(1)常識ぽてち【やや日刊】 ♪2008-07-29(第1197号)
■無断引用お断り、とは?
先日、日経新聞を読んでいたら、こんな「無断引用」の記事がありました。
---引用ここから---
<日本経済新聞>業界紙記事を無断引用 担当者ら処分
日本経済新聞社が6月16日付朝刊で掲載した広告特集「東京・大手町再開発」の記事の中で、日刊建設通信新聞の記事や表を出所を示さず無断引用していたことが分かった。同社は、15日付で記事を執筆した広告局員と上司を懲戒処分にし、16日に日刊建設通信新聞に謝罪した。(7月17日11時0分配信 毎日新聞)
---引用ここまで---
これはいうならば「無断引用」ではなく「無断転載」あるいは「盗用」というべき事件でしょう。よく巷のホームページにも「無断引用禁止」などと書かれているのを目にしますが、もともと「引用」は「無断」でするものです。
◆著作権法 第三十二条(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
著作権法にもありますように、引用は著作者に断りなくやっていいけれど満たすべき要件があります。この要件を満たさないと著作権法違反となり、著作権の侵害となります。
正しい引用の仕方
・引用部分が従であり、自分の文章が主である(主従の関係)
・引用することが必要不可欠(必然性))
・引用は原文のまま使用する(勝手に書き換えない)
・引用元の明示(出典を明らかにする) (以下略)
常識ぽてち【やや日刊】 ♪2008-11-22(第1222号)
■尿素とは?
尿素とは「おしっこの元」と書きます。尿素は肥料として一般によく知られますが、最近「手あれ」を防ぐクリームに「尿素入り」と言うのもあり、これって汚くないの?と思ってしまう人も多いことでしょう。
尿素はその名の通り、尿の中から発見されました。しかし製品としての尿素は尿から作ることはなく、ほとんどが化学合成されています。
尿は身体の中で利用されたタンパク質などの窒素化合物を分解して老廃物として最終的に排泄する機能を持っています。窒素化合物の老廃物はアンモニアという形で排泄されますが、アンモニアはそのままだと人体に有害なので、安全な尿素をという形に変えて蓄えておきます。
尿素はアンモニアと炭酸ガスの化合物なので、有機物です。化学肥料なのに有機物というのは尿素くらいではないでしょうか。
アンモニアは窒素肥料になりますので、尿素は窒素肥料として使われます。同じく窒素肥料として有名なのが硫酸アンモニウム(硫安)です。しかし硫安は畑の土壌を酸性にしてしまうので、最近では中性の尿素肥料が主流になりつつ
あります。
ちなみに、尿素は腎臓で作られますが、腎臓の強い硬骨類の魚はアンモニアを尿素に変え尿として排泄することができるので、おいしい魚となります。ところが腎臓の弱いサメなどの軟骨魚類やほや等は、アンモニアを尿素に変えてそのまま体に蓄積するので、鮮度が落ちると肉の中の尿素が分解してアンモニア臭くなるのでおいしくありません。
さて、その尿素入りクリームが、どうして手あれを防ぎ、保湿するのでしょうか?
尿素は体内に存在する窒素と炭素の化合物。主にタンパク質を分解してこの化合物となるわけですが、肌の角質層もタンパク質でできているため、尿素の働きとしてこの角質層を分解するため肌がツルツルになったような感じを与えます。
また、窒素と炭素の化合物の状態であるときに、化学的に水分子を取り込みやすい状態になっています。皮膚表面には水分子が存在するので、それを取り込んで離さないため、保湿効果があるのです。
古い角質層を分解する能力と、水分子を取り込む保湿効果があるため、尿素入りクリームを使うとしっとりした感じがすぐに得られるので、手あれのひどい冬場で人気商品となっています。
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いつも紹介している「常識ぽてち」は、題材への目の付け所がよい。また、説明がわかりやすく、参考になる。
(2)よみうり教育メール 発行日:2008.11.24(vol.2063)
=相談コーナー=
中学1年の息子が、友達とうまくコミュニケーションが取れていないようです。一人っ子で口数が少なく話し下手です。家では話もしますが、外では、「何を話していいのか分からない」「みんなの話題についていけない」「話の出来る友達がいない」と言います。体が小さく、自信が持てないからか、からかわれる対象にもなるようです。
友達と積極的にかかわれるようにするにはどうすればいいでしょう? 私までじれったくて、つい口うるさくなってしまうのも原因の一つと反省はしているのですが。 ──東京都、会社員43
【回答】
教育評論家、法政大教授 尾木 直樹
話し下手で自信が持てない様子なので、友達とも積極的にかかわれるような子にしたい――というお母さんの願い。きっとその心の奥には、今の競争社会、男の子だし、友達とも活発に交わり、たくましく生きる力をつけてくれないと心配だ、この先大丈夫だろうか、という不安があるのではないでしょうか。
確かに「格差社会」とか「ワーキングプア」という言葉を聞くと、今後が心配になる気持ちもよくわかります。
でもお母さん、もう一度、息子さんのことをよく見つめてみませんか。彼は、「家の中では」話もするし、言語能力やコミュニケーションスキルに問題を抱えているわけではないようです。「何を話していいのかわからない」から「みんなの話題についていけない」のだし、「話の出来る友達がいない」だけ。逆に言うと、友達ができて「話したいこと」があれば積極的に話すはずです。
ですから、そんなに心配することはないのですが、改善のためのポイントは二つあるように思います。
一つは、親子関係の見直しです。親の方が「口うるさく」ては、子供はますます口を閉ざすしかありません。もっと子供目線になり切って、一緒に遊んだり、おしゃべりを楽しんだり、親が“友達感覚”でつき合うこと、関係を豊かにすることです。その中で、自己表現力も養われ、何よりも家族が息子さんにとって心の居場所になり、彼に自信をよみがえらせてくれるはずです。
もう一つは、「友達」を作ることが先なのではなく、部活でも何でもいいのですが、何か好きなこと、打ち込めるものを持つことです。その趣味や活動を通して、いつの間にか友達ができ、話もできて、コミュニケーション力も確かなものになっていきます。あせらず、丸ごと受けとめてあげて下さい。
☆★☆ コメント ☆★☆
時々このコーナーを紹介するのは、教師にもカウンセリングの能力が求められているからである。外国では、教師は勉強を教えるだけで、生活指導やカウンセリングは別の専門家である場合が多いが、日本はデパートと同じ。最近では、家庭教育や、地域を束ねるコーディネートをも期待されている。
まずは、保護者の悩みを少しでも和らげるアドバイスができるようになりたい。できるだけ、こうした相談事例に数多く接し、自分なりの回答が組み立てられるようにトレーニングしたいものである。
(3)知らなきゃ損する!面白法律講座 第460号
法律クイズ 第134回 【問題】
□問題□
相続人Aが、被相続人である父Bの遺言を、自分に不利な内容であったことから、怒りに任せて破り捨ててしまった。相続資格はどうなるでしょうか
1. 相続資格を失う。
2. 相続資格を失わない。
□解答□
1. 相続資格を失う。
民法891条5号は、「相続に関する被相続人の遺言書」を偽造し、変造し、破棄し、又は「隠匿した者」を、相続人の欠格事由としています。
欠格事由にあたると、法律上当然に相続人ではなくなるため、Aは被相続人である父Bの相続資格を失ってしまいます。
これは、民法が、推定相続人の社会正義に反するような行為を保護しないことによって、相続制度の秩序を守ろうとした趣旨であると考えられます。
このことから、本件の場合とは逆に、Aが自分に有利な遺言を破棄した場合、すなわち相続人Aの行為が相続につき不当な利益を目的とするものではなかったときは、891条5号所定の相続欠格者には当たらないとするのが最高裁判所の立場です(最判平成9年1月28日)。
☆★☆★ コメント ☆★☆★
こうした事例は、法律に対して興味づけるネタになる。