(1)No.542 Mainichi Daily Mail Education
毎日教育メール より紹介しました。
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【レポート】男の子の性
家庭でどう向き合うか
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この夏、長崎市の幼児誘拐殺人事件や東京都稲城市の女子児童誘拐・逮捕監禁事件など、子供の性について考えさせられる事件が相次いだ。低年齢化が進む性の目覚め。こうした問題をどのようにとらえ、各家庭で向き合ったらよいのだろうか。
不登校やいじめなど子供たちの心の問題にかかわってきた広木克行・神戸大発達科学部教授(臨床教育学)は、長崎事件の背景の一つとして男の子の性の問題をあげる。
第2次性徴を迎える小学校高学年ぐらいから、自分の体の変化に戸惑いを感じるようになる。広木教授は「男の子の変化は、月経という女の子の変化に比べあいまいなうえ、女の子の場合にはある程度される性教育もなく、戸惑いが大きい」という。
従来なら友人や兄弟との会話の中で自然に解消されたり、銭湯などで大人の男性の体と比較して確認するなどしていた。しかし、最近は悩みを相談し合えるような関係はほとんど育たず、「成長の中での自然な解消に任せるのは不可能な時代になった」と広木教授は指摘する。性の葛藤が、おとなしい少年を全裸にして自分との違いを確認するなど、いじめの中で表れるケースも少なくないという。さらに「同年代の子とコミュニケーションをとりにくい場合、性的不安が同性の小さい子に向くのではないか」と語った。
◇男性医師だけでじっくり診察
神戸市立中央市民病院は今年7月、泌尿器科に少年専用の「思春期外来」を開設した。女性の看護師がいると話しづらいという少年も多いため、男性の医師が1対1で、約30分かけてじっくり診察する。場合によっては精神・神経科の医師も加わる。
担当の石川英二医師も、少年たちが性の悩みを話し合う場がなくなってきたことに危機感を抱いている。少年専用としたのも、「気軽に相談してほしい、というメッセージを少しでも少年たちに伝えたかった」からだ。石川医師は15年前から思春期外来に携わってきた。少年の場合、包茎の相談が圧倒的に多いが、手術が必要なケースはほとんどないという。
親に連れられて受診する小学生や1人で来る高校生以上に比べ、最も悩む年ごろのはずの中学生の受診がかなり少ない。石川医師は、少年が思春期外来を受診する際はなるべく父親と一緒に来るよう指導している。「母親では理解しづらいところもある。父親をうまく巻き込むことがポイントだ」という。しかし、現実には子供の性の問題にかかわることに消極的な父親が多い。「結局は母親が賢くなるしかないのかもしれない」と現状を話す。
インターネットや雑誌などのわい曲された情報も、少年たちに悪影響を及ぼしている。自分のペニスがいびつと思い込む「醜形障害」という心身症に結びつくなど、深刻なケースも少なくないという。神戸市立中央市民病院泌尿器科の思春期外来は毎月第2、4木曜の午後2時〜同4時半。完全予約制(078・302・5110)。
◇「親子で身体の話を」という雰囲気づくりを
民間のボランティア団体「ハートブレイク」は8年前から思春期の青少年を対象にした電話相談を開設。夏休みなどには小学生の親子を対象にした「親子性教育講座」も開催している。電話相談をしてくるのは男子中学生が最も多く、保健師や養護教諭ら女性スタッフの応対が好まれているという。
代表の黒瀬久美子さんは「親子で体の話をしていいよ、という雰囲気を幼い時から作るのが大切だ」と話す。特に幼児期から生活習慣として、性器の洗い方を身につけさせることが重要だという。男の子の場合、痛がらない範囲で包皮をむいて洗い、女の子にはクリトリスや小陰唇の内側などを洗うようしつける。清潔にすると同時に性器の構造を知り、性器の大切さ、自分を大切にすることなどを親から子へ伝えるきっかけになる。
子供が思春期を迎えると、性の問題は親子とも面と向かっては話しにくくなる。「親が知るため」という名目で、性に関する本をさりげなく子供の目につく場所に置いたり、テレビドラマのラブシーンなどを見ながら「私はこんな乱暴なキスは嫌」「コンドームつけずに、赤ちゃんが生まれたらどうするのかな」などと明るく語るのも一つの手という。親は「〜しなさい」「〜してはいけません」と命令しがち。しかし、「私はこう思う」というように親を主語にして話すことが大事だという。ハートブレイクの電話相談(06・4809・6628)は、月曜から金曜日の14時〜17時。
◇体と心を守るための教育を
家庭内の暴力防止や親教育に取り組んでいるNPO「女性と子供のエンパワメント関西」は11月、「メグさんの性教育読本」(木犀社)などで知られるカナダの専門家、メグ・ヒックリングさんを招き、各地で勉強会などを開く。ヒックリングさんは看護師の経験を通じて、約30年前から「性の健康教育」として、自分の体のことを知る大切さを訴えてきた。
勉強会などの予定は、岡山市=11月9〜10日、大人向け・子供向け▽大阪市=11日、大人向け▽和歌山市=15日、小学1〜3年向け・同4〜6年向け・大人向け▽大阪府茨木市=22日、小学1〜4年向け・高校生以上向け。子供向けは親も参観できる。問い合わせは、エンパワメント関西(0797・71・0810)へ。
◇おすすめ本
女の子のからだの絵本(1500円、アーニ出版)
男の子のからだの絵本(1500円、アーニ出版)
マンガ おれたちロケット少年―知ってる?おちんちんのフシギ(1500円 子供の未来社)
マンガ ポップコーン天使―知ってる?女の子のカラダ(1400円 子供の未来社)
ティーンズNOTE(1456円、神戸新聞総合出版センター)
ティーンズ・ボディーブック(952円、扶桑社)
ちんちんがやってきた―男の子のお母さんになったら読む本(1600円、学苑社)
メグさんの女の子・男の子からだBOOK(1600円、築地書館)
(2)Vol.98 ≪ 教 育 情 報 Magazine / ある小学校教師の独り言 ≫
“ よりよい学校教育を目指して ” 発行者/愛知@島原 洋
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