第213回 社楽の会報告    第212回へ    第214回へ
                                           
報告者  土 井
2004年7月15日(木)布袋北学供にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
土井(大口北部中)、早川先生(江南北中)、斉木先生(犬南中)、奥村先生(岩南小)、天野先生(大西小)、浅井先生(五条川小)、大島先生(古知野中)、岩井先生(木曽川中)、野沢先生(柏森小)、大野先生(岩南小)の10名でした。

☆ 土井より、今回紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。

 愛知県小・中学校教育課程フォーラム 全体講演
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 教育関連情報
 部落解放をめざす愛知研修会
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愛知県小・中学校教育課程フォーラム 全体講演
 その時にモバイルでメモしたものを紹介します。メモから内容を読み取ってみて下さい。
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 平成16年7月6日
 愛知県中小企業センター
  国立教育政策研究所 教育課程研究センター研究開発部
   教育課程調査官 笹尾幸夫氏  演題「確かな学力の育成に向けて」
 
西尾市出身
名大 刈谷東高校教諭、安城南高校など
H14 国研へ、文科省教科調査官兼任、化学教員
 
1 学習指導要領改訂の背景
 国際調査などでは
 理科 TIMSS 小4  2位 26カ国中 1995
        中2 4位 38カ国 1999
    PISA 高1  2位  31か国中 2000年
 2004年12月7日
    PISA 数学的リテラシー  結果が出る予定
 2006年理科リテラシー・理科に対する意識
   理科好き、勉強が楽し、化学の仕事に就きたい、生活の中で大切 みんな少ない
   理科好きの割合 小4では変わらないが中2では、韓国の次に低い
 学習時間の学年による変化
   学校以外では勉強しない
 読解力のレベル割合 OECD平均
   トップレベルが多くないがその次が多い
 
11月25日 
シュライヒャーさんの講演
 日本の男子は低いレベルが女子の2倍、学校に帰属意識を感じられない生徒が多い
 ホワイトカラーの職に就くと予想する男子が少ない 日本50% 平均65%
 夢を失いかけている
 科学技術に注目する公衆(一般の人)の割合 H13
  注目するのは日本4% 関心23% 非常に低い
 科学技術の基礎的な概念理解度
  概念共通10問
   日本 51% 
   世界的には低い
 
2 学習指導要領改訂の特徴
   ゆとりのない、社会性の不足、いじめ不登校
   国際化、情報化、科学技術の発展、環境問題
  ゆとりの中でいきる力をはぐくむ
   豊かな 自ら 基礎・特色 目標に準拠した評価
  授業時数削減、3割削減
  個に応じた指導の充実
  体験的、問題解決的学習活動重視
  総合的な学習の時間の創設
  選択学習の幅の拡大
  学力低下という意見も出たが、全国調査ではおおむね良好
   中1,2の理科、中3の英語以外
   社会、算数 以前と同じ問題を出した比較で下回る
  2月に結果が出る
 
3 確かな学力育成に向けた国の動向
   中央教育審議会 5分科会
   初等中等分科会 の下に 教育課程部会
 
生きる力
 確かな学力 … 学び方、学ぶ意欲、知識技能、判断力、表現力、問題解決能力、課題         発見能力、思考力、基礎基本
  知識や技能に加え学ぶ意欲や自分で課題をm居着け自ら学び自ら考え、主体的に判断し、行動し、 よりよく問題を解決する資質や能力など
  ・豊かな人間性・健康体力 と共に確かな学力も生きる力の一つ
 
ねらいのよりいっそうの実現のために
 わかる授業を行い、確かな学力を育成
○ 基準性の一層の明確化
   特に必要がある場合は示していない内容も指導できる
    補充・発展、深化・応用など
○ 総合的な学習の一層の充実
   各教科との関連づけ
   学校ごとに目標、内容を定める
   学校ごとに全体計画を定める
   子供の実態と状況に応じた適切な指導と学校外の教育的資源の積極活用
○ 個に応じた指導の充実
   習熟度別や発展学習、補充学習を取り入れた指導
   必要な指導時間の確保
   基礎的・基本的な内容の定着に必要な指導時間の確保
   時間割の見直し
   短縮授業の見直し、
年末に一部改正
学校の授業の理解度
 小 7割、中 5割、高 3割
 8割ほしい
新しい学習始動要領の説明をしたか?
 小7割 中5割 
学習始動要領の一部改正 ・12月26日 
教科別専門部会
 学力向上アクションプランの推進 43億円
 
4 確かな学力を育成にむけ各学校に求められる取り組み
 わかる授業の実践、学習意欲の向上を図る指導
目標に準拠した評価
 1 なぜ評価するのか
    生徒の優れている点や努力している点、学習面で躓いている点などを見いだし、それを伝え、生徒の学習意欲を向上させると友に、学習状況を改善して、生徒の能力をさらに伸張させる
 生徒の実現状況を表かすることで、自らの指導方法を見直し、指導の改善に結びつける
  →指導と評価の一体化
評価の改善の前に授業改善
 
 2 何を評価するのか
    知識や技能の実現状況だけでなく、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力・・・・
    4観点
 3 だれが
    評価の実施者は教師だけだったが、生徒が行う自己評価。相互評価
    生徒の自己評価力を育成
 4 いつ
    学習後、学習の前、学習過程
    結果主義からプロセス重視
    ポートフォリオを高校にも取り入れる
     評価したものをすべて記録に入れなくてもよい
     目的に応じて、単元ごと、時間ごとなどを工夫
 5 どのように
    評価規準を作成し、評価規準に基づいて評価
     ペーパーテスト、観察、面接、作品やノート、レポート、
     パフォーマンス、など多様な評価
    評価の方法と評価の場面を事前に設定
     アドバイスカード、BをAに
 
評価の力量向上を目指して
 1 ペーパーテストの問題の工夫
    観点別の問題、質的な違いをみる問題
 2 評価研修会の実施
    ワークシートとなの評価研修会など
    準備、作業、発言を授業者と参観者が評価
 3 評価規準の見直しと修正 
   教科の特殊性、共通性
    評価の工夫開演に関する総合的推進地域事業
    ひたちなか市教育委員会
    評価は主観 その主観を客観に近づけていく
    

 便利Web特集
(1)話題のlivedoor http://blog.livedoor.com/ Blogがもてるサイト
 
(2)太陽系模擬装置企画
『太陽系シミュレータースタジオ』は、天文科学教育の普及のうえで重要な役割を担うプラネタリウム、科学館、博物館での演示を目的に開発されたフリーウェアです。太陽系の姿を3次元空間に忠実に再現し、簡単な操作で地上と宇宙空間とをシームレスにつなぎ、様々な天文現象を再現します。
http://www.sssim.com/jp/index.html 
 
(3)いくとこガイド
「いくとこガイド」は、ベースマップに航空写真を表示することができる地図情報サービス。
地図画面下の「航空写真」のボタンを押すと、表示中の地図が航空写真に切り替わる。
航空写真の表示縮尺は1/4000〜1/20000。
http://www.ikutoko.com/ 
 
(3)ZENRIN
自転車用ルート探索機能を追加した地図ソフトが発売される。ルート設定に「自転車」モードを追加し、同モードでは、道幅が狭い一般道も探索対象としたルート探索が可能。これまでの車での移動に加え、自転車や歩行を想定したルートシミュレーションが可能になる。
http://www.zenrin.co.jp/ 
 
(4)空調服
服と下着との間に大量の空気を吹き込み汗を蒸発させ、その際の気化熱で体を冷却するワイシャツ型の空調服が発売された。ワイシャツに充電池とモーター、ファンを内蔵する。実験では、室温33℃・湿度70%の室内で、空調服のスイッチをONにすると、背中の体表温度は約30.5℃に保たれるとのこと。http://www.rakuten.co.jp/pc2b/index.html 
 
(5)人権教育の指導方法等の在り方について
  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/024/report/04062501.htm 
 
(6)日本食品衛生協会ホームページ
 食品衛生に関する厚生省からの通達事項や食中毒の予防方法等を紹介。
 ブドウ球菌、ボツリヌス菌、サルモネラ、セレウス菌他による食中毒を解説した「知ろう!防ごう!食中毒」は特におすすめ    http://www.n-shokuei.jp/ 
 
(7)事故情報
 「医療事故・食中毒など」のページでは、2002年以降、給食などで発生した食中毒や医療事故など学校で起った健康被害に関する事件データを掲載。
 http://www5d.biglobe.ne.jp/~tanken/danger/da-acc.htm 
 
(8)平成16年「情報通信に関する現状報告」(情報通信白書)の公表
【総務省】http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/040706_1.html 
 白書では「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」を特集
 
(9)熱中症予防情報 by日本気象協会
 予想される気象条件に過去の熱中症発生件数の事例を加味し「ほぼ安全」「注意」「警告」「厳重警戒」の4段階で熱中症予防情報を提供。1週間先までの情報を確認できる。
 http://tenki.jp/heat/index.html 
 
(10)熱中症、熱射病、日射病のホームページ
 スポーツ、運動中における暑熱障害・熱中症・熱射病などの予防法、応急手当の仕方など。
 http://www.heat.gr.jp/ 
 
(11)「Win書道」は、パソコンで書道が楽しめるユニークなソフト。マウスで墨を磨ったり、オリジナルの印鑑を作ったりと、パソコンならではの楽しみ方ができます。筆の太さ、にじみ、かすれ具合など、筆の感覚をリアルに再現。また、1600万色から墨の色を選べるので、ペイントソフトとしても活用できます。
    http://www.sourcenext.com/products/winshodo/ 
 
(12)子ども向け白書「ジュニア農林水産白書」の作成(農林水産省)
 農林水産省はこのほど、子ども向け白書「ジュニア農林水産白書」の作成した。白書は、農水産物の輸出や地球温暖化対策、水産資源をふやす取組など、最近注目されている取り組みも加えて内容を充実、13万部印刷、希望する児童・生徒や教育現場に無料で配布する。
参照:子ども向け白書「ジュニア農林水産白書」の作成・配布について
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20040713press_1.htm 
 
 教育関連情報
(1)中学校の絶対評価
 神奈川県教委は6月30日、来春の公立高入試に向けた改善策を発表。中学校はまず知識や関心などの観点別に生徒の到達度を評価し、これを「1」から「5」の評定に換算しているが、県教委は換算の統一ルールを新設した。
 現在は中学が各教科での到達度を、四つか五つの観点別に各A〜Cの3段階で評価。これを5段階評定に換算する。例えば到達度「AAAA」なら「4」や「5」になる。しかし県教委によると、今春は「AAAA」の生徒全員「5」とした中学がある一方で、「5」が1人もいない中学もあり、不公平だった。
 このため同教委はAの上に「Ao」、Cの下に「Cx」を設けて5段階としたうえで、この5段階を0〜4点に点数化。例えば4観点の合計点で「14点以上『5』」などとする換算基準を定めた。各中学に今学期からの適用を求める。また市町村教委の同意を得たうえで、県内全公立中の3年生の1学期(前期)の成績分布を、校名も含めて9月から11月に公表する。
 ただ、成績の元になる到達度評価の基準そのものに「甘い辛いの幅があると思われる」(山本正人教育部長)のが現状。県教委は今後、各教科や単元ごとに改めて詳細な評価基準を作るが、完成は来年度以降になるという。
☆★☆コメント☆★☆
 この記事には、高校サイドからの批判が続いている。
 その批判には、そもそも、誰のための、何のための評価かと言う視点が抜け落ちている。
 有田学級の子どもたちは、絶対評価を行えば、多くが4か5であろう。関ヶ原中学校の音楽も同様。指導者の力量が違えば、到達度が違って当たり前である。
 相対評価時代は、不登校がいなくて、クラス全体がまとまり、全員で力を高めていったクラスでも1割の子に1をつけざるを得なかった。逆に、不登校の子が多いクラスでは、授業中に寝ていても2がついた。その矛盾を解消するための絶対評価だったはずである。
 メリットをめりっとして認めていかないと、また相対評価に戻ってしまう。
 
(2)教職員の施策提案105件(埼玉県)
 埼玉県教育委員会は、教職員の生の声を教育改革の施策づくりに活かし意識改革をねらい施策募集を行っていたが、105件の応募があったと発表した。施策の内容は、児童生徒に豊かな心をはぐくむための取組が39件、信頼される学校づくりのための取組66件。県教委は、優秀提案賞1件、提案賞5件を決定した。
http://prosv.pref.saitama.jp/scripts/news/news.exe?mode=ref&yy=2004&mm=7&seq=44 
☆★☆コメント☆★☆
 詳しい内容は分からないが、職員の提案を募集するのは企業ではよく行われているシステムだ。
 教員は、よく実践を論文でまとめたものが評価されるが、論文は大きすぎ、機動力に欠ける。もっと、コンパクトな提案方法、たとえばTOSSのような、微細な教育技術でも提案できるようなシステムがあれば、誰にでも提案でき、また、追試できるであろう。
 脳機能の活性化トレーニング
 学力フロンティアスクールは全国に数あるが、多くは少人数や習熟度別のクラス編成など、授業の形を工夫しているのではないだろうか。もちろんそれも悪くないが、みんな同じことをやっているのだったら、「フロンティア」とよべるものか疑問だ。
 おもしろい学校がある。
 小牧市の中学校では、授業の初めに川島理論による脳のトレーニングを行っている。
 授業の初めに、1〜120まで声を出して数えるのである。それにより、脳機能が活性化し、以後の学習に役立つというのだ。
 これはある意味で正論だと思う。しかし、実際に意図的にやっている学校は聞いたことがない。
こうしたことを研究するフロンティアスクールがあってもいい。
 さらに、この中学校では、人間関係を育ててることを学力向上に結びつけようとしている。これも画期的である。
 
 脳科学レポート
脳を知り、脳を守り、脳を育てる
川島 隆太=文
 http://www.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/manabi17/mm17-45.html 
川島隆太
http://www.pref.gifu.jp/s11121/noukagaku/kawasima_kouenroku.htm 
  
 部落解放をめざす愛知研修会 
 大口町から一人の参加要請があり、7月15日に名古屋市公会堂大ホールで行われた第28期部落解放講座へ参加した。主催は部落解放愛知県共闘会議である。
 午前は「公正な採用選考に向けた三重の官民一体となった取り組み」というテーマで、高校の先生の講演だった。テーマを見たときはおもしろそうと思わず、他の本でも読もうと思ったのだが、実際の生徒との関わり、そして現在の取り組みに至る過程はとても考えさせられた。なにより、自分の人権感覚の甘さを痛感した。
 
 高校卒業予定者で就職を希望する生徒は履歴書を書く。その履歴書は「全国高等学校統一用紙」というものが使われている。
 熊本県では、以前のバージョンの用紙である1985年から、「保護者氏名欄」「本人との続柄」「年齢」の各欄について記入せず、斜線を引く取り組みが続いている。さらに「課程名」にも斜線を引いている。ここまで読んで、なるほどと思う人は鋭い。自分は、なぜ?という疑問が浮かんだだけだ。
 現在のバーションでは、用紙の名前が「履歴書・身上書」が「履歴書」に、「男・女」の○囲みが「性別」記入欄に、「家族欄」は廃止、保護者の「本人との続柄・年齢」は廃止された。すべて、人権への配慮からだ。それでも、保護者名だけは残った。
 三重県では、熊本の取り組みを知った教師の働きで、平成15年4月22日付けの趣意書で、各事業主に次のように配られた。

 (前略)その中で、「保護者氏名」につきましては、応募者本人の能力・適性に関係がなく、採用・選考時に不必要な情報であり、様々な事情で応募者本人とその保護者の姓が異なっているなどの場合は、採用・選考に際して不利益を受けることも懸念されます。
 そのため、平成15年度より、三重県では、新規高等学校党卒業予定者の応募にあたり、統一して「全国高等学校統一用紙」の履歴書の「保護者氏名」のらんにあらかじめ斜線を記入した用紙を使用することにしました。
 
 この差出人が、三重県労働局職業安定部長、三重県教育委員会教育長、三重県生活部長、三重県高等学校長協会会長、三重県高等学校進路指導協議会会長の名で出されたものであるから意味がある。
 
 さらに、三重県高等学校進路指導協議会会長名で、次のような文書が各事業書に配られている。
次のような就職差別につながる事柄をやめてほしいというものである。

(1)「家の所在地」「家族構成」「家族の職業・勤務先」「家族の人柄」「本籍」など身元調査に関  わる事項、「信仰する宗教」「購読新聞」等思想信条に関わる事項について面接で質問したり、  書類の提出を求めること。
(2)健康診断、血液検査を、採用選考時に行うこと
(3)「全日制・定時制・通信制」や「性別」などによって差をつけること
 
 そして、実際に次のような問題が指摘されている。
・家族構成を聞かれた  ・面接時に兄のことを聞かれた  ・面接時に「尊敬する人」を聞かれた
・面接時に「何人家族か」を聞かれた  ・親の年齢についての質問
・応募の際「両親への感謝」という題の作文提出を求められた
・面接時に「父の仕事」「兄弟は何人か」を聞かれる。
 
 いかがであろう。自分の感覚は、人権感覚からずれてはいないだろうか?

 メルマガ紹介
【教育記事から教育を考える】 2004年7月9日(金) 作者:中土井鉄信   
               VOL.86(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)
☆★☆コメント☆★☆
 作者については詳細は分からないが、企業人だと思われる。その論調は教育界外の多くの声を代弁しているといっても過言ではない。絶対評価については以前より警鐘を発信してきた。神奈川の記事にふれているので紹介したい。
 
『今日のテーマ』 
絶対評価は、何のために導入されたのだろうか!
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【記事】絶対評価「統一ルール」は入試調査書のみ 横浜市 (7/7)毎日新聞
○中学校間で絶対評価に大きな格差が生じている問題で、神奈川県教委が発表した評定方法の統一基準について、横浜市の伯井美徳教育長は1日、毎日新聞の取材に「高校入試の調査書に使う絶対評価
にのみ県教委の方法を踏襲する。通常の成績評価に使うかどうかは各校に任せたい」との考えを示した。
○県教委は「1」〜「5」の評定を出す前段階に、生徒の理解度や意欲などをみる「観点別評価」について、従来のA〜Cの3段階評価から5段階にし、それぞれ0〜4点で点数化する基準を新たに作
成。これを高校入試の調査書用の評価だけでなく、通常の成績評価にも取り入れるよう各市町村教委に求めていた。
○伯井教育長は「調査書に記載する評定には統一した基準が必要」として改善策を評価したが、「入試のためだけに評価しているのではなく、通常の成績評価まで統一する必要性はない。分けて考える
べきだ」と話した。
○また、県教委が5段階評価でCの下に「x(バツ)」を設け、配点を「0点」としたことについて、「×やゼロは子供の評価になじまない。教育上の配慮が必要」との判断から市教委独自の方式に変
更。Cの上に「o(マル)」を設けてAo、A、B、Co、Cの5段階とし、各段階を1〜5点に点数化することを決めた。
 
『コメント』
◇絶対評価が、入試の選考資料に適さないことは、導入当初からわかっていた。このメルマガでもそのことを幾度となく指摘しておいたが、今回の神奈川県並びに横浜市の教育委員会の決定は、絶対評
価の運用を相対評価に近づけることを狙いとしたものだ。
◇しかし、横浜市は、入試の資料としてという限定付きで、統一基準を採用し、その他の通常評価は、今までと同じ各学校の基準に応じたものとして、分けて考えるとしている。それは、なぜだろうか。
絶対評価の導入の狙いが、生徒のやる気を喚起させるためのツールだからだ。今までの相対評価であれば、皆が頑張れば、自分の相対的な地位は何も変わらず、がんばりの努力は評価されない。そうす
ると学習意欲は減退し、学校生活上の問題行動等が起きやすくなる。
そういう弊害を取り除こうと、相対評価から絶対評価へ向かった節がある。
◇以前、私は、絶対評価の導入で、学校はある程度ワンダーランド化すると指摘したことがあるが、それは、全体的に評定が上昇するし、簡単によい評定が取れるから学校が楽しくなるだろうというこ
とだった。そして、高校入試の時は、その絶対評価の評定では学力が測れないから、入試の合否の結果、今までの楽しい学校生活が悲惨のものに変わってしまうだろうとも指摘しておいた。
◇横浜市の決定は、中学校生活の大半を絶対評価という一教師の恣意的な基準による評定で過ごさせて、高校入試の選抜資料に使用する成績は、突然神奈川県の統一基準に照らし合わされた絶対評価と
銘打った相対評価的な評定で行われるということだ。これでは、今までの絶対評価の評定と高校入試直前の評定の誤差は、どう説明をつけるのだろうか。「基準が違うから評定も違うのだ。」という説
明では、誰も納得しないのは、火を見るよりも明らかだ。生徒の学習能力を評価するのに、大幅に評定が違っていいはずがないだろうと思う。しかし、選抜資料になる評定は、ここ2年間の絶対評価の
評定とは随分と違うものになるはずだ。そうしなければ、今春の絶対評価のバッシングを受けた改革だということは言えなくなるだろうから。
◇今までの楽しい中学校生活は、入試直前にシビアに評定され、志望校を落とされ、がっくりした状態で中学校を卒業していく可能性をどんどんと広げていく、そういう決定のように思う。
◇誰のために絶対評価を導入したのか。生徒のためだ!というのなら、もう一度抜本的に評価方法を変えるべきではないだろうか。もし、絶対評価は、高校入試を学力重視に持っていくための一つの方
法論だというのなら、この狙いは、すばらしく功を奏している。絶対評価のようなあいまいで不平等な評定を入試の資料とするのをやめて、入試の学力で判定しようという動きが、全国で非常に強くな
っているのだから。
 
7 夏休み特別講座     別紙で紹介しました。

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp