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報告者  土 井
 2008年10月16日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
参加者は,土井(岩南中)、高木先生(犬山中)、奥村先生(岩倉南小)、小澤先生(扶桑東小)、天野先生(大口町教委)、高橋先生(曽野小)、早川先生(江南北中)、尾関先生(岩倉市教委)の計8名でした。

土井が紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。

  第41回全国中学校社会科教育研究会大会名古屋大会
 教師力アップセミナー 野口芳宏先生
  キューバ関連書籍紹介
  『一流の思考力』シンク!別冊
  役立ちWeb特集  
  教育関連情報    
  MM紹介

 第41回全国中学校社会科教育研究会大会名古屋大会
    テーマ『人間の生き方を問い続ける社会科学習 「共創」-共生へのキーワード-』
     11月6日(木)、7(金) 土井が公民的分野の指導助言者になっています。
   その理論は次で紹介されています。  http://ep.nta.co.jp/nagoyaed/zenchuusha/
   丹葉地区がやってきたことととても似ています。  
   全中社HP    http://www.zenchusya.com/ 
 
 
 教師力アップセミナー 野口芳宏先生
 今年もまた国語の授業名人をお招きし、本セミナー設立の原点である授業の本質に迫りました。さすがでした。
 その内容は、http://school55.net/kyoushi/ で紹介されます。
 キューバ関連書籍紹介 (ネットの紹介より)
『世界がキューバの高学力に注目するわけ』吉田太郎(築地書館)\2,400+税
 フィンランドと並ぶ頭抜けた高学力、フリーターも心配無用----------
 いま世界で注目を浴びる「格差なき教育大国」キューバの革命的教育法の謎を解く!
 幼稚園から大学まで教育費はタダ。小学校は20人、中学は15人の少人数教室。過疎地では生徒一人の学校も維持し、地域間格差を作らない。障害児も普通校に転入できるまで付ききりで指導する。中南米統一国際試験で2位を大きく引き離す高得点をあげ、世界の教育専門家を驚嘆させたキューバは、ユネスコがフィンランドとともにモデル国に推奨する教育大国だ。
 競争はする。だが、それはクラスメートと助けあうため。半数の子どもが学校に通えず、100万人が読み書きができず、国民の平均学力は小学校3年レベル。革命以前の低学力格差社会から出発したキューバは、独自の教育理論で科学技術大国へとのしあがる。
 地域ぐるみの子育てや高校生を教壇に立たせる緊急教員の養成で1990年代のソ連崩壊による経済危機を乗り越えたキューバは、観光やバイテク製品、医療技術援助で外貨を稼ぎ、年12パーセントという空前の経済成長を達成する。
 だが、好景気がもたらしたのは、ニューリッチ階層出現による格差社会、採算割れの基幹産業である製糖業の大リストラ、そして、若者の未来への希望喪失という新たな難題だった。
 革命は教育の充実と全国民の教養水準の涵養をもってしか維持できない。政治の表舞台から消えたカストロが残した一手は、教育を通じたフリーター全員の雇用と万人のための大学、幼稚園からのパソコン教育、そして、貧しい途上国への教育援助だった。
 「人間は教養を身に付けてこそ自由になれる」--------祖国解放を夢見て志半ばに散った革命の英雄ホセ・マルティの言葉を胸に、世界で最も文化水準高き国となることを目指すカリブの小国の実践は、ワーキング・プアや教育格差の広がりに直面する日本に明るい希望をなげかける。
 幼稚園から大学まで学生や教師、文部担当官僚、元大臣への現地インタビューを通じて、世界が瞠目する「持続可能な医療福祉社会」を支える人材育成の謎に迫った最新リポート。
 
『小さな国の大きな奇跡−キューバ人が心豊かに暮らす理由』吉田沙由里(WAVE書房)\1,600+税
 キューバは日本の昭和30年代のような、質素で自由で心豊かな国だった。無料医療を中心とした、キューバ人の豊かな暮らしを伝える。格差社会ニッポンに今必要な要素が見つけられるのでは・・・?!
 今まで明かされなかったキューバ国民の暮らしや精神が素直に描かれた一冊。現在アメリカ化されていく日本に失いかけている大切な精神が、カリブ海に浮かぶ小国に大きな奇跡を生み出している。
今、日本人が必要な生き方がここにある!  
 
 
 

 『一流の思考力』シンク!別冊
     (ネットの紹介より)
 問題を解決する。経営戦略を立案する。マーケットを読み解く。自らのキャリアを設計する。Etc.
 その時、一流のプロフェッショナル達は、何を基準に、どんなアプローチで思考を組み立てているのか。Think! 創刊号(2002年)以降の全バックナンバーから、「思考」に関する特に評価の高かった記事を厳選し再編集した超豪華版。日本を代表するビジネスリーダー13人の、珠玉の思考メソッドが凝縮された1冊です。

 役立ちWeb特集 
(1) 社会 ◆学習指導要領改訂のポイント
 
(2)子供のインターネットや携帯電話利用についての実態調査 東京都教育委員会
 東京都教育委員会は、、「子供のインターネットや携帯電話利用についての実態調査」の結果を公表。携帯電話の保有率と利用状況は、小学校:38.4%(メール21.3回/サイト5.8分)、中学校:66.4%(21.3回/35.0分)高等学校:96.2%(20.0回/63.3分)。
 
(3)オリジナル写真集を低価格で作成できるサービス
 デジカメで撮影した写真をフォトブックにしたりプリントすることができるサービスがスタート。
表紙はハードカバーもしくはソフトカバー、サイズはS(140mm×140mm)もしくはM(200mm×200mm)を選べる。20ページの料金は、ソフトカバーのSサイズが1980円。
 
(4)プロジェクターケータイ
 携帯電話に小型DLPプロジェクタを内蔵した「プロジェクターケータイ」のデモ機が登場。解像度は480×320ドットで、光源にはLEDを利用、暗室であれば40型超の投射が可能。購入したビデオやゲーム、カメラ機能で撮影した映像を多人数で楽しむことができる。
 
(5)いまさら聞けない?!温暖化の正しい10の知識
           
(6)全国的な学力調査について
 
6  教育関連情報
(1)南部町学テ開示 文科相も「問題」(鳥取)
 南部町教委が全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の学校別結果を開示にしたことについて、塩谷文科相は7日の記者会見で、「あってはならないことだ」と批判した。これに対し、平井知事は同日の県議会の一般質問で「国が口を挟む道理はない。県や市町村の教委は配下だとの意識が強く現れている」と厳しく指摘した。
 塩谷文科相は「学校別結果を公表するかどうかは、(実施要領で)各学校の対応に任せられている。町教委が開示請求に応じたのは、問題だと思う」と述べた。一方で、公表の基準について「いろんな意見があり、2年間実施してきた状況を見ながら検討していく必要がある」とし、見直す可能性も示唆した。
 一方、平井知事は答弁で「この国は地方分権を主張しているはずなのに、どこの国での発言なのか」と文科相発言を批判。取材に対し「開示は条例に基づいて行われており、地方自治の範囲の話だ。文科省に介入する権限はない」と強調した。(2008年10月8日 読売新聞)
☆★☆★ コメント ☆★☆★
 学校別結果とは何か?ある報道によると、平均点でそうだ。教育に対するマスコミの、または行政の関心とは、ここまで低レベルのものなのか?文科省が主催で行っているものに対する、平井知事の「地方分権」発言も筋が違う。
 

 
 MM紹介
(1)【教育記事から教育を考える】  2008年10月10日(金)
  作者:中土井鉄信             VOL.304
【記事】大阪府 市町村別成績公開へ   読売新聞(2008年10/8)より以下抜粋
■学力テスト 知事が方針
○大阪府の橋下徹知事は、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の市町村別成績を公開する方針を固めた。
○府への情報公開請求に対し、府情報公開条例に基づいて判断した。府は市町村名を示す考え。すべて公表されるのは都道府県で初めてとなる。「地域の序列化につながる」と公開に反対する文部科学省や、すでに市町村として非公開を決めた府内自治体の教委などの反発が起きそうだ。
○市町村別の科目別正答率のほか、成績と補習授業や早寝・早起きなどの関連の分析結果を公表する準備を進めている。
○市町村別成績について、文科省は各市町村教委が自ら公表することは禁じていないが、都道府県教委には通達で非公表を要請しており、府教委は9月16日、情報公開請求に対し、非公開を決定。橋下知事は翌17日、府教委から市町村別成績のデータ提供を受け、検討していた。橋下知事はこれまで、「結果が示されないから市町村教委は甘えている」として公表を主張。府内の一部自治体はすでに自主公表したが、「点数だけにこだわるのは教育の本質を忘れている」とする吹田市などが公表を見送っている。(以下略)
*私からのコメント
◇ 全国学力調査の結果公表については、賛否両論あるが、今回、大阪府で公表に踏み切る。まずは、テストは、どういう目的で行われたのだろうか。そして、そのテスト結果をどういう風に活用するのだろうか。この点を明確にしない限り、テスト結果の公表が、どういう意味を持つのかは、人それぞれの推測になるはずだ。そこで、私の推測。
◇ 学校選択制が、普及したこの時代に、テスト結果を公表するということは、学校の序列化を生み、テストの出来不出来を固定化する可能性を孕んでいる。それは、テスト結果の良い地域(多分、その地域のどの学校かも特定できるだろう)に生徒が集まるからだ。
◇ 全国学力調査は序列化を助長するために実施したわけではないだろうから、結果公表よりも、行政単位の弱点なり、成果なりをその教育委員会が把握し、次年度の教育方針の指針にすればよいはずだ。
◇ 子どもや保護者の学力忠誠競争を煽ることはない。このことにかこつけて、知事ともあろうものが、物議をかもして、関心を引くことはない。テスト結果の公表よりも、施策と効果の検証と結果分析こそをしっかり行うことが重要だと思う。保護者は、こういう結果に一喜一憂するものだ。何も保護者を惑わすことはないように思う。
☆★☆★ コメント ☆★☆★
 もっともなコメントである。
 そもそも、問題数の多いテストで、平均点が50点ほどの正規分布のものなら、平均点を出す意義は認められる。今回のB問題のような少数で採点基準が曖昧な問題、A問題のような高い正答率のものでは平均点の客観性は薄れる。たとえば、外国籍の生徒が1割もいるような学校ではどうなる?国語や数学のB問題は点がほとんど取れない。そこで平均を出して比較して意味があるのか。数字にすると一人歩きし、本質を見失う。
 フィンランドやキューバでは、競争原理を排除して教育の質が向上した事実をもう一度噛みしめたい。
 
(2)【日本史斜め読み】 vol.158 地域性と「日本の歴史」@北陸地方 (その3)
 お怒りと誤解を覚悟で書くならば、「北陸地方は『日本史』の中核になりにくい地域」といえます。
●継体天皇など、初期の「朝廷」のキーパーソンが登場した地域である。
●「渤海」との関係を解くことで、中国・朝鮮半島の諸王朝以外の古代日本社会との外交関係に焦点をあてられる のではないか。
●木曾義仲(源義仲)が平家打倒を目指して進軍したのは北陸路ではないか。そもそも、義仲にとって最も有名な戦いともいえる「倶利伽羅峠の戦い」は北陸地方ではないか。
●「勧進帳」の舞台である。
●南北朝の争いで南朝方の最有力武将の一人、新田義貞は北陸地方で討ち死にしている。南北朝の戦いで新田氏を中心として北陸地方で北朝・足利氏と抗争した拠点ではないか。
●「加賀の国一揆」(一向一揆)に代表されるように、織田信長による本願寺制圧までは「戦国時代最大の民衆勢力」だったのではないか。「民衆の歴史」の観点から日本史を眺めるならば一向一揆の勢力拡大の契機となった北陸地方の風土・政治的背景を分析することは無視できない。
●「加賀百万石」という日本有数の穀倉地である。
 
また、弊誌の「範囲外」になりますが・・・
●幕末に登場するキーパソンの一人、松平春嶽(しゅんがく、または松平慶永、よしなが)の領国は北陸地方である。
●「安田財閥」(のちに、旧・安田生命、旧・安田火災、旧・富士銀行ほか)を一代で築いた安田善次郎の出身地は富山県である。日比谷公会堂や東大の安田講堂を「寄付」した業績は特筆すべきである。
●「米騒動」の発火点は「北陸地方」であり、当時の内閣・寺内内閣崩壊の大きな原因になったのではないか。寺内内閣をうけた原内閣が日本で最初の「本格的な政党内閣」(註)として小学生でも知っている。
(註)「最初の政党内閣」を形式的に解釈すれば、大隈・板垣による「隈板内閣(わいはんないかく)」がこれに該当します。
 などなど、数々の反論が思い浮かびます。というより、前述のいくつかは弊誌誌面上でご紹介した
内容でもありますが。
 さらに、
●「応仁の乱」発生の背景には、将軍継承争いがある。8代将軍・足利義政は当初、弟の足利義視(よしみ)を 後継指名したが、応仁の乱をへて足利義政と日野富子の間に生まれた足利義尚(よしひさ)が将軍職に就任した。しかし、義尚が病死したために義視の子・足利義稙(註)が将軍に就任。
  義稙は管領・細川勝元の子、政元による政変によって将軍職を追われたが、足利義稙が一時身を寄せたのは越中(現・富山県)である。
(註)足利義稙は「足利義材(よしき)」など複数回の改名を行っていますが、ここでは一般的にもっともよく使われる「足利義稙」の名を用いています。なお、足利義稙はのちに西国一の守護大名・大内氏(大内義興)の後ろ盾をえて、将軍職に復位します。
 などと書けば、「足利義稙と北陸地方」というネタだけで弊誌を数回発行できるかもしれません(筆者にその能力はありませんが・・・)。
 前置きだけで前半部分を使ってしまいましたが、以下、本題です。
 
 本文冒頭で「『北陸地方は「日本史」の中核になりにくい地域』といえます。」と書いた筆者が墓穴を掘った形になりますが(苦笑)、ここであげた日本史の史実をながめてみても、「○○の舞台」といった歴史のヒトコマにはなりうる要素は北陸地方にたくさんあります。
「前半部分」で列挙したように、「北陸地方」をテーマにした歴史的な挿話は枚挙にいとまがありません。
「日本の歴史に興味をもつ」ことを最優先にするならば、「北陸地方」は(他の地域の例にもれず)多くの郷土史に恵まれています。
ただ、「北陸地方を中心として『日本史』をある程度の体系性を備えた説明ができるか」と問われれば、現時点での筆者では「否」と答えるよりほかありません。
 たとえば、古代(奈良以前・平安)には京都・奈良を中心とした近畿地方、中世(鎌倉・室町)には鎌倉・京都、近世(江戸)には江戸・大坂・京都といったように、時代ごとに変遷するものの「核」となる地域が出現します。
「地方の歴史」を描きやすくなるのは、応仁の乱により朝廷・幕府の本拠地である京都が荒廃し、文化の担い手である公家が地方に「避難」し、諸国では足利幕府の凋落をみて「群雄割拠」の状態になったことがきっかけです。
 弊誌で個々の地域を取り上げた際に「応仁の乱から戦国時代」にかけての時代に言及することが多いのも、上述した背景があります。
 「朝廷・幕府との関係なく、ある程度の一貫性をもった『日本の歴史』を編纂することができるかどうか」というテーマに向かった場合、京都・東京などを中心にすえられた記述を通して「日本史」を学んだ筆者には大きなカベとなってたちはだかります。
 「日本の歴史」という文脈の中で「世界の中の日本」をとらえなおした場合にも、日本国外の勢力等にとっては「日本側の窓口」を求めることになります。
 そうなると、今日の概念でいえば「日本政府」の代替ともいうべき「朝廷」「幕府」の存在を無視することができないのです。
 もっとも、たとえば「各地の生活習慣・風土の変遷」は既存の「日本史」では描ききれていない(多くが未開拓の研究分野)になっているともいえるでしょう。
☆★☆ コメント ☆★☆
 おもしろい。一つの地域を、こうした時間軸の目で見ると、また違ったものが見えてくる。「北陸地方」は、東日本と西日本の境にあり、大陸から見ると対岸のほぼ中央にある。近畿・関東史観ではない見方ができそうな期待を抱かせる。
 
(3)ウィークリーまぐまぐ[ライフスタイル版増刊号]2008/10/13 号  http://www.mag2.com/ 
●ピカソが作成した版画は何点?
 まぐまぐのたかゆきです。今月4日より、東京の国立新美術館とサントリー美術館で、「巨匠ピカソ」展が開催されています。今回は、両館あわせて約230点ならぶ、国内最大級のピカソ展なんだとか。僕は西洋画が好きで、いろんな絵画展を観に行ってるのですが、どの絵画展もたいてい70〜80点の展示です。それに比べると、230点は相当見ごたえがありそう…。今週末観に行くので、楽しみです!
 ちなみにピカソは、およそ13,500点の油絵と素描を描いたそう。「最も多作な画家である」とギネスブックに載るくらい、多くの作品を残しました。中でも、もっとも多く作成したのが版画だそうですが…ピカソが生涯で作成した版画はいくつあると思います?答えは一番下です!
 
■ピカソが作成した版画は何点?
 ★答え⇒ 100,000点
 正解は10万点でした!このほかにも、34,000点の挿絵、300点の彫刻と陶器を制作したと言われています。油絵と素描の13,500点をあわせると、147,800点!すごい…という言葉しか出てきません。僕は自分のブログを更新するのでさえ、1日1記事がやっと。1年続けても365記事にしかなりません。ピカソは、いったい1日何個ペースで制作していたのでしょうか…。  
☆★☆ コメント ☆★☆
 すごすぎて、本当か?と疑ってしまうほどの数字である。また調べてみたいテーマができてしまった。
 
(4)ごまめの歯ぎしり メールマガジン版    衆議院議員河野太郎の国会日記
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 日本人三人がノーベル賞受賞と日本のマスコミは報道している。
 が、たとえばニューヨークタイムズではアメリカ人と二人の日本人がノーベル物理学賞を受賞と報道している。
 ノーベル賞委員会の公式ホームページでも、二人の日本人とアメリカ人になっている。
 南部陽一郎シカゴ大名誉教授は、日本生まれの方だが、アメリカ国籍を取得されている。
 国籍法上、自分の意思で外国籍をとれば、日本国籍は自動喪失する。だから国籍で言えば、今回のノーベル物理学賞は、日本人二人とアメリカ人一人が受賞したことになる。
 問題は、南部さんのことを離れて、一般論で議論すると、もともと日本国籍を持っていた人が、ノーベル賞を受賞して、その際、ノーベル賞の公式ホームページでも明確に外国籍であることが明記されていたり、もともと日本国籍を持っていた人が、オリンピックに外国の代表として出場し、金メダルを取り、外国の国旗を揚げたりした場合、日本政府はどうするのか、ということだ。
 国籍法上は、自分の意思で外国籍をとった場合は日本国籍は自動的に喪失するわけだから、ほぼ間違いなくそれに該当するような場合、日本政府はそのご本人に確認をとるのだろうか。
 国籍法の手続きによれば、中央官庁が職務上、ある人が国籍を喪失していることを知れば、その本籍地に通告することになる。
 が、オリンピックに外国代表で出場をしていたり、ノーベル賞を受賞して、その公式ホームページに外国籍であることが明記されていたとしても、つまり、公に報道され、日本国民誰もが知り得る情報になっていたとしても、政府の各省庁は、それは職務上知り得た情報とはいえないので、通告しないのだそうだ。
 つまり、国籍法上、自分の意思で外国籍を取得すると日本国籍を自動喪失することになっているが、現実的には、そうならない。法的には喪失しているのだろうが、戸籍が残っている以上、たとえばパスポートを申請すると交付されるのだ。
 父母が国際結婚した場合のように、子供が二重国籍になり、本来二十二歳で国籍を選択しなければならないにもかかわらず、現実には国籍選択する人がほとんどいないと同じように、外国籍を自分の意思で取得してもあたかも日本国籍を失っていないかのように振る舞えることになる。
 国籍法は、国籍に関するルールを決めているにもかかわらず、現実には正直者が馬鹿を見ることになっている。自己の意思で外国籍を取得したら日本国籍は自動喪失するという規定も形骸化している。
きちんと法を運用するか、あるいは二重国籍を認めるように国籍法を改正するか、政治として結論を出す必要がある。
☆★☆ コメント ☆★☆
 これもおもしろい。南部氏が日本人か、アメリカ人か論争の裏には、私の知らない問題があったことを知らされた。


  問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp