業式や入学式の練習,運動会練習等で、事あるごとに指導しておくとよい。その様な指導がなされると全校で学習習慣づくりが図られ、指導の共通理解ができるようになってくるのである。
また、「指名されて起立した子にヘソを向ける」という指導の“副産物”として、「立つときに何も言わないで立つと、みんながわからないから『はい』と大きな返事をして立つといいよ。」という指導も併せてできる。
「話を聞く」という指導と同時に、「呼ばれたら返事をする」という指導もできるのである。
戸田正敏:rv7m-td@asahi-net.or.jp
《主な著書》
こうすれば「学習習慣」は身につく―低学年編―(明治図書)
自立した子を育てる「学級づくりステップ組織術」(明治図書)
学級づくりに役立つ指導アイデア事典(明治図書) 他
2003-05-21<WED> [vol.409]号より.
┃2┃手紙を書く練習を楽しくする一工夫 山中伸之@栃木・渡良瀬にこにこサークル
書く活動では、「何のために」「誰に」書くのかをはっきりさせておくことが大切です。実際に必要性があればそれにこしたことはありませんが、いつでも都合よく必要性があるわけではありません。
そんな時、「何のために」「誰に」書くのかを、ちょっと楽しく決める方法です。
一通り手紙の書き方を学習してから。
「ABCDEFGH」と板書します。
┌────────────────────────────┐
│この中から自分の好きなのを一つ選んでノートに書きなさい。│
│これで運命が決まりますから、よ〜く考えてね。 │
└────────────────────────────┘
全員が選択してから、
┌────────────────────────────┐
│ノートを隣の人と交換しましょう。では、今から誰に手紙を書│
│くのか発表します。まず、自分が今持っているノートにAと書│
│いてある人、手をあげなさい。その人は、「女の子の友達」に│
│手紙を書きます。Aの下に「女の子の友達」と書きます。 │
└────────────────────────────┘
以下、次のように発表します。
B 男の子の友達
C 担任の先生
D お母さん
E となりのおじさん
F ウルトラマン
G 好きな人
H 野良犬
「アイウエオカキク」と板書します。
この後の進め方は同様です。今度は何のために書くのか(どんな内
要を書くのか)を発表します。
ア 料理を教えてほしい、ということ。
イ 勉強を教えてほしい、ということ。
ウ 一緒におすもうをとってほしい、ということ。
エ 一緒に旅行に行ってほしい、ということ。
オ お金を貸してほしい、ということ。
カ 一緒に映画を見にいってほしい、ということ。
キ これからおつきあいをしてほしい、ということ。
ク 趣味や特技を教えてほしい、ということ。
決まってから、誰にどんな手紙を書くことになったのか発表してもらうと、「となりのおじさんに、これからおつきあいをしてほしいという手紙を書きます」なんていう子もいて、爆笑となります。その後も手紙も楽しく書くことができます。
山中伸之 [yama-san@par.odn.ne.jp]