(1)EduMail)))【改革】小中一貫教育校設置目指し特区申請へ 奈良市
奈良市は、世界遺産による文化と国際色豊かな地域性を生かした教育への取り組みとして、教育特区制度を活用した9年間の小中一貫教育校設置を目指し、16日に内閣府構造改革特区担当室へ構造改革特別区域法に基づき申請を出す。認められれば、1校目を2005年4月に市立田原小学校(同市横田町)・中学校(同)で開校する予定。
計画したカリキュラムの内容は、9年間を前期4・中期3・後期2年で編成。思春期や環境変化による子どもの心理的ストレスの軽減を重視した。これまで総合的な学習の時間で行った地域学習や国際教育は、より体験的で問題解決能力を得られる系統立った内容にするため、郷土「なら」科、英会話科、情報科を新設する。
郷土「なら」科は、中・後期(小学5年から中学3年)の5年間で、伝統行事、産業、環境などを学ぶ。英会話科は「早くからの会話体験が効果的」と英語科とは別枠で小学1年次から設置し、中学校の英語教師や外国人の教師が指導に入る。
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具体的な動きが出て生きた。4−3−2という枠組みでカリキュラムを構成するようである。ぜひともチェックしていきたい動きだ。
(2)EduMail)))【行政】愛知県小牧市が生徒指導支援に非常勤講師
愛知県小牧市は4月1日、生徒指導を支援する非常勤講師8人を市内の中学校に配置する。市が9日発表した2004〜06年度主要事業に盛られた新たな試みで、教員免許を持たない人材も採用するのが特徴。市内9中学校を4地区に分け、1地区に2人ずつ置く。
職務内容は、不登校生徒の相談▽教室に入ろうとしない生徒への対応▽部活動指導――などで、校長の裁量で決める。週30時間程度を想定している。副島孝教育長は「心の教室相談員を慕い、不登校だった生徒が通学した例もある。できれば若い人が望ましい」と話している。
(3)EduMail)))【改革】「特認校制度」導入に向け特区申請準備 横浜市
神奈川県横浜市教育委員会は「特認校制度」の導入に向けて、本格的な準備を開始する。特認校とは、特色のある学校をつくり、その教育を希望する児童、生徒は通学区域外からも公募で受け入れる学校を指す。市教委は1月にプロジェクトを開始し、2005年度からの導入を視野に内容、数、配置のバランスなど具体的な検討に着手する。
特認校制度の目玉は、英語教育推進校。小学校の正規の授業科目として「英語」を導入する。英語は、学習指導要領で小学校の教科として認められていないが、地域の特性に応じた特例を導入できる構造改革特区制度を利用し、国から「教育特区」の認定を受け、実施する計画という。
横浜市教委は来年度中に、特区申請する方向で準備を進めている。東京都荒川区など16市区町で同様の申請が認められているが、政令市での導入はない。
推進校は、中学校の英語教員やAET(ネイティブスピーカーの指導助手)が授業を担当することになるとみられるが、ボランティアの活用も検討中だ。中学校と連携し、統一したカリキュラムも整備する。現在、市内の小学校では「国際理解教室」として、外国人と交流する時間を年間5時間設けている。しかし、横浜市は将来的に特認校を中心にして各校に英語教育を拡大する考えだ。
特認校制度としては、ほかにも高学年に教科担任制を導入する小学校などが計画されている。同市教委はすでに制度導入に向け、校区外から通学できる条件の緩和や手続きの簡素化などの準備も進めている。
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小学校の「英語科」創設に向けて、外堀がどんどん埋まっている。それ自体反対ではないが、それ以上に母国語が大切であることだけははずしてはいけない。思考は、基本的には言語という記号を介して行われる。
その言語とは日本語だ。日本語力は、思考力に大きな影響を及ぼす。
(4)EduMail)))【中教審】小中学校に「栄養教諭」制度の創設を答申
中央教育審議会は、小中学校に「栄養教諭」制度の創設を求める答申をまとめた。一般教諭や養護教諭と同様に免許制とし、給食の時間や特別活動などでの指導を通じて、無理なダイエットや偏食が指摘される子供たちの食生活の改善を図る。
ただし栄養教諭の配置は義務付けず、市区町村など学校設置者の判断に任せる。文部科学省は2005年度からの実施を目指し、通常国会に関連法案を提出する。
全国の小中学校には現在、栄養士や管理栄養士の資格を持つ約1万2000人の栄養職員が配置されている。給食の献立作りのほか一部で「食」に関する指導に携わっているが、地域や学校によって取り組みに違いが見られ、大半は教員免許を持っていない。大学や短大で必要な単位を取れば免許を与えられるが、学校栄養職員が一部の単位取得で栄養教諭になれる特例も認める。
(5)食育、初等中等期に学力の育成を(首相官邸)
第159回国会が1月19日、開会した。小泉首相は施政方針演説を行い、将来の発展への基盤作りについて、「新しい時代を切り拓く心豊かでたくましい人材を育成し、人間力向上のための教育改革に全力を尽くす。初等中等教育の充実による確かな学力の育成を図ります。心身の健康に重要な食生活の大切さを教える「食育」を推進し、子供の体力向上に努めます。地域住民による学校を活用した小中学生の体験活動を支援するとともに、学校の安全確保のための対策を講じ、社会全体で子供を育む環境を整備する」と述べた。また、教育基本法の改正については、国民的な議論を踏まえ、精力的に取り組んでいく、としている。
参照:第159回国会における小泉内閣総理大臣施政方針演説【首相官邸】
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「栄養」「食育」についての動きが急に盛んになってきた。もちろん、以前から農文協などが進めてきた食農教育という下地もあったろうが、むしろここでは健康教育の視点が強い。また、狂牛病対策、国内農業保護の動きも感じられる。いずれにしろ、総理大臣の施政方針演説にまで出てきたのは初めてのことだろう。
(6)EduMail)))静岡・ゴール横転事故 生徒死亡を苦に中学校長自殺
突風でサッカーゴールが倒れ、男子生徒が死亡する事故が起きた静岡市の市立清水第六中学校の池上光浩校長(58)が18日朝、同市内の自宅で首をつって死亡した状態で発見された。遺書があり、事故について「自分の力が足りず、申し訳ない」などと書かれていた。清水署は事故を苦にして自殺したとみて調べている。
市教委によると、遺書は自室の机の上に置かれていた。家族のほか、死亡した生徒の母親、同中の生徒、教頭らあての計10通あった。自筆で丁寧な文字で記されており、ある遺書は事故の謝罪に続いて「再びご迷惑をお掛け致します」と結ばれていたという。
同中などによると、17日の生徒の葬儀で、弔辞を読んだ池上校長は「ごめんなさい」と何度も繰り返した。事故後、責任を強く感じているようだったが、思いつめた様子は特に感じられなかったという。
同中では13日の昼休みに、校庭でサッカーをしていた3年の藤牧太一さん(14)が突風で倒れてきたサッカーゴールの下敷きになり、頭の骨を折って死亡した。
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これは大きな問題を残した。一人の人間を精神的に追いつめてしまう社会の仕組みが問題である。これは、同時に、事故の処理がシステム化されていないことにも通じる。校長以外の所で、再発防止、遺族のケアなど、分担して行われるべきであろう。人ごとではない。
(7)EduMail)))【行政】授業時間を2分延長 東京・世田谷区教委が各区立中に提案
東京都世田谷区教委は20日、新年度の4月から区立中学校の1授業時間を現在の50分間から2分延長して52分間とする「世田谷授業時間」を各学校に提案したと発表した。端数があると、生徒が時間を意識する効果が生まれるという。授業時間は各校が定めると学習指導要領で規定されており、52分授業を導入するかどうかは各校が判断する。同区教委によると、単位授業時間の延長は都内の公立中で初の試みだという。
2分の積み重ねで、年間の学習時間は39授業時間分増える。同区は3学期制をとっているが、この増加は2学期制でテストなどが減るのと同様の時間増だという。
52分授業を採用した場合の1日のスケジュールも例示した。それによると、朝の学級活動は従来より5分早い午前8時25分に開始。休憩時間は10分間から8分間、給食時間は30分間から28分間に短縮される。
会見で小野正志教育長は「1分間を大切にしてほしいから」と述べて、教師、生徒の意識改革の意義を強調し、同区教委は「クラブ活動を大切にすることも考えると、延長は2分くらいが妥当だと判断した」と話している。
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すごい発想だ!でも、普及するとは思えない。数字にとらわれ過ぎている。学力は、必ずしも授業時間に比例しない。授業時間外でも、児童・生徒が進んで学習したくなるような仕掛けのある授業、興味・関心を高め、生活の中でも学びを継続させる授業こそが何よりの解決策である。
(8)EduMail)))【学力】高3テストで「理数は苦手」裏付け 文科省・結果発表
文部科学省は23日、全国の高校3年生約10万5000人を対象にした教育課程実施状況調査(学力テスト)の結果を発表した。国語1は事前に想定した正答率を上回ったが、数学1と理科は大きく下回り、理数の学力不足が裏付けられた。同時に実施したアンケートで、約4割は授業で分からない部分を放置し、授業以外にほとんど勉強していないことも分かった。高校生の学力テストは40年ぶり。
テストは2002年11月、全国の国公私立の約1400校を抽出し、国語1、数学1、理科、英語1の4教科7科目で実施。各設問ごとに、正答するとみられる生徒の割合を想定した。国語1は想定正答率を約5ポイント上回り、英語1はほぼ想定通りの結果だった。しかし、数学1は想定正答率より11ポイント、理科(4教科)も約6〜13ポイント低かった。
個別の問題をみると、数学1では高校で初めて学習する三角関数の6問中4問で無回答が3割を超え、三角形の証明問題も無回答が6割に上った。数学1の全30問中、正答率が想定を上回ったのは1問だけ。理科の化学1Bでは、水溶液の濃度を計算する問題で4割以上が無回答だった。国語1でも、話の流れや文章の主題をつかみ、自分の考えをまとめる力が不十分なことが分かった。
一方、アンケートによると、5割近い生徒の授業以外での学習時間は1日30分未満。41%は授業以外の勉強を「まったく、またはほとんどしない」と答えた。36%の生徒は授業で分からないことがあっても教師や友人に尋ねず、そのままにしておくと回答した。
設問が違うことなどから、1956〜62年度に行われた高校生の学力テストとは単純に比較できないが、当時も数学と理科は出題者の想定より低かった。
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学校間で大きな力の差がない小・中学校に比べて、はじめからはっきりと力の差が出ている高等学校の調査は難しいと思う。どこまで統計的に信頼性があるのかは疑問だが、単に受験対策的な問題なのか、思考力を問う問題なのかは実際の問題を見る必要がある。